教育を考える 2018.12.15

子どもの自信がぐんぐん育つ! 学力の高さと比例する「自己効力感」を上げる方法

編集部
子どもの自信がぐんぐん育つ! 学力の高さと比例する「自己効力感」を上げる方法

なにかに挑戦するとき、やる前から諦めてしまうことはありませんか?
それは性格の問題ではなく、『自己効力感』が低いせいかもしれません。

自分はやればできる!」「目標を達成することができる!」と自分を信じて行動できるようになるには、いったいどうしたらいいのでしょうか?

今回は、子どもが『自己効力感』を手に入れるために親ができること・すべきことをお教えします。

自己効力感と自己肯定感、どう違うの?

カナダ人心理学者のアルバート・バンドゥーラが1977年に提唱した『自己効力感』という概念。実は、子どもの学力人格形成に非常に良い影響を与えることがわかっています。

自己効力感』とは、「自分は物事を解決する能力があるんだ」という確信のような感覚を指します。つまり、「自分はうまくできる」と自分の能力への期待や自信が高いことを “自己効力感が高い” と言うのです。

ここで「自己肯定感とは違うの?」と思った人も多いのではないでしょうか。似ているようで違う自己肯定感と自己効力感について、簡単にご説明します。


■自己肯定感

・「自分には良いところがある」と感じること。
・自分のあり方を積極的に評価できる感情。
・自らの価値や存在意義を肯定できる感情。

■自己効力感
・「自分はきっとこの目標を達成させることができる」と感じること。
・自分が行うことは効力があると信じる感情。
・「やる気になればなんでもできる」と自分の能力を信じる感情。

どちらもポジティブな感情であることは間違いありませんね。自己肯定感が高ければ自然と自己効力感も芽生えそうなものですが、実際には「自己効力感が高いほど自己肯定感を持つ傾向がある」ということがわかっています。つまり、このふたつは相関関係にあるのです。

自己効力感と学力の高さ・学習の質は比例する!

2008年に日本青少年研究所が実施した国際調査によると、「自分はダメな人間だと思う」と感じている日本の中・高校生は、他の国に比べて多かったそうです。そして「私は人並みの能力がある」「自分の意思をもって行動できるほうだ」といった項目も調査した結果、日本の子どもたちは「自分の能力に対する信頼や自信に欠けている」=「自己効力感が低い」ということが明らかになりました。

その結果を受けてベネッセ教育総合研究所は2015年、自己効力感が高い子どもの特徴や、学力にまつわる傾向について独自に調査を行いました。この調査では、「やる気になればなんでもできる」と回答した子どもを『自己効力感が高い』とし、学力や学習の質(学習力)・学習方法から、保護者との関係に至るまで調査・分析しています。

・小学生の成績上位者では87.0%が自己効力感を持っているのに対して、成績下位者で自己効力感を持っているのは74.2%と低い。

・「勉強する前に机の周りを整理する」「計画を立てて勉強する」「遊ぶときは遊び、勉強するときは集中して勉強する」などの項目においても、自己効力感が高い子ほどその傾向が強い。

・「難しい問題をじっくり考えることが得意」「親に頼らず自分で決めることが多い」「人より優れたところがある」と答えた割合は、自己効力感の高い子どもの方が多い。

・自己効力感が高いほど、自分に対する自信=自己肯定感を持つ傾向がある。

このように、自己効力感と学力・学習力は深い関係にあることがわかりますね。

成功体験や乗り越え体験が自己効力感アップのカギ

さらにこの調査では、
あなたのお母さんは、成績が悪くても、努力を認めてくれる
あなたのお母さんは、やればできると励ましてくれる
あなたのお母さんは、私のことを信じてくれている
という3つの質問をしました。

その結果、「自己効力感が高い子どもは、保護者が子どもの努力の過程を認めて、やればできると励まし、子ども自身が『保護者は自分を信じてくれている』と感じられるような関わり方をしている」という結論に達したのです。ちなみに質問では「お母さん」となっていますが、父親との間でも同様の傾向が見られました。

慶應義塾大学教授鹿毛雅治氏は「他者から「あなたならできる」という助言や暗示等の言葉をかけられ励まされた個人には自己効力感が生まれ、その行動へのやる気が喚起される」と述べます。つまり、身近な存在である保護者からの言葉かけが、子どもの自己効力感を高めることにつながっているのです。

また、発達心理学者の筑波大学教授櫻井茂男氏は、自己効力感を高める方法をいくつか提案してます。

子どもの自己選択場面を多く設ける
子どもが成功体験を積み重ねられるように配慮する
できるだけ称賛する

頑張っても結果が出なかった場合、その過程の努力を認めて褒めてあげましょう。なぜなら、それはスモールステップごとの壁を乗り越える体験を支援していることにつながるからです。

ここで大切なのは、子どもが壁にぶつからないように手出しをするのではなく、むしろ成功体験や乗り越え体験を積み重ねられるように、保護者が配慮すること。壁にぶつかっても、励ましたり信じているのだと伝えたりすることで、子どもの自己効力感はどんどん育まれていきます。

また、学びの道教育研究所代表取締役の池田哲哉氏は、少し違った視点から「自己効力感を高める言葉かけ」を提案しています。

「本当にみんなそれできるの?」、「お母さんに頼ればいいじゃない」とわざと私が悪役になって煽ります。そうすると子どもたちは「絶対にできる!やる!」と声を張り上げます。これも立派な乗り越え体験になります。こういった経験を繰り返すことで、自己効力感が高まり、何か壁にぶつかったときも「自分はできる!」とチャレンジ精神が生まれます。

(引用元:eduNavi|これからを生きる子どもたちに必要な自己効力感とは?

褒める、励ます、煽って奮起させる……。お子さまのタイプに合わせて、より効果的な言葉かけを心がけたいですね。

自己効力感を高めるコツと注意点

周囲の人を“モデル”にする

前出の鹿毛教授によると、自己効力感を高めるのに有効なのは「他者の行動や努力・成功の様子を見ることで、自分にもできそうだという感覚を生じさせる」ことだそうです。実際に、親が思っている以上に子ども同士はあらゆる面で刺激し合っています。

たとえば、習い事などで上手にこなしているお友だちの姿を見て「頑張ったらこんなに上手になるんだ」と良い見本にすることも、自己効力感を高めるには効果的です。

愛情をかけてもらっていることを視覚的に実感する

文具・事務用品、アルバムなどの製造販売を行うナカバヤシ株式会社が大阪教育大学の学生354名を調査した結果、「よく写真を撮ってもらった」「現在、写真を撮られることが好き」と回答した学生は自立性協調性が高くなる傾向にあることがわかりました。

この研究結果から、「写真・アルバムと関わることは子どもの成長にとって、自己効力感が高く、他者との関わりに長けた人格形成に良い影響を与える」ことが明らかになったのです。「あなたのことをちゃんと見守り続けているよ」というメッセージが、アルバムに収められた写真から伝わってくるのでしょう。

注意! 自己効力感が低いときの失敗体験は悪循環を引き起こす

成功体験を積み重ねるには、できそうな課題を与えて成功するたびに褒める、ということを繰り返すと効果的です。

「自分はできる」

失敗する

「次は成功できる」と思うので頑張れる

成功するまで頑張る

この繰り返しこそが自己効力感を高めます。
ただし、自己効力感が高くない状態で失敗体験を繰り返すことは危険です。

「自分はできない」

失敗する

「やっぱり自分はできないんだ」という悪循環に陥る

否定的で悲観的な気持ちが一度根付いてしまうと、そこから立ち直って前向きになることは難しいでしょう。だからこそ、「自分はできるんだ!」という意識を持つことが何よりも大切なのです。

***
自己効力感について、難しく考える必要はありません。小さな成功体験を何度も繰り返して自信をつけさせること、身近な親御さんが優しく励まし、褒めてあげることなど、ほんの少しの心がけで身につけることは可能なのです。

(参考)
eduNavi|これからを生きる子どもたちに必要な自己効力感とは?
StudyHacker こどもまなび☆ラボ|「自己肯定感の高い子どもは学力も高い」は本当? 自己肯定感アップに効果的な3つのこと
Yahoo! JAPANニュース|「自己肯定感」と「自己効力感」の違い、それぞれの高め方
ベネッセ教育総合研究所|自己効力感が高い小・中学生はどのような子どもか
リセマム|写真・アルバム、子どもの「自己効力感」に影響