教育を考える 2018.10.10

頭が良くなるって本当? 脳が育つ「指先を使った遊び」の効果。【幼少期におすすめの遊び3選】

編集部
頭が良くなるって本当? 脳が育つ「指先を使った遊び」の効果。【幼少期におすすめの遊び3選】

「脳トレ」が大ブームとなってから約15年。これまでに脳の活性化を謳ったさまざまな手法が登場し、テレビ番組や書籍などで「脳トレ」「脳活」は人気のジャンルを確立しているほどです。

大人の脳トレはもちろんですが、子どももなるべく早いうちに脳を活性化させて、学校での学習やお友だちとの人間関係がスムーズにいく、脳力の高い、賢い子どもに育ってほしいもの。そのためには、指先を使ってたくさん遊び、手先が器用な子に育つよう手助けすることが一番の近道といえそうです。

遊びを通して指先を器用に動かせる「巧緻性(こうちせい)」を伸ばすと、脳はどのように活性化するのか、また具体的にどんな遊びをすれば活性化につながるのか紹介します

指先は「第二の脳」「外部の脳」。たくさん使って賢い子に育てる

体の部位の感覚や動きは、それぞれ脳の決まった場所でコントロールされています。大脳の断面にそって人体の部位がデフォルメされたようなこのような図を見たことはありませんか。

これは脳神経外科医のワイルダー・ペンフィールドが作った「ペンフィールド・マップ」呼ばれる図です。左側は、感覚を感じる「感覚野」で、右側は動きを指令する「運動野」で、頭と手が大きく描かれています。

(引用元:脳科学辞典|体性感覚皮質
(引用元:脳科学辞典|一次運動野

特に、5本の手指と手のひらが占める割合は大きく、感覚野では全体の約1/4、運動野は約1/3と言われています。

手が全身の中で占める表面積の割合と比べて、大脳における領域の広さが分かるのではないでしょうか。それだけ広い領域が必要とするくらい、大脳から手に向けて、複雑で細やかな指令を送っているということです。逆に、手をよく使うことで、大脳の約1/3の領域を刺激することができます

「指は第二の脳」や「指は外部の脳」と表されることがありますが、これは手、とりわけ指先を動かすと脳が活性化されることを裏付けているのです。指先を使う遊びを通して大脳をどんどん刺激し、手先の器用さを育む「巧緻性(こうちせい)」を高めると、運動能力、記憶力、思考力、コミュニケーション能力などの高い、賢い子に育つといえるでしょう。

それでは、幼児から小学校低学年くらいの子どもが楽しめる指先を使った遊びを紹介するとともに、「どうしてその遊びが脳を活性化させるのか」「子どもがどのような力を身につけることができるのか」をみていきます。

【折り紙】【あやとり】計画性と記憶力がアップ!

昔ながらの「折り紙」や「あやとり」で遊ぶと、計画性記憶力の向上につながります。

例えば、折り紙でツルを折るとします。手順が多く、先に進むほど細かい手指の動きが要求されるツルは、かなり難易度の高い作品です。一連の動きのなかで、大脳は次のようなフル稼働をしています。

〇何を折るのか計画し、覚えておく
〇折る順番を覚えておく
〇指の筋肉を動かして、ツルを折るのに適した力や動き、スピードを調整する
〇折り具合を目で見ながら、次の手順へ進むか折り目を修正するか判断する

また、何度か繰り返して折っているうちに、上手にツルを折りたいという向上心や、どこを直せばもっと上手に折れるようになるのか分析したり改善を試みたりする力も育まれます

出来上がりのイメージをもち、そこへ到達するための計画を立てて、手順を記憶して実行する力を身につけるには、「あやとり」も効果的です。あやとりの場合、相手と向き合って毛糸をお互いにすくって遊ぶこともあります。相手とコミュニケーションを取るので言葉の数(語彙力)もアップし、順番を待つといった対人能力も身につけることができます。

【ビーズ遊び】集中力や観察力、根気も身につく!

ビーズは、ネックレスやブレスレットを作るというイメージがあるため、女の子向けの遊びと思われがちですが、水に浸けて粘着させたりアイロンの熱で溶かしたりして好きなキャラクターを作ることができるビーズ遊びもあり、こちらは男女問わず楽しく遊べるでしょう。

以下のような動きを、作品が完成するまで根気よく繰り返すビーズ遊びは、集中力と根気を養うことができます

〇小さなビーズを指でつまみ、もう片方の指にもった紐に通す
〇図面に合わせてビーズをつまんで配置する

いったん完成する喜びを知ると、時間を忘れてビーズ遊びに没頭する子や、食事や外出のために中断することを嫌がるほど「ハマる」子もいるようです。

だんだん慣れてくると、自分のイメージした配色やデザインで作りたくなる子どもも出てくるでしょう。すると、作りたいものをよく見て、それを真似したりアレンジしたりする観察力もアップします。

【切り紙】集中力や想像力、問題(課題)解決力がアップ!

子どものころ、折り紙や折り込みチラシを三角に3回折りたたんで、思いのままに切り込みを入れて広げて作る七夕飾りを作ったことはありませんか。

思いがけない模様が表れたときの発見とうれしさや細かい部分をハサミで切るときの緊張感など「切り紙」遊びを通して、脳はさまざまな刺激を受けながら集中力や想像力といった能力がアップします

〇この切り込みを入れたら、どんな模様になるかな?
〇紙の折りたたみ方を変えたら、模様はどんなふうに変わるかな?

このようにバリエーションが広がる「切り紙」は、予想を立てて、実際に紙を切り、イメージ通りに完成したか検証する「問題(課題)解決能力」も育んでくれます

***
指先を使った遊びは屋内向けのものが多いですが、ダイナミックな外遊びができない日や体調が万全ではない日、お出かけ先や病院での待ち時間などをうまく使って遊ぶと良いでしょう。もちろん、子どもだけでなくお父さんやお母さんも一緒に遊べば脳トレになり、一石二鳥ですね。

(参考)
脳科学辞典|体性感覚皮質
脳科学辞典|一次運動野
日本学術会議 おもしろ情報館|学習と記憶 1.記憶ってなに? (2)脳の中の地図
認知症専門医・長谷川嘉哉のブログ〜転ばぬ先の杖〜|「指は第二の脳である」と言われるワケ
All About|脳と直結 指先を使った遊び
とかち子育て応援ラボ|指先を使った遊びの大切さ
独立行政法人福祉医療機構|いきいきチャレンジ!(平成20年秋号)福祉活動TIPS 切り紙で脳トレしよう
久保田競・久保田カヨ子(2008),『すぐれた脳に育てる』,BK出版