2018.11.16

せっかく覚えてもうまく使えない? 「慣用表現」の “ネットワーク化” は、知られざる究極の英語力アップ術 

田中茂範
せっかく覚えてもうまく使えない? 「慣用表現」の “ネットワーク化” は、知られざる究極の英語力アップ術 

皆さんは英語の「慣用表現」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

イディオム熟語成句句動詞定型表現ことわざなどいろいろな言い方がありますが、これらはすべて慣用表現です。また、英会話の勉強では必ず出てくる「依頼する」「提案する」などの「機能表現」も、慣用表現の一種です。

適当に英語の慣用表現をリストしてみましょう。

  • generally speaking(一般的にいうと)
  • look up to…(…を尊敬する)
  • Give me a break.(いいかげんにして)
  • How about…?(…はどうですか)
  • had better…(…したほうがよい)

このように、慣用表現には多種多様な表現が含まれます。

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せっかく単語帳で覚えたのに、うまく使えない?

皆さんはこうした慣用表現を、今までどのようにして学習してきたでしょうか。ご自身のお子さんには、どのように学習してほしいですか?

慣用表現の学習方法について、大学生に聞いてみると、主としてこの2つが挙げられました。

  • 熟語帳を覚える
  • 教科書に出てきた熟語を覚える

 
さらに「熟語をうまく使うことができるか」と尋ねたところ、残念ながら

覚えたけど、うまく使えない

という回答が圧倒的に多くみられました。

そして「英語学習の中で、慣用表現はどれぐらい大切と思うか」という質問には、

どちらかといえば覚えたほうがいいけど、単語や文法のほうが重要

という回答が目立ちました。

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英語力アップに欠かせない「慣用表現力」

私たちは、日々の会話で、その都度、単語と文法を使って、自由に表現を作りだしています。これを「自由表現」といいます。

しかし、どの言語にも、数多くの「慣用表現」があります。デンマークの著名な言語学者、イエスペルセンは、こう述べています。

言語は「自由表現」と「慣用表現」を両輪として機能する

私も、この考え方に賛成です。英語力を高めるためには、自由表現を作るための文法力と単語力と同様に、慣用表現力にも注目する必要があると考えています。

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コツは「ネットワーク化」

慣用表現を上手に使って自分の思いを表現する力、これが「慣用表現力」です。慣用表現力があれば、言いたいことを最も的確に表現することができます。

例えば、謝罪する際に、日本語では「どうもすみません」と言いますね。英語だと “I’m sorry.” と言うでしょう。どちらも、謝罪の気持ちを端的に示す慣用表現です。

大切なのは、慣用表現をバラバラに暗記するのではなく、関連づけて「ネットワーク」として学ぶこと。

ネットワークのように整理して学ぶことができれば、慣用表現を自分自身の英語のレパートリーとして加え、あなたの英語力の一部にすることができるでしょう。

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「驚き」を表す慣用表現

今回は、第1弾として「驚き」を表すための慣用表現を取り上げます。「驚き」と一言で言っても、このようにたくさんの種類がありますね。

  • うれしい驚き
  • 悲しい驚き
  • 信じられない驚き
  • 偶然の出来事に対する驚き

 
慣用表現を自分のものにするためには、慣用表現のネットワーク化が重要だと先ほどお話ししました。でも、どのようにネットワーク化すればいいのでしょうか?

「驚き」を表す慣用表現の場合、ネットワークを作成する際の基準はタイプ分けです。以下、便利な表現を6つのタイプ別にまとめてご紹介しましょう。

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「びっくり!」を表現するための6つのネットワーク

1. 間投詞を使う

驚いた時、つい反射的に「えっ?」と言ってしまう人も多いのではないでしょうか。「えっ?」「わあ!」のような、喜怒哀楽の感情を直接表した語を「間投詞」と言います。英語でもたくさんの間投詞がありますよ。

  • Wow!(うわー!)
  • What!(何!)
  • Holy cow!(何てこった!)

2. 驚いたことを言葉で表現する

驚いたことを「ああ、びっくりした!」と言語で表現することもありますね。

  • What a surprise!(びっくりした!)
  • That’s amazing!(それは驚きだ!)
  • Unbelievable!(信じられない!)

3. 本当かと問う

びっくりするようなことを耳にすると、つい真偽を確かめたくなるものです。

  • Really?(本当?)
  • That can’t be true.(まさか!)
  • Are you serious?(マジ?)

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4. 偶然のことに驚く

全く予期しないところで旧友に遭遇するなど、時には偶然の出会いに驚くこともあるでしょう。

  • What a coincidence!(偶然だね!)
  • Wow, it’s a small world.(わっ、世の中って狭いね)

5. 相手に驚いたかと聞く

相手にびっくりするようなニュースを伝えた上で「ねえねえ、驚いた?」と尋ねることもありますね。

  • Isn’t that a surprise?(びっくりだよね?)
  • Can you believe it?(信じられる?)

6. 驚きを事後的に描写する

びっくりして印象に残ったことは、なかなか忘れないもの。後から回想して「あれは~のような驚きだった」と描写することもあるでしょう。

  • do a double take(驚いて自分の目を疑う)
  • jump out of one’s skin(死ぬほど驚く)

目を疑うほど驚くときに「2度見する」ことがありますが、英語では、“do a double take” という言い方があります。この “take” は名詞で「撮影のテイク」に近い意味合いだと思われます。「2度撮りをする」ことから「自分の目を疑う」という意味になるのでしょう。

また、“jump out of one’s skin” は「皮膚から飛び出す」というイメージで、「死ぬほど驚く」に近い表現です。

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状況を思い描いて、感情を込めて表現する練習を

これらの「驚きの表現」をうまく使うには、見たり、聞いたりしたことに対して、素早く反応することが肝心です。つまり、瞬発力が必要なのです。

一見簡単そうな表現も、タイミングよく使おうと思えば難しいもの。普段から、状況の中に身を置き、感情を込めて表現する訓練をしておく必要があります。

例えば「結婚なんてありえないと思っていた共通の友人が、いよいよ結婚することになった」という状況で交わす会話文をご紹介します。このやりとりを参考に、音読練習してみましょう。

A: Fred is getting married.
フレッド、結婚することになったよ。

B: Wow! Really? Are you sure?
何! 本当? 確かなの?

A: Yeah, I heard it from his father.
確かだよ。フレッドのお父さんから聞いたんだ。

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ポイントは、ただ音読するのではなく、驚きの気持ちを乗せながら読むこと。状況を頭に思い描いて、気持ちを込めて、登場人物になりきって練習してみてください。

感情を込めて練習するには、一人では味気ないもの。練習相手がいるといいですね。親子で交互に音読してみて、どちらがより感情を込めて話せているかを競ってもいいでしょう

日本語でも、日常生活の中で驚くようなことがあるときは、自然と表現に感情がこもるもの。英語ではさらに、少しオーバーなくらいに感情を込めて、表現する練習をしておくといいですね。