教育を考える 2018.10.7

「お金教育」は幼少期から。お金の大切さを知るための、最初の4ステップ

編集部
「お金教育」は幼少期から。お金の大切さを知るための、最初の4ステップ

子どもへの「お金教育」。何となく関心はあるけれど、そもそも何をすればいいかわからない。何歳ぐらいになったら始めればいいかも気になる……。そんな親御さんに向けて、未就学~小学校低学年の子どもにおすすめの、家庭でできるお金教育の方法とその意義について解説します。

「お金教育」とは

お金教育とはその名の通りお金に関する教育のこと。マネー教育金銭教育」「金融教育などとも呼ばれます。どの呼び方でもお金にまつわることを広く扱う教育を指す場合もあれば、教育の内容によって呼び分けるケースもあるようです。

では、お金教育とは具体的にはどのような教育を指すのでしょう。政府や日本銀行などと協力し金融に関して幅広い広報活動を行なう「金融広報中央委員会」は、

金融教育は、お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である。

(引用元:知るぽると|1.金融教育のねらいと基本的性格(1)金融教育とは?

と解説しています。この解説は、金融教育を広い意味でとらえたものだと見ることができます。そしてより限定的にとらえた場合の定義は以下の通りです。

金銭教育はものやお金を大切にすることを通じて、お金や労働の価値を知り、感謝と自立の心を育てることによって、人間形成の土台作りを目指す教育である。金融教育はそうした金銭教育の伝統を十分継承しながら、実践的な消費者教育やキャリア教育、さらにはマクロ的な金融・経済の把握といった要素を取り込みながら組み立てられている。その意味では金融教育は金銭教育を包含し、より幅広い内容に発展させたものと位置付けることができる。

(引用元:知るぽると|1.金融教育のねらいと基本的性格(5)金融教育と関連する教育領域)太字・下線は編集部にて施した。

こうして見ると、お金教育が扱う範囲はとても幅広いことが分かりますね。平たく言うと、お金とは何か、おこづかいはどう使えばいいか、といったことを教えるのが金銭教育資産運用の仕方や経済の仕組みなどを教えるのが、金融教育です。また、「お金を使う」という消費行動に焦点を当てれば消費者教育にもなりますし、生活のため労働によりお金を得るという側面にフォーカスすればキャリア教育にもなります。お金教育はまさに、生きるための教育なのです。

このコラムでは、とても範囲が広いお金教育のうち、未就学児や小学校低学年の子どもがお金のことについて学ぶ、初歩的な金銭教育のことについて説明していきます。

子どもへの「お金教育」はなぜ必要か

未就学児や小学校低学年の子どもにとってお金教育が必要なのはどうしてなのでしょう。親御さんの中には、小さな子どもにお金のことを教えるなんてまだ早い、と考える方もいらっしゃるはず。ですが実は、お金教育は小さな子どもにとっても意義あることなのです。

■ お金の大切さを理解するため

お金教育は、子どもが「お金とは何か」を知るために必要な、大事な教育です。

お金は、物を買うのに必要なもの。使えばなくなりますし、貯めれば高価なものが買えます。お金は働くことによって得られるものであり、私たちの生活は収入と支出のバランスの中で成り立っています。こうしたお金の大切さ」を理解するために、お金教育は欠かせません。

幼いうちにお金の大切さを知ることは、少し大きくなってから大いに役に立ちます。親に際限なくおこづかいをねだってもいいのか。道にお金が落ちていたらどうすればいいか。友だちにお金を貸してと言われたらどうするか……。金銭感覚を正しく養うことができていれば、こうしたことで迷うことは少ないはず。正しいお金の使い方金銭感覚を養うための第一歩として、幼い子どもにお金の大切さを教えることは、とても重要なことだと言えます。

■ お金の種類、数の概念を身につけるため

お金教育は、お金には数種類の硬貨と紙幣があることを知るためにも必要です。同じ金額でも硬貨・紙幣の組み合わせによって何通りもの表し方があることを学ぶトレーニングになります。

例えば100円は、10円10枚、50円1枚と10円5枚、50円2枚、などで表せますね。また、30円のものを買うのに100円支払えば、お釣りは70円。お金教育は、お金そのものについてだけでなく、こうした数や計算の概念も理解できる絶好の機会です。

幼児教育が専門の七田式教育では、子どもが小学校に入学する前に身につけておくべき「幼児の10の基礎概念」のひとつとして「お金」を挙げています。自分でお金を使うシーンがまだない未就学の子どもであっても、お金について学ぶのは決して早すぎることではありません。

■ 我慢する力を身につけるため

子どもに対するお金教育は、子どもに我慢する力を身につけさせるためにも重要です。教育評論家の親野智可等氏は、お金教育(金銭教育)の意義について次のように述べています。

金銭教育と聞くと、投資や金融の知識を教えることだと誤解する人が多いですが、本当に必要な金銭教育は、自分の欲望をコントロールする能力を養うことです。これは一生にわたるお金との付き合い方を決定づける能力ですが、それができていない大人が多い。すぐに身につくものではありませんから、小さいうちから習慣づける必要があります

(引用元:親力講座|子どもの「お金力」の養い方<1/2> ~金銭教育はどうあるべきか~

子どもにとって、お菓子やジュース、新しいおもちゃはとても魅力的で、どんどん欲しくなるもの。子どもの欲しがるままに親が買い与えていたら、いつまでたっても我慢する力は身につきません。ですがお金教育の一環でおこづかいをもらい、そのお金で物を買う経験をすれば、欲しいものはすべて買えるわけではない、時には我慢もしなければならないと学ぶことができます。

幼少期のお金教育を通じて自分の欲求をコントロールする力を身につけることは、行動範囲が増え自分でお金を使う機会が増える思春期以降、お金に関して節度ある行動を取れるようになるために大切なことです。

お金教育は、家庭における取り組みが重要

お金教育はとても重要な教育ですが、幼稚園・保育園や小学校低学年のうちには充分には行なわれないという現状があります。お金のおもちゃなどに触れたり、お金の数え方を学んだりする機会はあったとしても、「金銭感覚を養う」というレベルにまではいかないのです。

文部科学省のまとめた資料によれば、小学校でお金の大切さについて学ぶ科目は、5・6年生の家庭科。以下のことを扱うのだそう。

D 身近な消費生活と環境
(1)物や金銭の使い方と買物について,次の事項を指導する。

ア 物や金銭の大切さに気付き,計画的な使い方を考えること。
イ 身近な物の選び方,買い方を考え,適切に購入できること。

(引用元:首相官邸|文部科学省における金融経済教育の取組について

見てみると金銭教育の初歩的な内容です。もう少し早く学んでもよさそうに思えますよね。このように、お金教育を学校だけに頼るのでは不十分なうえ、子どもたちの生活基盤は言うまでもなく家庭ですし、日々使うお金も親が働いて得た家庭のお金です。家庭におけるお金教育が大切だということが、お分かりいただけるのではないでしょうか。

お金教育の方法・4Step

ここからは、今日からでも実践できる、家庭でのお金教育の方法をご紹介します。

お金教育のはじめ時は、子どもがお金に興味を持ったとき。親がお金を使うところをじっと見ている、お金に触ろうとする、といった様子が見られたら、まずはファーストステップからお金教育を始めてみましょう。幼児だからといって早すぎることはありません。

Step1. お買い物ごっこ

お金教育の第一歩は、お買い物ごっこから。特に4歳~未就学児の子どもにおすすめです。

身の回りのおもちゃや文房具などに値段を付け、お店の人役とお客さん役を親子で交代しながら、お買い物ごっこをしましょう。決められた値段のお金を払うことで商品が買えること、お金を多く払うとお釣りが来ることなどについて、遊びながら理解を深めることができます。

おもちゃのお金セットだけでなく、おはじきをお金代わりにし、物の値段を「おはじき3個分」などとすれば、数字を読めない子どもでも遊べます。またお金を使う場合も、「たまごは1個1円」「お菓子は1個3円」などと1円玉だけで完結できるようにすると、入門編としてはわかりやすいですね。

お買い物に少し慣れてきたら、使うお金の種類を増やしたり値段のバリエーションを増やしたりしてステップアップするといいでしょう。

Step2. 普段のお買い物をお金教育の機会に

家族でスーパーマーケットに出かけたら、買い物中の会話を通してお金教育をしてみましょう。

お豆腐はお豆腐でも、メーカーやお店によって値段が違う。割引になっているものは少し安い。今日は○○円持っているから、これはやめてあれにしよう。そういったことを親が子どもに話しかけながら、一緒に買い物の内容を考えるのです。

親との会話を通じ、欲しいものと必要なもの、買えるものは違うのだということを知ることができます。本当の金銭感覚を養うことに近づけるでしょう。

Step3. おこづかいの導入

自分でお金をやりくりすることを覚えさせるために、おこづかいを導入してみましょう。

おこづかいの渡し方には定額制と不定期制がありますが、やりくりの経験を積ませるには定額制がおすすめ。金額に正解はありませんが、1ヶ月あたり「学年×100円と言われることが多いようです。

おこづかいを導入する際はおこづかい帳をつけさせるようにしましょう。いくらもらい、何にいくら使ったか、いくら貯まったかを記録させます。また、使ったお金について自己評価させるのもいいでしょう。買ってよかったものは「○」、買わなければよかったと思うものは「×」、わからなければ「?や△」をつけるのです。これを習慣にすれば、子どもはお金の使い道について真剣に考えるようになるでしょう。

Step4. 稼ぐことの体験

お金の使い方だけでなく、お金は働いて得るものだということを教えるのも大切なこと。そこで、子どもに稼ぐことの体験をさせてみましょう。

幼児の子どもなら、「お手伝いをしたら、おはじき○個」といった具合に。そのおはじきを、Step1で紹介したお買い物ごっこで使うようにすれば、お金を稼ぐことと使うことをセットで学ぶ機会になりますね。

小学生以上の子どもの場合は、普段のおこづかいでは買えないような高額なものを欲しがった際などに、お手伝いの報酬としてのおこづかいを導入してみてもいいでしょう。

ただし、これには注意が必要です。親野氏は、「お手伝いで○円もらう」が習慣になった子どもは、何かをすれば必ずお金で報酬をもらえると思い込んでしまうおそれがあると言います。そのうえで、お手伝いの報酬としておこづかいを渡す場合には、以下のようにすることを勧めています。

「○○を買うためにいくら貯めたい、そのために普段のお手伝い以外に1ヵ月間○○の仕事をする、そして100円もらう」というように、目的、金額、期間などを決めて行うのです」

(引用元:親力講座|子どもの「お金力」の養い方<2/2> ~金銭教育はどうあるべきか~)太字は編集部にて施した

ただしこれは、欲求のコントロール、お金のやりくりの範囲を越えたもの。あまり多用しすぎないよう、注意したほうがよさそうです。

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幼少期のお金教育は、生きるうえで大切な価値観を養うための第一歩です。子どもの健全な金銭感覚を養うために、まずは気軽なお買い物ごっこから始めてみませんか。

(参考)
知るぽると|1.金融教育のねらいと基本的性格(1)金融教育とは?
知るぽると|1.金融教育のねらいと基本的性格(4)多面的な取り組みの必要性
知るぽると|1.金融教育のねらいと基本的性格(5)金融教育と関連する教育領域
ベネッセ教育情報サイト|どう教える? 金銭教育のポイント【第1回】幼児編
ベネッセ教育情報サイト|どう教える? 金銭教育のポイント【第2回】小学生編
親力講座|子どもの「お金力」の養い方<1/2> ~金銭教育はどうあるべきか~
親力講座|子どもの「お金力」の養い方<2/2> ~金銭教育はどうあるべきか~
七田式教育公式サイト|【4歳・5歳】就学前にできる、幼児期のお金の勉強!子供の時からお金の使い方を学んで、金銭感覚を養う方法。簡単!初めてのおつかい編
七田式教育公式サイト|【3歳・4歳】数や文字だけじゃない!小学校入学前に身につけておくべき、幼児の10の基礎概念(色・形・空間認識・お金の数え方など)を家庭で簡単に教える方法
首相官邸|文部科学省における金融経済教育の取組について