魚を飼っている家では、水槽の水が少しずつ減っていることに子どもが気づくこともあるでしょう。「水槽の水が減っているのは、お魚がゴクゴク飲んでいるのかな」「お魚がいなくても、水って減るのかな」――そんな問いかけをして子どもが関心を持つようであれば、「水の蒸発」について調べるとよいかもしれません。
ただ水を容器に入れて減っていく様子を観察するのではなく、いろいろな条件で比べると、水がどのように蒸発するのかわかりやすくなります。
今回は、水の蒸発を調べる実験方法を2つご紹介します。
水の蒸発はどのように調べたらよいか? おすすめの実験2つ
水の蒸発について調べる方法はいろいろありますが、小学校低学年でもわかりやすい実験方法の例を2つご紹介します。
【1】 同じ水量、同じ容器で置き場所を変える実験
同じ形のコップに同じ分量の水を入れ、水の減り具合を調べます。コップは土、コンクリート、アスファルトの上など置く場所を変えたり、同じ土の上でも日なたと日陰で置き分けたりして比べてみます。
【2】 同じ水量で同じ置き場所、容器を変える実験
水の分量は同じで置く場所も一緒にしますが、水が空気にふれる面積を変えるために、縦長のコップとスープ皿など、容器を変えて水の減り具合を観察します。
「水の蒸発」実験のやり方とポイント
上述した実験方法をもう少し詳しく説明します。
【1】 同じ水量、同じ容器で置き場所を変える実験
必要なもの
- 水道水
- 計量カップ
- カップなどの容器6つ
- マスキングテープ
- 日陰を作れるもの
やり方
- 水道水100mlを計量カップではかり、使い捨てのプラスチックカップなど同じ形で数をそろえられる容器に入れる
- カップに入れた水のラインがわかるようにマスキングテープなどを張る。直接、書き込んでもよければ、油性マジックで線を引っ張ってもよい
- 土、コンクリート、アスファルトの上で、それぞれ日なたと日陰にカップを置く。日陰がない場合は、日傘や大きめの空き段ボール箱などでつくる
- 1時間後、2時間後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後と時間の経過に沿って、コップに入っている水のラインを確認し、印を加えていく
※印を加えるときに、デジタルカメラやスマートフォンで写真を撮っておくと、あとでまとめるときによりわかりやすい
ポイント
- 水の計量は、大人が手伝わず子どもに任せてみましょう。計量カップに示された単位がml、cc、gなどに書き分けられていることに関心を示してくれれば、新しい学びにもつながります。
- 観察は、水の減り具合がわかりやすい、よく晴れて暑い日をおすすめします。
- 観察する時間は、子どもがやりやすい時間帯で行ないましょう。夜間、無理に起きて計測する必要はありません。どの条件に置かれたコップも同じタイミングで確認できるようにします。
【2】 同じ水量で同じ置き場所、容器を変える実験
必要なもの
- 水道水
- 計量カップ
- カップなど形が違う容器
- マスキングテープ
やり方
- 水道水100mlを計量カップではかり、プラスチックカップやスープ皿など形の異なるものを用意してそれぞれに水を入れる
- 容器に入れた水のラインがわかるようにマスキングテープなどを張る。直接書き込んでもよければ、油性マジックで線を引っ張ってもよい
- 1時間後、2時間後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後と時間の経過に沿って、コップに入っている水のラインを確認し、印を加えていく
※印を加えるときに、デジタルカメラやスマートフォンで写真を撮っておくと、あとでまとめるときによりわかりやすい
ポイント
- 【1】と同様、水の計量は子どもに任せます。
- 容器はなるべく水の表面積の差がわかりやすいものを選びます。
どうして水は減っていくのか? その理由を調べる
2つの実験から結果を記録したら、どうして水の減り具合に差が生じるのか調べます。図書館で参考文献を調べてもよいですし、インターネットで「水の蒸発」などキーワードで検索して情報を探してもよいでしょう。
おすすめは、子ども向けの動画サイトです。「NHK for School」の理科に関する学習番組は、子どもたちが水の蒸発について興味を持ち意欲的に調べたくなる良質なコンテンツがそろっているので、活用しやすいです。
調べていくうちに、「水に塩を混ぜたら、蒸発する時間は変わるのか?」「絵の具を混ぜて色水にしたほうが、きれいでわかりやすくなるのでは?」「水ではなく氷でやってみたらどうなるか?」「計量カップにはml、cc、gという文字が書かれているけれど、何が違うの?」など、子どもたちは次の段階に興味を持ち始めるかもしれません。その場合は、ぜひその気持ちを好意的に評価し受け止めて、今回の観察結果をまとめてから応用編としてチャレンジを促すとよいでしょう。
まとめ方の説明
最後に、水の蒸発についてまとめるときのポイントについてご紹介します。
水の蒸発について調べようと思ったきっかけ
生活の中で、水槽の水が減っていたことに気づいたことなど具体的なエピソードを紹介します。
実験の手順と観察方法
どのように実験をしたのか、その手順と観察方法についてまとめます。計量カップやプラスチックのカップなどは実物もしくは撮影した写真を、また観察した場所は写真を添えると説明がわかりやすくなります。
予想
観察を始める前に、どの条件の水が一番早く減っていくか予想を立てておきます
結果
観察した結果を記し、予想と合っていたかどうかを検証します。
調べてわかったこと、まとめ
観察記録をもとに、水が蒸発する仕組みについて調べてわかったことをまとめます。
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水の蒸発は小学校4年生の理科で学習する内容です。小学校1~3年の低学年のうちに仕組みがわかっていれば、単元での理解もスムーズになるでしょう。
また、この実験から応用して、洗濯物が乾きやすい条件、打ち水の効果的な方法といったテーマに取り組むと、水の蒸発についての知識が普段の生活に生かされていることに気づくきっかけにもなります。
(参考)
@Nifty キッズ@Nifty|みんなの自由研究 水の蒸発
NHK for School|ふしぎがいっぱい 消えた水のなぞ
NHK for School|水の自然じょう発実験
NHK for School|水のじょう発を見る