2021.7.2

小学生の「作文が苦手…」を克服する4つの方法

[PR]
小学生の「作文が苦手…」を克服する4つの方法

作文が苦手な小学生、多いですよね。作文の宿題が出されるたび、原稿用紙を前に固まる子どもの姿を見て、「何かサポートできないかな」とお悩みではありませんか? そんな親御さんに向けて、子どもが作文を苦手になる理由や、作文への苦手意識を克服してスラスラ書けるようになるコツをご紹介します。

作文が苦手な理由

まずは、子どもが作文に苦手意識をもっていたり書けなかったりするのはなぜなのか、主な理由を解説します。

自信がないから

子どもが作文を苦手に感じるのは、自信がないからです。子どもの作文を見て、「字が汚い!」「もっとちゃんと書きなさい!」などと否定的な言葉をかけてしまったことはありませんか? 「伝える力【話す・書く】研究所」所長の山口拓朗氏は、子どもを作文嫌いにする原因には親の言葉がけがあるとして、次のように述べています。

子どもの自己肯定感を下げるようなことばかりいって、なおかつノウハウだけを押しつけようとすれば、子どもは反発したり、ふてくされたりするでしょう。当然、作文を書くことへの興味は失われます。「作文嫌い」になる典型的なパターンです。

(引用元:山口拓朗(2020),『親子で取り組む作文教室 魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう』, 日本能率協会マネジメントセンター. 太字による強調は編集部が施した)

親が作文にダメ出しを続けることで、子どもの自己肯定感が低くなり、「どうせ自分には書けないんだ」という苦手意識が生まれてしまうのです。

書き方がわからないから

そもそも何をどうやって書くのかわからないために、作文を苦手に感じる小学生もいます。教育評論家の石田勝紀氏によると、学校が作文の書き方を教えていないケースは多いのだとか。特に低学年の場合、文章を読み書きした経験がただでさえ少ないのですから、書き方を教わっていない作文を苦手に感じても無理はないでしょう。

気持ちを表現する言葉を知らないから

感じたことを言葉でどう表現するかわからず、作文を苦手に思う子もいるようです。発達心理学を専門とする法政大学の渡辺弥生教授は、「親子間で感情を表現する言葉が貧困になってきていることが気がかり」だと語っています。

渡辺教授によると、子どもは初めての感情を経験したとき、「せつないね」などと代弁してもらうことで感情と言葉をリンクさせ、習得するのだとか。つまり、家族の会話で「やばい」「すごい」など同じような言葉ばかり使っていては、気持ちを表現する語彙が増えません。自分の気持ちにピッタリの言葉が浮かばないせいで、「作文って苦手だな」と感じてしまうのです。

子どもが作文の苦手を克服する方法2

作文の苦手を克服する方法

子どもが苦手意識を克服して作文をスラスラ書けるようになるため、親ができることをくわしくご紹介します。

自己肯定感が高まる声かけをする

親の否定的な言葉のせいで作文が苦手になってしまった子どもには、自己肯定感を高める言葉がけが効果的です。前出の山口氏による『親子で取り組む作文教室 魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう』(日本能率協会マネジメントセンター、2020年)では、次のような例が紹介されています。

【子どもの作文】
きょうぼくは友だちとあそびました。つまらなかったです。

【親の言葉がけ】

  • よく書けてるね
  • 友だちと遊んだけど、つまらなかったんだね
  • とてもわかりやすく書けているよ
  • つまらなかったことを教えてくれてありがとう
  • 素直な気持ちが書けているね
  • とても力強い字だね

どんなに短くネガティブな文でも、認めて受け入れ、ほめることはできるのです。子どもが文章をまったく書けない場合は、書けない気持ちを受け入れ、「明日になったら書けるかもしれないね」と励ましてあげましょう。子どもが自己肯定感を高めて作文への苦手意識を克服できるよう、「いい言葉がけ」を実践してみてください。

親子で「インタビューごっこ」をする

作文に自信がない低学年の子なら、「インタビューごっこ」がおすすめです。前出の山口氏によると、子どもの作文能力を育むには「自問自答」の習慣をつけさせるべきだそう。文章を書くとは、「今日は何をした?」「具体的には何が楽しかった?」などと自分に質問をして、それに答えることの連続だからです。「インタビューごっこ」を通し、自問自答の練習をしましょう。

ポイント

「インタビューごっこ」で必ず守るべきポイントは、ふたつあります。ひとつめは、子どもの答えを否定したり良し悪しをジャッジしたりせず、そのまま100%受け止めること。自己肯定感を高め、気持ちを自由に表現できるようにするためです。「何を答えても、お母さんやお父さんがきちんと受け止めてくれるから大丈夫!」という安心感があれば、子どもは「とにかく言ってみよう」と思えるでしょう。

ふたつめは、誘導尋問にならないようにすること。「遠足、楽しかったよね?」という質問も誘導尋問なので、要注意です。子ども自身はつまらなかったと感じても、「楽しかったように書かなきゃ」と思い込み、無理に書こうとして手が止まってしまいます。「よくわからない」「つらかった」といった答えでも、その子らしい作文を書くのに必要なので、否定せず受け止めてあげましょう。

やり方

まずは、親がいろいろな方向から質問して、子どもが興味・関心をもつエピソードを引き出します。石田氏によると、「自分が問題に思っていること」「興味があること」「話がしやすいこと」をテーマにすれば、言葉が次々と出てきやすいそうですよ。

質問を重ねつつ、深堀りできそうなエピソードを探りましょう。山口氏によると、目がパッと輝いたり声が大きくなったり前のめりになったりしたら、「その子らしさ」のサイン。「もう少しくわしく聞かせてくれるかな?」と声をかけ、好奇心をもって子どもの話に耳を傾けましょう。

子どもが語ってくれたことは、作文の貴重な材料になります。あとで使えるよう、質問したことや答えたことは、簡単な箇条書きでいいのでメモしておきましょう。

子どもへのインタビューが終わったら、 今度は子どもからインタビューを受ける番です。答えるだけでなく質問も経験することで、自問自答の練習になります。「いつ?」「どこで?」「誰と?」「なぜ?」「どうやって?」「どれくらい?」など、さまざまなパターンで質問してもらいましょう。どんなことについて質問したらよいか子どもが迷っていたら、下記の例を使ってみてください。

  • 趣味について
  • 子ども時代について
  • 仕事について
  • 苦手なものについて

質問例

『親子で取り組む作文教室』より、遠足をテーマにした質問例をご紹介します。

  • 遠足はどこに行ったの?
  • そこには何があった?
  • 一番おもしろかったことは何?
  • 何か発見はあった?
  • 何かハプニングはなかった?
  • どうして、そんなにクタクタになったの? など

「インタビューごっこ」を通して自問自答できるようになれば、作文が書きやすくなるでしょう。

テンプレートを使う

作文の書き方がわからない子には、テンプレートを見せ、文章のつくり方を教えてあげましょう。『親子で取り組む作文教室』では、このようなテンプレートが提案されています。

テーマ:私の好きなもの

結論:私はが好きです。

理由:その理由は3つあります。
1つめは(だ)からです。
2つめは(だ)からです。
3つめは(だ)からです。

まとめ:だから、私はが大好きです。

実際に書き込んでみました。

結論:私はが好きです。

理由:その理由は3つあります。
1つめはからです。
2つめはからです。
3つめはからです。

まとめ:だから、私はが大好きです。

国語の穴埋め問題のように、テンプレートに書き込むだけで、簡単に作文ができるんです。テンプレートや誘導文があれば、書くのがぐっと楽になりますよ。それでも書くことが思いつかなければ、上でご紹介した「親子でインタビューごっこ」を実践し、内容のメモを見ながら空欄を埋めるようアドバイスしてあげましょう。

新聞記事を使う

子どもが作文のテーマを選び、充実した文章を書けるようにするための方法としては、新聞記事を活用することがおすすめです。新聞を使って作文を書く方法をご紹介します。

1. 記事を選ぶ

まずは、ネタとして使う記事を選びます。写真・見出しが気になったものや、好きなスポーツ選手が出ているものなど、子ども自身が興味をもった記事を選ばせましょう。

2. 線を引きながら記事を読む

選んだ記事をよく読みます。わからない言葉は辞書で調べましょう。そして、以下の基準で線を引かせてください。

  • ニュース記事→文中によく出てくるキーワードや、大切だと思う部分
  • インタビューや読者投稿→筆者の感情を表す部分や、自分の心が動いた部分

3. 作文を書く

線を引いた部分を参考にして、感想を200字程度にまとめましょう。始め・なか・終わりの3部構成にします。意見を書くときは、「なぜなら~」と理由を述べたり、自分の体験談を交えたりするようアドバイスしてください。

新聞を購読していなければ、「朝日小学生新聞」がおすすめです。子どもが興味をもちやすい記事が集まっているので、作文のテーマ探しにピッタリ。「天声こども語」や「ニュースあれこれ」など、読むだけで語彙が増え、文章の組み立て方を学べるコーナーも充実しています。すべての漢字にふりがながつき、難しい言葉はわかりやすく解説されているので、低学年の子でも無理なく読めますよ。

天声こども語学習ノート」を使い、書き写しや要約をトレーニングすることで、記述力や表現力がアップして作文への苦手意識も克服できます。無料の試し読みサービスを利用し、実際に読んでみてはいかがでしょうか?

***
作文への苦手意識を克服し、スラスラ書けるようになるノウハウを具体的に解説してきました。「うちの子、作文が苦手かな?」と思ったら、ご紹介した方法をぜひ実践してみてくださいね。

文/上川万葉

(参考)
山口拓朗(2020),『親子で取り組む作文教室 魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう』, 日本能率協会マネジメントセンター.
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の誤った声がけが、子どもの作文力の芽を摘む?――「作文好き&得意」な子どもと「自己肯定感」の関係
東洋経済オンライン|悪夢のような「作文下手」を克服する簡単な手順
ベネッセ教育情報サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもに「作文レシピ」を与えよう――“花マル”な作文が書ける「誘導文付きテンプレート」
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの作文力を育む「インタビューごっこ」のススメ――文章作成に必要な「自問自答」の習慣づくり
朝日学生新聞社|記事を使って作文練習
西日本新聞me|【NIE 教育に新聞を】「もの知りタイムズ」で作文練習 5、6年生は毎週ノートに