健康を考える/心と身体 2026.1.7

冬休み明け「学校行きたくない」と言われて固まった朝。専門家に聞いた “焦らない” 登校支援4ステップ

冬休み明け「学校行きたくない」と言われて固まった朝。専門家に聞いた “焦らない” 登校支援4ステップ

「学校行きたくない……」

冬休み明けの朝、突然こう言われて戸惑った経験はありませんか?

年末年始、ずっと楽しく過ごしていたはずなのに、なぜ——。つい「そんなこと言わないで」と返してしまいますが、冬休み明けの登校渋りは珍しくありません。

大切なのは、頭ごなしに否定せず子どもの気持ちに寄り添うこと。本記事では、具体的な対応法をご紹介します。

なぜ冬休み明けは「行きたくない」が増えるのか

冬休み明けは、長期休暇後の環境変化に子どもの心と体がついていけず、登校渋りが起きやすい時期です。

文部科学省の資料でも、長期休み明けは不登校のきっかけになりやすい時期として注意が呼びかけられています。決して特別なことではありません。*1

「学校行きたくない」3つの理由

□ 生活リズムの乱れ
就寝・起床時間、食事、遊びの時間が変わり、「学校モード」への切り替えに数日かかります。脳が休暇モードから学校モードに戻るには、想像以上にエネルギーが必要なのです。
□ 心理的なストレス
友達関係の再構築への不安、学習の遅れへの焦り——。さらに冬は日照時間が短く、気分が落ち込みやすい季節でもあります。
□ 分離不安の再燃
家族と過ごす時間が長かった反動で、親と離れることへの不安が強まります。

子どもが膝を抱えて泣いている

【実践】朝の「行きたくない」対応4ステップ

ステップ1:気持ちを受け止める

【声かけ例】

  • 「そっか、行きたくないんだね」
  • 「どんな気持ちかな?」

感情を言葉にすることで、脳の興奮(扁桃体)が抑えられます。これを「感情ラベリング効果」といい、UCLA心理学研究でも実証されています。また、無条件に受け止めることで子どもは安心感を得られるのです。*2

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック院長の飯島慶郎氏も、「まず子どもの話をよく聞き、子どもの様子をよく観察することが大切」と述べています。

ステップ2:体調チェック

【確認ポイント】
□ 発熱、頭痛、腹痛などの身体症状
□ 前日の睡眠時間
□ 朝ごはんを食べられたか

心理的なストレスが頭痛や腹痛などの身体症状として現れることがあります。「お腹が痛い」「頭が痛い」——これは単なる「甘え」ではなく、子どもからの大切なSOSサインです。また、睡眠不足は不安を増幅させるため、体調面の確認は欠かせません。*4

ステップ3:小さな選択肢を与える

【声かけ例】

  • 「1時間目だけ行ってみる?」
  • 「保健室に寄ってから教室に行く?」
  • 「お母さんが途中まで一緒に行こうか?」

自分で選ぶことで「コントロール感」が回復し、子どもの主体性が育ちます。飯島氏は「無理に登校させるよりも、『今日は保健室だけ』『給食だけ食べに行く』など、スモールステップで段階的に登校を促すことが効果的」とアドバイスしています。

選択肢があると、子どもは「自分で決めた」という感覚をもてるのです。これが、学校に向かう小さな一歩につながります。

ステップ4:学校と連携する

【連絡内容例】

  • 「今朝、少し行き渋りがあります」
  • 「保健室に立ち寄るかもしれません」
  • 「様子を見ていただけますか」
連携先:
担任の先生、養護教諭(保健室の先生)、スクールカウンセラー

学校との信頼関係が子どもの安心感につながります。早期の情報共有で、子どもに合った適切な支援が可能になります。

「学校に伝えると大げさになるのでは」と心配する必要はありません。文部科学省も、不登校や長期欠席の早期把握と、学校が家庭や関係機関等と効果的に連携を図ることの重要性を強調しています。*1

保健室

こんな様子が続いたら早めに相談を

一時的な登校渋りと、より深刻なサインを見極めることも大切です。

専門家への相談を検討するサイン
□ 2週間以上「行きたくない」が続く
□ 身体症状が強い(頭痛、腹痛、吐き気、食欲不振)
□ 家でも元気がない、好きなことに興味を示さない
□ 「自分はダメだ」など自己否定的な発言が増える
□ 友達関係のトラブルが明確にある

相談先

学校内

担任、養護教諭、スクールカウンセラー

外部機関

教育相談室、児童相談所、小児科、児童精神科

子どもの様子を見守りながら、必要に応じて専門家の力を借りることも選択肢のひとつです。飯島氏は「登校しぶりが続く場合、親がひとりで抱え込まず、早めに専門家や学校に相談することが大切」と述べています。

冬の海辺を歩く母娘

よくある質問(FAQ)

Q. 冬休み明けの登校渋りはどのくらいで落ち着きますか?

A. 個人差はありますが、多くの場合、生活リズムが戻る3日〜1週間程度で改善します。ただし、2週間以上続く場合は、より深刻なサインの可能性があるため、学校や専門家への相談をおすすめします。

Q. 「行きたくない」と言われたとき、無理やり行かせるべきですか?

A. 無理やり行かせるのは逆効果です。まずは気持ちを受け止め、体調をチェックしてから、「1時間目だけ」「保健室だけ」など小さな選択肢を提示してみましょう。子ども自身が選ぶことで、主体性が育ちます。

Q. 学校に連絡するタイミングはいつがいいですか?

A. 登校渋りがあった朝、できるだけ早めに連絡しましょう。「今朝、少し行き渋りがありました」と状況を共有することで、学校側も適切なサポートができます。大げさと思わず、早期の情報共有が大切です。

***
「学校に行きたくない」は、子どもが自分の気持ちを言葉にできている証拠です。否定せず、共感し、小さな一歩を一緒に踏み出すサポートを。親が焦らず、安心できる「安全基地」でいることが、子どもの回復力を育てます。

(参考)
*1 文部科学省|不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)(令和元年10月25日)
*2 UCLA Newsroom|Putting Feelings Into Words Produces Therapeutic Effects in the Brain
*3 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|【医師監修】登校しぶり・行きしぶりの考えるべき6つの原因と対応法
*4 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|【医師監修】登校をしぶったら「学校を休ませたほうがいいの?」「登校を促したほうがいいの?」
*5 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの “登校しぶり” が続いている「仕事はやめるべき?」心療内科医の答えと、みんなの “対応実例”を紹介します。