教育を考える 2019.4.19

子どもが「本当に褒めてほしいこと」。やる気スイッチをONにする言葉とは

子どもが「本当に褒めてほしいこと」。やる気スイッチをONにする言葉とは

やる気が出る要因には、「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」の2種類があることを知っていますか?

子どものやる気を引き出し、それを継続させるためには、内発的動機づけを高めることが重要です。親はつい「早く〇〇しなさい!」と言ってしまいがちですが、そもそも親の言うとおりに行動したからといって、そこに「やる気」はありません。どうやら、子どものやる気スイッチを押すには、ちょっとしたコツが必要なようです。

今回は、内発的動機づけの仕組みや、内発的動機づけを高めるための言葉かけについてご紹介します。

「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の違い

まず、内発的動機づけと外発的動機づけの違いから見ていきましょう。

【内発的動機づけ】
自分自身でやる気を引き出して物事に取り組んだり、その行為自体を楽しんだりすることです。たとえば、「ピアノを弾くのが好きだから、毎日欠かさず弾いている」「計算問題を解いていくときの達成感が好きで、算数の授業になるとつい張り切ってしまう」など。

物事の結果よりも行為や過程を重視し、その意味を自分なりに見出していることが特徴です。内発的動機づけは、簡単にいえば「それが好きだから、おもしろいからやっている」という状態なので、意識せずとも高いモチベーションを維持することが可能といえます。

【外発的動機づけ】
内発的動機づけとは違って、賞罰や第三者といった自分以外の何かによってやる気が引き出されることです。具体的には「給料がもらえるから仕事をする」「親や先生に褒められるために勉強をする」など。親が子どもに対してやりがちな「お手伝いをしてくれたらご褒美をあげる」「テストで〇点をとったら欲しかったものを買ってあげる」というのも外発的動機づけに該当します。

外発的動機づけもやる気を引き出す方法として有効ではありますが、結局のところ「誰か(何か)にやらされている」状態です。そのため、外発的動機づけばかりに頼ってしまうと、ご褒美がないとお手伝いをしなかったり、テストで高得点をとって欲しいものを買ってもらうためにカンニングをしてしまったりする可能性もあります。

子どもの「やる気」は成績に影響する

子どもの内発的動機づけは、自分自身でやる気を引き出せるようになることから、学校での成績にも大きく影響するといわれています。ベネッセ教育総合研究所の「小中学生の学びに関する調査報告書(2015)『研究レポート2 自律的な理由で勉強することが適応的である』」の中には、このような報告があります。

小学生、中学生ともに、「内発的動機づけ」が高く「外的動機づけ」が低い自律的動機づけタイプの子どもが、学校での成績が最もよいという結果が得られました。自律的動機づけタイプの子どもは、“楽しいから勉強する”といった内発的動機づけに基づいて勉強しており、外的な報酬や罰は必要なく、そこから得られる達成感や充足感が報酬となるため、自発的に、そして積極的に学習に従事し、しかも継続的に取り組むことができるのだと考えられます。その結果、望ましい成績につながるものと考えられます。

(引用元:ベネッセ教育総合研究所|研究レポート2 自律的な理由で勉強することが適応的である

また、内発的動機づけから自分の好きなことに取り組むことができれば、子どもの得意分野や特技を見つけることにもつながります。親がそれを伸ばせる環境を整えてあげることで、やがて子どもが自分に自信を持てるようになったり、特技を生かした将来の職業選択を意識するようになったりするでしょう。

実際のところ、大人の場合は「家族を養うために、仕事が嫌でも毎日出勤しなければならない」など、外発的動機づけによる行動がルーティンになってしまうこともあります。しかし、子どものうちに内発的動機づけがスムーズにできるようになっておけば、外的要因に左右されることなく、どんな状況でも自分自身のやる気を引き出せるようになるのです。

子どもの内発的動機づけを高める3つの声かけ

前述したように、内発的動機づけには結果ではなく過程を重要視するという特徴があります。結果はその日の体調や運、競争相手に左右されることもありますが、過程は子どもが実際に行なってきたことであり、着実に能力として身についていきます。

子どもが本当に親に見てほしいのは、この「過程」なのです。そのため、親が子どもの内発的動機づけを高めるためには、以下のような声がけを意識しましょう。

■「○○ができてすごいね」
内発的動機づけを高めるためには「結果ではなく、それまでの過程をこなせたこと=子どもの能力」を褒めることが大切です。例えば、テストで100点がとれたときは「100点をとれるなんて、すごいね」と声をかけるよりも「問題を正確に、しかも完璧に解けるなんて、すごいね」などの声がけをしましょう。
■「成長したね」
自分の成長を実感でき、喜べるようになることは、内発的動機づけを高めるのに有効です。たとえ結果が出なくても「この前よりはうまくなったね」「すごく成長したね」と声をかけてあげましょう。すると、子どもは「自分がやってきたことは良いことで、前向きに捉えるべきことなんだ」と認識し、より自分のやる気を引き出せるようになります。
■「楽しんでみよう」
結果にこだわらず、物事を楽しむという経験は、内発的動機づけにつながります。特に、子どもが新しいことに挑戦したり、苦手なことに取り組もうとしていたりするときには、「まずは楽しんでみればいいんだよ!」と声をかけ、不安な気持ちを取り除いてあげましょう。

***
子どものうちに内発的動機づけを高めることは、学校での成績や将来設計にも大きく影響します。勉強やお手伝いをさせたいときには、子どもをついつい「物で釣ってしまう」こともありますが、まずは普段の声かけを工夫することで内発的動機づけを高めてみましょう。

文/田口るい

(参考)
PRESIDENT Online|アドラー心理学で解明「やる気」の出し方
ベネッセ教育総合研究所|自律的な理由で勉強することが適応的である
ホウドウキョク|子どもの“やる気”はどう作る? 自主性を引き出すための“声かけ&質問”を学ぼう
PRESIDENT Online|子供が見違える「短い声かけフレーズ10」