教育を考える/知育 2018.8.8

“本物を与える” ことの大切さ。20年後30年後にも生きる「流行りに左右されない遊び」とは?

中村桃子
“本物を与える” ことの大切さ。20年後30年後にも生きる「流行りに左右されない遊び」とは?

こんにちは、日本知育玩具協会認定講師の中村桃子です。今回は「流行りに左右されない遊び」についてお話ししましょう。

皆さんは、お子さまにおもちゃを買い与えるとき、どのような基準で選んでいるでしょうか?

手に入りやすいから?
テレビCMでたくさん宣伝されているから?
遊んだら頭が良くなりそうだから?

ご家庭によって、動機はさまざまでしょう。

でも実際のところ、「安いかどうか?」という基準で選んでいる親御さまも多いのではないでしょうか。そして、「それはどうして?」と聞いてみたら、「おもちゃは、いずれ捨てるものだから」「すぐに遊ばなくなり、もったいないから」という声が返ってきそうです。たしかに、子どもは日々成長しますから、こう考えるのも無理のないこと。

しかし、そうではないのです。ここで、幼児期から学童期にかけてのお子さまにおもちゃを選ぶ際の基準について、少し考えてみましょう。

20年後30年後にも生きる「流行りに左右されない遊び」とは?2

じつは怖い!? 「おもちゃは使い捨て」という認識にひそんでいるワナ

たとえば、日本生まれの「LaQ」というブロックのおもちゃがあります。メインパーツは三角と四角の2種類で、それらをつなぐジョイントパーツは5種類。これらのたった7種類のパーツだけで、じつは球体までも作れてしまいます。そんな「世の中に存在するあらゆる物を作れる」のが、LaQのすごいところ。

このLaQ、5歳の子にとってとても楽しいおもちゃなのは周知の事実です。では、ここでちょっと考えてみてください。もし中学生がこのLaQで遊んだら、はたして幼稚で楽しくないでしょうか? いえいえ、幼稚ではなく、楽しいはず。もっと言えば、大人だって楽しいくらいです。

しかし、5歳児が持つようなキャラクターやヒーローもので中学生が遊んでいたとしたらどうでしょう? 当然、違和感を覚えるはずです。だからみんな、その年齢を過ぎれば、捨てたり手放したりしてしまうわけです。

じつは、この遊ばせるけれど、捨てさせる」というのが、日本のおもちゃの文化の特徴とも言えます。流行り廃りにかかわらず、時期が過ぎたら「もう要らないよ」となってしまうのですね。

でも、じつはこれが、子どもの「愛着感情」を退行させてしまうということをご存知でしたか? 本来、幼児期から学童期にかけて行なわれる人間形成に対して、逆行しているのです。

子どもにとって、おもちゃはまさに “自分の分身” “自分そのもの” です。おもちゃは愛着形成を促すものだということを、ぜひ覚えておくとよいでしょう。

20年後30年後にも生きる「流行りに左右されない遊び」とは?3

「子育て費用」の総額は22年間でいくらになる? 調査結果をもとに計算してみた。
PR

良いおもちゃだから叶う「愛情のバトンリレー」

ドイツの片田舎に、ベック社というおもちゃメーカーがあります。創業者であるベック氏は、「私のおもちゃは30年壊れずに子どものそばになければならない」ということにこだわったおもちゃ職人です。彼のおもちゃで遊んだ子どもが親になったとき、その子どもに再び同じおもちゃを出会わせてあげられるように、ということですね。

お気づきでしょうか? じつは、おもちゃで遊ぶという行為からすでに、次の教育や子育ての準備は始まっています。そのためには、流行り廃りに左右されず、使い捨てではない、この先もずっとあり続けるおもちゃを選ぶ必要があるのです。

20年後30年後にも生きる「流行りに左右されない遊び」とは?4

おもちゃは消耗品から文化財へ

このように、私たち大人は、子どもにおもちゃを選ぶ際に、「良いもの・本物を与える」ということを、心にしっかりと留めておく必要があります。良いもの・本物に出会うことで、「自分の “遊びたい気持ち” は、こんなに満たされるんだ」ということを、お子さま自身に気づかせてあげましょう。そして、自分が育ったおもちゃで、将来子どもを育て、次の世代へとバトンをわたしていけたら素敵だと思いませんか?

消耗品ではない、文化財としてのおもちゃ。子どもたちにとってのおもちゃとは、まさに「愛着を育てるもの」なのです。長く遊んでいくことによって、そのおもちゃが自分にとって大切なものとなります。そんなおもちゃを使いこなすことが、“自分を大切にする” という心を育てるのです。 ぜひ皆さんも、お子さまに「使い捨てではないおもちゃ」を出会わせ、自分を大切にする心を育ててあげてください。

現実には、お友だちが持っているものや流行りのおもちゃを欲しがる時期がやってくるかもしれません。そんなときでも、お子さまに寄り添う気持ちを忘れずに。お子さまの気持ちを受け止めつつ、お子さまの未来へとつながる発達に沿ったおもちゃへと導いてあげましょう。その魅力は、お子さまの心に誠実に働きかけてくれることでしょう。

次回は「幼児期を過ぎてからもっと楽しくなる積木遊び」についてお話しします。お楽しみに。

(参考)
藤田篤 (2014),『子育てを感動にするおもちゃと絵本』, KTC中央出版

監修:(社)日本知育玩具協会