あたまを使う/国語 2018.11.14

子どもに「作文レシピ」を与えよう――“花マル”な作文が書ける「誘導文付きテンプレート」

山口 拓朗
子どもに「作文レシピ」を与えよう――“花マル”な作文が書ける「誘導文付きテンプレート」

料理と同じように作文にもレシピが必要

今は料理が得意なお母さんやお父さんにも、かつてレシピとにらめっこしながら料理を作っていた時期があるのではないでしょうか。なぜレシピが必要かといえば、一度も作ったことのない料理を何も参照せずに作るのは難しいからです。一度も料理をしたことのない人が、食材と調味料だけ渡されて「おいしい肉じゃが」を作りなさい、と言われても作れるわけがありません。誰もが初めはレシピを必要とするのです。

作文は料理に似ています。10歳に満たない子どもに「ちゃんと作文を書きなさい!」と怒っている親御さんは、レシピも見せず、また、やり方も教えずに「おいしい肉じゃがを作りなさい」と言っているのと同じです。まだ文章の作り方を知らない子どもたちに必要なのは、作文の書き方がわかる「作文レシピ」の存在です

子どもも喜ぶ「誘導文付きテンプレート」

「作文レシピ」とはどういうものでしょうか? それは文章の流れ(手順)を教えてあげるテンプレートのことです。たとえば、筆者は大人向けの文章講座のなかで、よく「結論優先型」というテンプレートを紹介します。この型の流れは「結論→理由→具体例→まとめ」です。ビジネスからプライベートまでさまざまな文章に使える万能テンプレートです。しかし、このテンプレートを子どもに渡しても、使いこなすのが難しいかもしれません。

そこで、子どもには簡略バージョンの結論→理由→まとめをおすすめしています。しかも、より使いやすいものにするために、丁寧な「誘導フレーズ」まで付けています。

テーマ「わたしの好きなもの」

結論:わたしは                  が大好きです。

理由:その理由は                  (だ)からです。

まとめ:だから、わたしは                 が大好きです。

これが基本テンプレートです。実際に書き込むと以下のようになります。

テーマ「わたしの好きなもの」

結論:わたしは 走ること が大好きです。

理由:その理由は 汗をかくと気持ちいい からです。

まとめ:だから、わたしは 走ること が大好きです。

誘導文があることによって、子どもたちは書くべきことを頭の中で考えることができます。もちろん、これで花マルです。くれぐれも、書いたものに対して「つまらない」だの「もっと詳しく書け」だの言わないでください。作文にケチをつけられた子どもの気持ちは、あなたが作った肉じゃがに、「味が薄い」「砂糖を入れすぎ」と家族からケチをつけられたときのものと同じです。いい気持ちはしませんよね?

結論はひとつ。理由は3つまで。

このテンプレートを使うときの注意点があります。それは好きなことは、何かひとつに絞って書くということです。

わたしは、 食べることと、ねることと、あそぶこと が大好きです。

たとえば、こんなふうに好きなことを3つも書いてしまうと、その続きの文章が書きにくくなります。読む人からしても、3つよりもひとつのほうが頭に入りやすいものです。子どもには「今回は一番好きなものひとつに絞ってみよう。そのほうがカッコいい作文になると思うよ」と伝えてあげればいいでしょう。

一方、理由のところは、3つまでなら書いてもいいでしょう。文章がふくらんで読み応えも増します。ただし、ふたつ以上あるときは、以下のようなテンプレートをおすすめします。

テーマ「わたしの好きなもの」

結論:わたしは                  が好きです。

理由:その理由は< ふたつ / みっつ >あります。

ひとつめは                  (だ)からです。

ふたつめは                  (だ)からです。

みっつめは                  (だ)からです。

まとめ:だから、わたしは                 が大好きです。

実際に文章を入れてみます。

テーマ「わたしの好きなもの」

結論:わたしは 走ること が好きです。

理由:その理由は みっつ あります。

ひとつめは 汗をかくと気もちいい からです。

ふたつめは かけっこでお友だちに勝てる からです。

みっつめは たいいくの時間に先生にほめられる からです。

まとめ:だから、わたしは 走ること が大好きです。

この子どもが大好きな「走ること」について、しっかりと掘り下げて考えたことが伝わってきます。書き上げた子どもには、「そっか、○○だから△△が好きなのね」と内容を受け入れる“声がけ”をしてあげてください。親が作文内容を受け入れてあげることで、子どもは、文章を書くことや、自分の気持ちや考えを表現することへの自信を深めていきます。

誘導文やテンプレートはアレンジしてOK

子どもの年齢や文章レベルに応じて、誘導文をアレンジして構いません。たとえば、このテンプレートを簡単に使いこなしてしまう子どもに対しては、「まとめ」の誘導文を少しレベルアップさせてみましょう。

まとめ:わたしは、これからも                    

「私は、これからも」というフレーズで誘導してあげることで、子どもたちは未来へと目を向けるでしょう。以下のまとめなどは、ちょっぴり感動的な締めくくりではないでしょうか。読後感がさわやかです。

まとめ:わたしは、これからも たくさん走って、もっとはやく走れるようになりたいです

作文のテーマも、そのつど自由に変えていきましょう。先ほどは「わたしの好きなもの」でしたが、「わたしの夢」などもおすすめです。

テーマ「わたしの夢」

結論:わたしの夢は                  ことです。

理由:その理由は                  (だ)からです。

まとめ:夢がかなったら              (し)たいと思います。

おそらく子どもたちもワクワクしながら書くことでしょう。

テーマ「わたしの夢」

結論:わたしの夢は  ひこうきのパイロットになる ことです。

理由:その理由は 自分でそうじゅうして、空をとぶことが楽しそう だからです。

まとめ:夢がかなったら たくさんの人をのせて、せかいじゅうを飛びまわり たいと思います。

もしも書けなかったとしても、それはそれです。その子はその子なりに、「わたしの好きなもの」や「わたしの夢」と向き合ったはずです。その答えを出せるのはもう少し先かもしれません。どうしても書けないときは、「どういうテーマだったら書きたい?」と本人に聞いてみてもいいでしょう。

子どもと一緒に親も作文にチャレンジ!

テンプレートのいいところは、子どもたちがゼロから文章を生み出すのではなく、穴埋めゲーム的に取り組める点にあります。おそらくこの記事を読んだ親御さんのなかにも「このテンプレートは大人でも使えそう」と思った人もいることでしょう。つまり、年齢を問わず、わたしたちは「作文レシピ」を欲しているのです。

もちろん、今回紹介したもの以外にも、たくさんのテンプレートがあります。子どもと一緒にテンプレートを考えてみるのもいい方法です。「テンプレート=文章構成」です。それを考えること自体が論理的思考の養成につながります。

そうそう、テンプレートを使って作文を書かせるときは、ぜひ親御さんも一緒に書いてみてくださいね。子どもはいつでも親の背中を見ています。「ママ(パパ)も書いている」と思った瞬間から、急に“書きたいモチベーション”がアップする子もいます。書き上げた作文をお互いに発表し合って、それぞれの内容について語り合うのもおすすめです。作文を通じて親子の絆が一段と深まるはずです。