2021.7.27

家庭でできる活字離れ対策10選

家庭でできる活字離れ対策10選

「子ども・若者の活字離れ対策が必要だ!」

こんな危機感は多くの保護者や教育者がもっています。そのため、学校や図書館では多くの対策が推進されてきました。小学校での全校一斉読書、自治体の図書館改革などです。

家庭でも、お子さんが活字に触れる習慣をつくりたいもの。しかし、動画を見るのは好きでも、読書離れが著しい子が多いのではないでしょうか? 今後も変化を続ける社会に対応できるよう、自分から情報を集める能力を身につけさせたいですよね。

そこでこの記事では、アンケートなどのデータを活用し、活字離れの有効な対策をご提案します。記事の最後では、筆者の家庭でも実践している方法を紹介するので、「読書習慣のある子に育ってほしい」「うちの子、全然本を読まない……」と悩んでいる方はぜひお読みください。

子どもの活字離れ対策1:家に本をたくさん置く

それではさっそく、家庭で取り組みやすい活字離れ対策をご紹介していきますね。まず、子どもを本好きにしたいなら、家に本をたくさん置いてみましょう。

文部科学省による「親と子の読書活動等に関する調査」(2005年)では、多くの本を置くようにしている家庭のほうが、子ども(小学生~高校生)が読書好きになる傾向がありました。

「家に本をたくさん置く」を実施している家庭→89.9%の子が「読書好き」
「家に本をたくさん置く」を実施していない家庭→84.0%の子が「読書好き」

教育について多くの著書をもつ柳沢幸雄氏(北鎌倉女子学園学園長)も、子どもを本好きにするため多様な本を買ってあげるようすすめています。

子供が食いつく餌の種類は親でもわかりませんから、いろんな分野の本を買ってまいてみます。(中略)好きそうなものを買っておいておびき寄せて、食いついたら、しめたものです。こうして子供はある日、突然、読書をし始めるのです。

(引用元:「東大生192人頭のいい子の本棚ー「小学生時代の愛読書」ランキング」, プレジデントFamily, 2018秋号, pp.58-59.)

「どんな本を買えばいいのか……」とお悩みの方には、厳選された本が定期的に送られてくるサービスがおすすめです。たとえば、子どもの本の専門店として知られる「クレヨンハウス」は、選び抜いた絵本・児童書を毎月届けてくれる「絵本の本棚」を展開しています。

「絵本の本棚」では、年齢や学年別にコースが用意されているので、どんな本を買うべきかと悩む必要がありません。活字離れ対策にぴったりですね。

本をたくさん置いてある家庭のほうが子どもが読書好きになりやすいことを示すグラフ

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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子どもの活字離れ対策2:仕掛け絵本を買い与える

子どもがひとりで楽しめる「仕掛け絵本」を買い与えるだけでも、活字離れ対策になります。

ケンブリッジ大学で英文学の博士号を取得した吉野亜矢子氏によると、まずは「本の形をしたもの」に慣れてもらうのがいいそう。子どもがひとりで開いて遊べる仕掛け絵本なら、おもちゃのように親しめます。

たとえば、エリック・カール『はらぺこあおむし』や、ジャン・ピエンコフスキー『おばけやしき』はいかがでしょう? この下にある動画をクリックし、ぜひ見てみてください。

仕掛け絵本を買うときは、子どもの年齢や好みに合うものを選ぶことが大切です。ただ仕掛け絵本は壊れやすいため、お店では袋に入っていたり、普通の図書館には置いていなかったりして、買う前に中身を確認するのが難しいんですよね。

でも、ご安心を。仕掛け絵本専門店としては日本初だという「メッゲンドルファー」のWebサイトなら、仕掛け絵本の中身をチェックできます。「生き物」「知育」「クリスマス」などのジャンルから探せますし、「これすてき!」と思ったらそのままインターネットで購入できるんですよ。

活字離れ対策に、楽しい仕掛け絵本をプレゼントしてあげてくださいね。

子どもの活字離れ対策3:図書館・本屋に連れていく

図書館や本屋に連れていってあげることも、活字離れ対策になります。その根拠は、文部科学省が実施した「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」(2017年)です。

小学4・5年生を対象にしたアンケートだと、「本を読むきっかけになっていると思うこと」に対して最も多い答えが「家族が一緒に本を読んだり図書館や本屋に連れて行ってくれたりすること」(51.1%)でした。『子どもを読書好きにするために親ができること』(小学館、2020年)などの著書がある国語教師・白坂洋一氏も、子どもが本とつながれるよう、本屋や図書館に連れて行くのが望ましいと話しています。

図書館や本屋は、子どもがさまざまな活字を目にできる貴重な場です。本を開いている大人たちの姿を見るうち、「おもしろいのかな……」と興味をもつようになるのかもしれません。

図書館や本屋では、朗読会など子ども向けのイベントが開かれているので、活字離れ対策に親子で足を運んではいかがでしょう。

「本を読むきっかけ」として最も多かった答えは「家族が一緒に本を読んでくれたり、図書館や本屋に連れて行ってくれたりすること」だった

子どもの活字離れ対策4:読み聞かせをする

「活字離れ対策といえば、読み聞かせでしょ!」と思われているかもしれませんね。そのとおりです。

文部科学省が委託した、小学5年生~高校3年生対象の「新しい時代における電子メディアと読書に関する調査」(2018年)では、読み聞かせをしていた家庭のほうが、過去1ヶ月に子どもが読書した割合が高いという結果でした。

回答した家庭全体→58.4%の子が紙の本を読んだ
就学前に読み聞かせをしていた家庭→69.9%の子が紙の本を読んだ
小学校低学年で読み聞かせをしていた家庭→71.9%の子が紙の本を読んだ
小学校中・高学年で読み聞かせをしていた家庭→78.0%の子が紙の本を読んだ

前出の白坂氏によると、読み聞かせを始める時期は早ければ早いほどいいそう。活字離れ対策のため、毎晩お休み前に「おはなしの時間」をつくり、読み聞かせをしてあげてはいかがでしょう?

読み聞かせをした家庭のほうが、子どもが紙の本を読む傾向がある

子どもの活字離れ対策5:子どもの興味を尊重する

子どもの興味を尊重することも、活字離れ対策として無視できません。書評サイト「千夜千冊」の執筆者であり、角川武蔵野ミュージアムの館長を務める松岡正剛氏によると、読書に最も必要なのは好奇心だからです。

読書が苦手だと感じてしまう最大の原因は、「本の魅力をまだ知らない」こと。本が自分の趣味や関心とつながっていることに気づけば、読書への興味が湧いてくるそうですよ。

子どもの好奇心を育てるため、親は本のジャンルを制限せず、好きなものを好きなだけ読ませてあげましょう。同じテーマの本ばかり読んでも、同じ本を何十回読んでもOKです。

ロボット好きの子にはロボット関係の本など、子どもが欲しがるテーマの本をたくさん与えます。やがて好奇心が満たされると、ほかのことへ興味が移っていくそうですよ。

「有名な作品を読んでほしいな」と思うかもしれませんが、活字離れ対策としては、子ども自身の興味を大切にしたいですね。

家庭でできる活字離れ対策10選2

子どもの活字離れ対策6:親が読書を楽しむ

あなた自身が読書を楽しむことも、子どもの活字離れ対策として効果的なんです。「親と子の読書活動等に関する調査」によれば、過去1ヶ月で1冊以上本を読んだ子どもの割合は、親の読書とこのように関係していました。

保護者が「読書好き」→子どもの90.9%が本を読んだ
保護者が「どちらかといえば読書好き」→子どもの87.2%が本を読んだ
保護者が「どちらかといえば読書嫌い」→子どもの86.8%が本を読んだ
保護者が「読書嫌い」→子どもの84.6%が本を読んだ

親が読書を好きかどうかと、子どもが本を読むかどうかは、明らかに関係しているんですね。前出の松岡氏も、子どもを本好きにしたいのなら、親が本を読むことが何より大切だと語っています。

松岡氏によれば、子どもが読んでいる本を親も読み、内容について会話するのがおすすめ。親との「共通体験」によって安心感が生まれ、読書が楽しくなるそうですよ。

「このシーンが好きだな」「私はこう思った!」と親子で同じ本について語り合えたら、楽しいですよね。家庭でできる活字離れ対策として、まずは親が率先して読書を楽しむ姿を見せてあげましょう。

親が読書好きだと、子どもも紙の本を読む傾向がある

子どもの活字離れ対策7:文章で会話する

活字離れの対策をするにあたり、そもそも「なぜ活字から離れてしまったのか」を考えてみましょう。活字が嫌いになる原因のひとつは、文章を読んで理解するという行為が大変だからなんです。

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社、2018年)を著した数学者・新井紀子氏によれば、子どもが文章を理解できないのは語彙不足のせい。語彙が豊富であれば、文章を読む際の負担が少ないため、内容をスムーズに理解できるそうです。

子どもの語彙を増やすには、家庭での会話を意識してみましょう。「今日、何?」「カレー」のように、単語で会話をしていませんか?

次からは、「今日の晩ごはんは何?」「あなたの好きなカレーライスよ」のように、いろいろな言葉を使って文で会話をしてみましょう。多くの語彙に慣れ親しみ、単語ではなく文で考える習慣がつきますよ。

親子での会話をちょっと変えてみることも、立派な活字離れ対策なんです。

家庭でできる活字離れ対策10選3

子どもの活字離れ対策8:「調べてみよう!」と促す

活字離れ対策としては、わからないことを自分で調べる習慣をつけさせるのもおすすめ。教育について多数の著書をもつ教育評論家の石田勝紀氏によると、読書習慣のない子には、まず「調べ習慣」をつけさせるのが効果的だそうです。

「これってどういうこと?」と子どもに質問されたら、「調べて教えてくれる?」と返しましょう。まだひとりで調べられない場合、一緒に調べます。

気になったことをインターネットで検索するだけなら、子どもも面倒には感じないはず。そして、ヒットした記事を読むことで、活字に親しめます。記事の内容に興味を抱いたようなら、図書館や本屋に行き、関連書籍を見せてあげましょう。

活字離れの対策として、わからないことは自分で調べる習慣をつけてあげてくださいね。

家庭でできる活字離れ対策10選4

子どもの活字離れ対策9:リビングでニュースを見る

ちょっとユニークな活字離れ対策は、リビングでニュースを見ること。教育について多数の著書がある高橋公英氏は、このように話しています。

かつては自分は見たくなくても、父親がニュースを見ている傍らで一緒に見るから、子どもも世の中の事について知識を得ていたものです。

(引用元:All About|本が好きな子供が育つ習慣や家庭環境とは?

居間やリビングで家族がテレビをつけていれば、目や耳に自然と情報が入ってきます。大人がニュース番組をつけていることで、子どもの知識・語彙が自然と増えていくんです。

ただ、ニュース番組では幼い子にとって刺激の強い映像が流れることもあるため、注意が必要です。そのような場合は、いったん消すか、チャンネルを変えましょう。

「疲れすぎて、本なんて読めない……」という方にもおすすめな、手軽にできる活字離れ対策です。

家庭でできる活字離れ対策10選5

子どもの活字離れ対策10:新聞を広げておく

「もっと手軽な活字離れ対策はないかな?」という方には、新聞を広げ、子どもの目に入るよう置いておくことをおすすめします。特に子ども向け新聞なら、ふりがなつきで読みやすいですし、凶悪事件やゴシップは載らないため安心です。

筆者の家庭では、子どもがいろいろな言葉に出会え、自然に視野を広げられる便利なツールとして、「朝日小学生新聞」を定期購読しています。朝日小学生新聞を選んだのは、以下のような理由です。

  • 時事問題が豊富で親も楽しめる
  • 毎日届く
  • 社会の「旬の言葉」に触れられるツールとしてコストパフォーマンスがよい

 
ほかのご家庭でも、子どもの語彙を増やすため、新聞を読ませたいと考えている方が多いようです。保護者向けインターネットサービスを手がけるアクトインディ株式会社は2018年、12歳以下の子どもがいる保護者を対象に、「新聞に関するアンケート」を実施しました。その結果は……

子どもに新聞を読んでほしい:68%
子どもに新聞を読んでほしいと思わない:20%

なんと、7割近い保護者が、子どもに新聞を読ませたいと考えているのです。その一方、実際に紙の新聞を定期購読していると答えたのは、わずか37%でした。新聞に教育効果を期待する保護者は多いものの、実践している人は少ないのですね。

子どもに新聞を読んでほしいと考える親は7割もいる

言葉に触れるだけなら、テレビやインターネットでも十分です。しかし筆者は、小さな子がひとりで安全に、好奇心のおもむくまま、広大な活字の世界に飛び込めることが新聞の良さかな……と感じています。

まだお子さんが小さく文章を読むのが難しい場合、お膝に乗せてあげ、新聞の文字を読み上げながら指でなぞり、親子で活字の音と形を楽しむこともできますよ。子どもの活字離れ対策として、子ども向け新聞を活用してはいかがでしょうか。

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お子さんの活字離れが心配な方に向け、就学前でもできる対策を10個ご紹介しました。「これならできそう!」というものが見つかりましたか? 簡単そうなものから試してみてくださいね。

文/上川万葉

(参考)
白坂洋一(2020),『子どもを読書好きにするために親ができること』, 小学館.
新井紀子(2018), 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』, 東洋経済新報社.
「東大生192人頭のいい子の本棚ー「小学生時代の愛読書」ランキング」, プレジデントFamily, 2018秋号, pp.58-59.
プレジデントオンライン|松岡正剛さんがアドバイス「子供のための本選び」
All About|本が好きな子供が育つ習慣や家庭環境とは?
東洋経済オンライン|子どもを「本好き」に変える、ただ1つの方法
文部科学省|親と子の読書活動等に関する調査
文部科学省|平成28年度 子供の読書活動の推進等に関する調査研究-概要版-
文部科学省|平成30年度 子供の読書活動の推進等に関する調査研究-概要版-
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|参加型の読み聞かせで本好きな子に! 親子の対話を引き出す、インタラクティブな絵本たち。
文部科学省|(資料4)子供の読書活動に関する現状と論点
ダイヤモンド・オンライン|「語彙の豊かな子」の親がしている5つの習慣
東北大学|親子で過ごす時間が子どもの言語理解と関連脳領域に影響
いこーよ|新聞週間を前に全国の子育て層に調査