教育を考える/本・絵本 2018.7.2

“小学生以下”の子どものための図書館『絵と言葉のライブラリー ミッカ』

長野真弓
“小学生以下”の子どものための図書館『絵と言葉のライブラリー ミッカ』

こどもの好奇心の源である本。できるだけたくさんの本を見たり読んだりして欲しいと誰もが思うでしょう。でも買って自宅に保管するのには数に限りがあります。そこで活躍するのが図書館。

今やどの地域の図書館にも児童用コーナーが用意されていますが、東京都葛飾区の亀有駅前リリオ館7階に2018年4月にオープンした図書館は他とちょっと違います。

それほど大きくはない施設ですが、1ヶ月で約7000人もの人が来館したという、小学生以下の子どものための図書館『絵と言葉のライブラリー ミッカ』をご紹介します。

徹底的に子どもにフォーカスしたコンセプト

まず印象に残るのが「ミッカ」というネーミング。この名前からして「普通の図書館ではなさそう……」とピンときますよね! どんな意味が込められているのでしょうか?

子どもたちの好奇心が掻き立てられ、「いっちょやってミッカ!」「ミッカった!」そう感じる「なに」かに出会ってほしい。そして、きらきら光るその小さな種を、大切に応援できる場所でありたいという想いから名付けました。誰かのそうぞう性や人間性が素直に、豊かであり続けることを願って。

(引用元:絵と言葉のライブラリー ミッカ|ORIGINミッカのネーミング

そう、ここは小学生以下の子どものための図書館なのです。大人は子ども同伴でなければ利用することができません。ただ本が並べてあるだけではなく、子どもがワクワクできる工夫が館内随所に散りばめられています。そのため、本が好きな子もそうでない子も楽しめて、また来たくなるような場所となっています。

子どもの行動を知り尽くし、考えつくされた空間づくり

館内は「本だな」「ギャラリー」「ミッカシアター」「大きなソファ」「アトリエ」の主に5つのエリアで構成され、シアターを中心に周回できるような作りになっています。

「興味の入口は本だけではない」という考えのもと、本が並ぶ本棚やそれを自由に読める大きなソファエリア以外に、“体験できる”アトリエ、“鑑賞できる”シアター、展示を通して“興味を追求できる”ギャラリーを備え、子どもの様々な興味に対応できる仕組みになっています

館内の壁や扉には図書館のテーマである“ことば”と“絵”が散りばめられ、カーテンにはデザイナーの可愛らしいオリジナル刺繍が施されるなど、ココロ躍る遊び心があちこちに。たくさんの小さな発見も大きな魅力です。

そして、もうひとつの特徴が館内に“注意書き”がないこと。子どもが利用する施設にはよく「静かにしましょう」「走ってはいけません」などの注意事項が貼られていますよね。ミッカでは子どもたちにはできるだけ自由に過ごしてほしいと、子どもたちの行動を予測して動線やレイアウトを工夫することで、注意せずにすむ環境を実現しているそうです

子どものことを知り尽くしているからこそできる心配りは家庭でも活かせる点がありそうです。気兼ねなく興味のままに過ごせる空間は子どもたちにとっては何よりの“オアシス”となるでしょう。

本の選定や並べ方がユニーク!

ミッカの本棚には、絵と言葉にこだわって選ばれた約3000冊の本が並んでいます。絵本、図鑑、漫画、写真集、紙芝居などジャンルはさまざまで、中には子ども向け以外の本も。

館長の山本さんによると、本の選定の基準は「作者の内なる表現を、読者が自由に想像して楽しめる本」「正しさを求めすぎない本(啓発要素が少ないもの)」「作り手の想いが詰まった魅力的な本」の3つ。選ぶ基準もミッカのコンセプトからぶれません、そして感性重視でユニークです。

また、その並べ方はもっとユニーク。作家別やジャンル別ではなく、子どもの興味をそそるコーナーづくりがされています。例えば、「この人知ってる?」コーナーには、歴史上の人物やデザイナーなど多方面の有名人の本が混在しています子どもが本を戻した位置からもその意味や理由を読み取ろうとされるなど、子どもの視点で、子どもと一緒に“本だな”を作り上げていこうという温かく広い心持ちを感じます

大人気シアターで毎日開催されるイベント

ミッカで大人気のシアターでは、ほぼ毎日「読み聞かせ」などのイベントが行われています。なんとお笑い芸人や劇団員などのプロが語ってくれる日も。お笑い芸人は面白おかしくコスチュームを着たりとサービス満点。ホンモノの落語やシンガーソングライターの方の歌が聞ける日もあります。

自分で本を読むだけではなく、生きた言葉の表現を体感できる場として、シアターはミッカの中心になっています。

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ミッカは公民連携による地域開発プロジェクトの一環として誕生しました。ここにさまざまなクリエイターが参加し、おしゃれでユニークで子どもに優しい“ライブラリー”が実現したのです。駅前の商業ビルの7階にあり、日々の生活で利用しやすい立地も最高ですし、入館時に靴を脱ぐので、家でくつろぐようにリラックスして楽しめます。

まだ始まったばかりのミッカの挑戦。素敵な空間を活用すべく大人向けに夜のイベント開催も検討されているなど、今後の展望も注目を集めそうです。

※ミッカでは本の貸し出しは行なっていませんが、区立図書館のサービスカウンターが併設されているので、図書館所蔵の本ならその場で予約貸出、返却ができるようになっています。

『絵と言葉のライブラリー ミッカ』
〒125-0061 東京都葛飾区亀有3-26-1 リリオ館7F
JR常磐線 亀有駅南口 徒歩30秒 (東京メトロ千代田線直通)
電話番号:03-6662-4315
営業時間:10:00〜19:00(最終入館18:30)
休館日:月曜、第4木曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、リリオ館店休日(年2回)
入館料:1日券200yen、パスポート(6ヶ月)1,000yen、小学生以下無料
※18歳以上の方のみでのご利用はできません

(参考)
絵と言葉のライブラリー ミッカ
「日本初!子ども限定図書館『ミッカ』オープン」, Discover Japan, 2018年7月号, pp.138-143.
葛飾区総合アプリ|【絵と言葉のライブラリー「ミッカ」オープン!】