夏に公園の木々や街路樹などでたくさん見つかる「セミのぬけがら」。外に出るたびどんどん発見して、いつの間にかどっさり集めている……なんてお子さんも多いのではないでしょうか。
そんなセミのぬけがらを、今年の夏は自由研究に活用してみませんか? セミのぬけがらを使った自由研究の方法とまとめ方について、おすすめ本のご紹介とともにお伝えしていきます。
自由研究の素材は「日常で手に入りやすいもの」がベスト!
子どもも親も頭を悩ませてしまう、自由研究のテーマ探し。実験する? 観察する? オリジナルでやる? キットを使う? 材料は何を使う?……考えれば考えるほど、なかなか決まらないものです。
自由研究のテーマを選ぶうえで、押さえておくべき大前提があります。それは、「子どもが興味を持っているかどうか」。加えて、「自分で進めていける」「夏休み中に終えられる」「材料がそろう」「危なくない」といった条件を満たす必要があります。(詳しくはこちら:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|自由研究のテーマ選びがグンと楽になるポイント【子どもの“やりたい”を引き出す! 夏休みの自由研究 第2回】)
以上の点をクリアするもの……それが「セミのぬけがら調べ」です。夏の子どもの興味をそそる素材が、身近な場所で楽しく遊ぶついでに用意できてしまいます。お金をかける必要も、遠くまで出かける必要もありません。これを学びに活かさない手はありませんね。
セミのぬけがら調べのメリット
セミのぬけがら調べには、ほかにもいくつかのメリットがあります。特定非営利活動法人環境ネットワーク・文京によると、それは次の5点。
- セミはどこにでもそれなりの数が生息している。
- 種類が限られている。
- 抜け殻によるセミの種類の見分け方は、少しだけコツを覚えれば誰でも簡単にできる。
- セミの抜け殻は逃げないため、子どもでも簡単に採取できる。
- 生きているセミを採取するわけではなく、セミの抜け殻を主な餌としている生き物もいないと考えられるので、抜け殻を採取してもそのエリアの生態系に与える影響は小さくて済む。
(引用元:環境ネットワーク・文京|平成 29 年度 親子生きもの調査「セミの抜け殻しらべ」実施結果報告書)
セミは、幼虫時代を土の中で過ごした後、土から出てきて木などに登り、羽化して成虫になります。その“跡”を示すのがぬけがらです。ですから、ぬけがらを調べることは、すなわちセミの生息の実態を調べることになります。
この自由研究によって「自分の学区内でも、A公園とB公園では生息するセミの種類が違う」といったことを発見できたら、子どもは身近な自然環境における生態系にもっと興味を持つようになるでしょう。また、もしも虫が苦手な子どもや親御さんでも、“ぬけがら” だったら触れるかもしれませんよね。虫嫌いな子にもチャレンジしやすいテーマなのではないでしょうか。
セミのぬけがら調べのやり方とポイント
それでは、セミのぬけがら調べの方法を詳しく紹介しましょう。
- セミのぬけがらの種類を見分ける本
(例『クイズでさがそう! 生きものたちのわすれもの 1まち』佼成出版社) - 記録用のノート
- ぬけがらを保管しておく箱(種類別に分けられるよう、5個ほどあると便利)
- 近くの公園や林など、土・樹木がある場所を観察点としていくつか選ぶ。
- 観察点でセミのぬけがらを集める。ぬけがらを見つけたら、「見つけた日にち」「見つけた場所」「天気」などを記録しておく。夏休み中何日間か継続して、セミのぬけがら集めを続ける。
- 見つけたセミのぬけがらが何という種類のセミのぬけがらなのか、本で調べて分類する。
- セミのぬけがら集めと分類が終わったら、観察点別、セミの種類別などにぬけがらの数を合計して表や円グラフを作り、次のようなことを分析する。
- 観察点によって、セミのぬけがらの数や種類に違いはあるか
- 見つけた日の天気によって、セミのぬけがらの数や種類に違いはあるか
- 樹木の種類によって、セミのぬけがらの数や種類に違いはあるか
- 木の幹や枝、葉の裏など、どのような場所でセミのぬけがらが見つかりやすいか
- 自由研究の動機や、手順、結果、感想などをまとめる。図表や絵を描いたり、写真を貼ったりできるよう、スケッチブックや模造紙などを使うのがおすすめ。(詳しくはこちら:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|自由研究のまとめ方のコツ【子どもの“やりたい”を引き出す! 夏休みの自由研究 第3回】)
セミのぬけがらの見分け方のポイント
セミのぬけがらの見分け方は、『クイズでさがそう! 生きものたちのわすれもの 1まち』(佼成出版社)にて紹介しています。
小宮輝之 監修/こどもくらぶ 編
生きものが大好きなお子さんにぴったり! 「生きものたちのわすれもの」シリーズ
先ほどご紹介した『クイズでさがそう! 生きものたちのわすれもの 1まち』は、足跡や食べ跡、ふんなどから、どんな生きものの“忘れ物”かを探検するシリーズの第1弾。セミのぬけがらのほかにも、私たちと一緒にまちでくらしているスズメやモグラ、タヌキなどの忘れ物を、豊富な写真で紹介しています。忘れ物の「主」である昆虫や動物、鳥などの生態や、それらを取り巻く自然環境を楽しく学べる本として、自由研究の題材に最適ですよ。
監修は、上野動物園元園長の小宮輝之氏。「だれの忘れ物かな?」写真を見て推測し、次のページを開くと、忘れ物の「主」とその生き物情報が掲載されているQ&A形式となっていて、コラムも充実しています。このシリーズには、第3弾までありますので、お子さんの興味にあわせてぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?
『クイズでさがそう! 生きものたちのわすれもの 2森』
小宮輝之 監修/こどもくらぶ 編
ウサギやリス、キツネ、鳥など、森でくらす生きものたちの忘れ物に迫ります。巻末に、「忘れ物」を探しに行くときの服装や持ち物、注意点についても紹介しています。
『クイズでさがそう! 生きものたちのわすれもの 3水辺』
小宮輝之 監修/こどもくらぶ 編
川、池、海、用水路、田んぼなどの水辺でくらす生きものたちの忘れ物を紹介しています。夏に出かけることが多い水辺では、どのような生きものたちの忘れ物が見つかるのでしょう? 調べてみるときっと面白いですよ。
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身近な生きものについて理解を深めたなら、その興味はほかの生きものや、より広い自然環境へと向かっていくことでしょう。自由研究がその良いきっかけになるといいですね。
(参考)
環境ネットワーク・文京|平成 29 年度 親子生きもの調査「セミの抜け殻しらべ」実施結果報告書
科学実験・原体験データベース|「セミのぬけがら」で環境について調べてみよう!
科学実験・原体験データベース|セミの抜け殻を集めよう
学研キッズネット|セミについて調べちゃおう
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|自由研究のテーマ選びがグンと楽になるポイント【子どもの“やりたい”を引き出す! 夏休みの自由研究 第2回】
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|自由研究のまとめ方のコツ【子どもの“やりたい”を引き出す! 夏休みの自由研究 第3回】