教育を考える 2019.11.3

人間の性格は5つの特性から構成されている――お子さまはどのタイプ?

編集部
人間の性格は5つの特性から構成されている――お子さまはどのタイプ?

みなさんはお子さんの性格について、どこまで理解できている自信がありますか? よく知っているつもりでも、「思っていたよりも頑固だな~」「意外と繊細なのね」「えっ!? こんなときこんな反応するんだ!」と、びっくりすることはありませんか?

今回は、人間の性格をつくる“5つの特性”について、詳しく解説していきます。お子さんのことをもっとよく理解するきっかけになりますよ。

ビッグファイブ=「特性5因子論」

人間の性格は、『ビッグファイブ』と呼ばれる5つの要素の組み合わせで表現できるといいます。

ビッグファイブ理論
1990年代、アメリカの心理学者ルイス・R・ゴールドバーグが提唱した特性5因子論とも呼ばれる特性論。個人の一貫した行動傾向を「特性」と呼び、いくつかの特性が組み合わさることで人間の性格は作り上げられる、という考え方。この5つの特性は、文化差・民族差を越えた普遍性をもつものとされている。

 
5つの特性とは次の要素に分類されます。

  1. 神経症的傾向(Neuroticism)
  2. 外向性(Extraversion)
  3. 開放性(Openness)
  4. 協調性(Agreeableness)
  5. 誠実性(Conscientiousness)

 
誰もがこの5つの因子を持っています。ただし、人によってそれぞれの因子の強弱が違うので、その結果性格に違いが出る、ということを説いているのが「ビッグファイブ」なのです。

続いて、それぞれの特性について臨床心理学者の丹野義彦先生の研究結果をもとに詳しく解説していきます。

神経症的傾向(Neuroticism)

身の回りの環境やストレスなどの外部刺激に対する敏感さを示します。

スコアが高い人:
危険に対して敏感で、人から叱られたり失敗したりすることを何より恐れます。ストレスがあると不安や緊張を引き起こしやすく、一度トラブルや失敗を経験すると、二度と繰り返さないために慎重に行動するようになります。ネガティブな出来事に遭遇して動揺していたら、安心させる言葉をかけてあげるといいでしょう。

スコアが低い人:
物事に動じることなく、常に情緒が安定しています。ただしリスクを過小評価する傾向があるので、危険行動と結びつきやすく、また自分に近づく危険に気づくのが遅くなります。人から叱られたり失敗したりしても平気なので、失敗から学習するということがあまりありません。

外向性(Extraversion)

周囲の人たちとかかわりや活動性、積極性を示します。

スコアが高い人:
いわゆる“楽観的でお調子者”タイプ。自分から積極的に周囲とかかわろうとします。人からほめられると大きな喜びを感じるので、対人関係をうまくこなします。ただし、刺激的なことを求める傾向があるので、無謀な行動で周囲を困らせることもあるでしょう。

スコアが低い人:
刺激を求めず落ち着いた生活を好む傾向があります。人からほめられてもそれほど嬉しいとは感じないので、対人関係にはあまり関心をもちません。自分から相手に話しかけるのではなく、話しかけてもらうのをじっと待つタイプです。

開放性(Openness)

知的好奇心や探究心、想像力や芸術的感受性の強さを示します。

スコアが高い人:
創造的なものや抽象的なもの、新しくて刺激的なものへの関心が強く、知的好奇心を満たすものへの探究心が人並み以上にあります。ただし、刺激がないとつまらないと感じやすいので、物事が続かないことも。

スコアが低い人:
堅実で安定志向が強いので、決められたことをきちんとこなすタイプです。着実で平凡な生き方を好み、めったなことでは新しいものを取り入れようとしないでしょう。ときどき新しいことにチャレンジさせてあげる必要があります。

協調性(Agreeableness)

人との関係において、まわりの人に同調しやすいかを示します。

スコアが高い人:
共感能力に優れ、面倒見がよいリーダータイプです。周囲と良好な関係を築くことができるので、トラブルが起きても周りのサポートを得やすいでしょう。ただし、不本意なことがあっても文句を言わないので、人に利用されたり騙されたりしやすいので注意が必要です。

スコアが低い人:
マイペースで我が道を行くタイプです。相手の感情に寄り添うのが苦手で、人付き合いを避ける傾向があります。反面、判断力や決断力が優れているので、カリスマ性を発揮すると人を惹きつけます。

誠実性(Conscientiousness)

「統制性」とも呼ばれ、目的や意志を持って物事をやり抜く責任感の強さを示します。

スコアが高い人:
意志が強く勤勉、一点集中型です。長期的な計画を立てて遂行することが得意で、コツコツ頑張ることが苦ではありません。ただし、失敗や挫折に弱いため、細かいことに執着せずに柔軟に考える必要があるでしょう。

スコアが低い人:
飽きっぽく、物事を中途半端でやめたり、衝動的に行動したりするタイプです。注意散漫ですが、いろいろなことに興味をもち、思い切った行動に出ることもあるでしょう。

5つの特性別:声かけ・接し方のヒント

子どもの性格の特徴をビッグファイブに当てはめてみて、それぞれの特性に合う接し方や言葉がけを考えていきましょう。

『神経症的傾向』が強い

「叱られることや失敗することを極度に恐れる」「不安や緊張を感じやすい」

「心配だよね」「不安だよね」と、本人の気持ちを受け入れ、共感的に聞いてあげましょう。親がわかってくれたと感じることで、子どもの気持ちは軽くなります。(教育評論家・親野智可等先生)

『神経症的傾向』が弱い

「情緒が安定していて、あまり物事に動じることがない」「叱られても失敗しても平気な顔をしている」

慎重さが欠けているので、危険な行動をすることも。物事を深く考える力をつけるといいでしょう。「要するに、どういうこと?」「たとえば、どういうこと?」「ほかにはどんなことがあるの?」といった質問を意識的に取り入れていくと、論理的思考が磨かれます。(教育評論家・石田勝紀先生)

『外向性』が強い

「友だちが多い」「人とコミュニケーションをとるのが得意」「無謀なことをしがち」

無謀なことをしようとしても、先回りしてやめさせるべきではありません。子どもにとって「失敗すること」は大事な経験のひとつ。多少の危険をともなう遊びを経験することで、身をもって危険を知ることができます。火や刃物も「ちょっとやってみる?」と扱わせてみるといいでしょう。(TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん)

『外向性』が弱い

「おとなしい」「友だちが少ない」「環境が変わるのが苦手」

「ウジウジしないの!」と子どもの繊細さを責めるのではなく、「みんなが気づかないようなことに気づいてくれてありがとう」など肯定的な言葉で認めてあげるようにしましょう。少しずつ自信につながっていきます。(子育ち研究家・長岡真意子さん)

『開放性』が強い

「好奇心旺盛に何にでもチャレンジする」「退屈なことが苦手」「物事が長続きしない」

親から「集中力がない」と言われ続けると、子どもは無意識に「自分は集中力がないんだ」と思うように。逆に、何かに集中しているときに「集中力があるんだね!」とほめてあげると、「自分には集中力があるんだから、また続けられる!」とやる気につながります。(教育評論家・親野智可等先生)

『開放性』が弱い

「慎重」「やるべきことや決められたことをきちんとこなす」「挑戦しようとしない」

ほめてあげることが自信になり、挑戦する力につながります。そこで、「何をほめるか」を意識するといいでしょう。サッカーの試合で負けても、「いいチャレンジだったよ!」と結果よりも行動をほめてあげると、挑戦力につながります。(日本ストレスマネジメント学会事務局長・小関俊祐先生)

『協調性』が強い

「友だち思い」「友だちとのトラブルが少ない」「共感能力が高い」

周囲に合わせて無理をすることが多いので、「いやなことはいやって言ってもいいんだよ」「お母さんはこう思っているけど、○○ちゃんはどう思う?」と、本音を確認してあげることを心がけましょう。(教育カウンセラー・諸富祥彦先生)

『協調性』が弱い

「周りのペースに合わせない」「自分勝手」「周りに流されずに自分の意思を貫き通す」

お友だちとトラブルになったとき、一番大事なのは子どもに寄り添ってあげること。まずは「やっぱり怒っちゃうよね」「悔しいよね」と共感してあげましょう。そして次に、「こうしてみたらどうかな?」と、具体的にやれそうな策を教えてあげて。(法政大学文学部心理学科教授・渡辺弥生先生)

『誠実性』が強い

「真面目にコツコツ取り組む」「最後までやり抜く」「失敗や挫折に弱い」

「お母さんも小さいときにお皿割っちゃったの」など、親御さん自身の失敗談を話してあげることで、子どもは「失敗してもいいんだ」というメッセージを受け取り、失敗を恐れない力が育まれます。(東京都市大学人間科学部教授・井戸ゆかり先生)

『誠実性』が弱い

「飽きっぽい」「注意散漫」「何に対しても興味津々」

親がよく「どうしてできないの!」「ほんとにダメね!」といったマイナスの言葉をかけていると、子どもも「どうせ無理」「きっとダメだ」とすぐに諦めるようになります。「早く早く!」ではなく、「さあ、もう少し急ごうね。がんばって!」と前向きな言葉をかけるようにしましょう。
(心理学博士・榎本博明先生)

診断テストで自分の特性を知ろう

ビッグファイブが診断できる簡単なテストがあります。今はサイト上で無料診断できて、すぐに結果が出るものもあるので、お子さんと一緒に気軽に試してみるといいでしょう。

<ビッグファイブ性格特性診断>

 

診断項目の一例を紹介します。

  • すぐに友だちを作ることができる
  • 知らない人と話をすることは苦にならない
  • 細かいことでくよくよしない
  • こつこつ努力するほうだ
  • にぎやかなことが好き
  • 緊張しないほうだ
  • 好奇心旺盛である
  • ルールや約束を守る
  • 相手の立場に立って考える

 

このような簡単な質問事項に、「あてはまる」「どちらともいえない」「あてはまらない」と答えるシンプルなテストです。親御さんから見たお子さんのイメージと、お子さん自身が抱いている自己イメージは、必ずしも一致しないかもしれません。しかし、お子さんの意外な一面や深層心理に触れることで、より深い親子関係を築くことにもつながるはずです。

***
米カリフォルニア大学バークレー校心理学部教授のオリバー・ジョン博士によると、変化する環境に柔軟に順応しているかを指す「開放性」と、簡単にあきらめずに物ごとをやりとげることを指す「誠実性」が高い子どもは、成績が良い傾向があるそう。お子さんの特性をつかみ、良いところをどんどん伸ばしてあげましょう!

(参考)
SankeiBiz|相手の性格を「5つの因子」で把握 部下を適切に管理して活かす便利ツール
excite ニュース|日常の何気ない行動でその人の特性がわかる。5つの特性におけるその特徴的行動(米研究)
ポピー子育て学習情報サイト|子どもの性格を育てる
東京大学総合文化研究科|ビッグ5を臨床で使おう:総合化学としての性格5因子パラダイム
5つの性格診断心理テストプラス(簡単版)BIG FIVE Personality TEST+ONE
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