教育を考える 2019.9.24

リーダー性のある子がクラスにかならずいる理由。成績はどこまで重要視されるのか?

リーダー性のある子がクラスにかならずいる理由。成績はどこまで重要視されるのか?

かつては自分自身もあたりまえのように通い、親となってからは子どもを毎日通わせている小学校。ただ、その内側の事情となると、意外と知らないことも多いものです。

学校関係者以外は知らないことというと、「どうやってクラスわけは決まっているのか」ということもそのひとつでしょう。「うちの子は仲がいい友だちと同じクラスになれるかな」と、子ども自身はもちろん、親も気になるところです。

2017年3月まで、公立小学校の教諭を22年間にわたって務めた帝京平成大学鈴木邦明先生に、クラスわけの内部事情を教えてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

クラスわけのベースとなるのは前年度の成績

まず先に断っておきたいのは、これからわたしがお伝えする内容は全国的に共通したものではないということです。というのも、クラスわけなど学校運営に関することにはローカルルールのようなものも多いうえに、公立校であっても校長の意向が大きく反映されるものであり、地域や学校によって異なる点も多いからです。わたしが小学校教諭として勤めたのは神奈川と埼玉の公立小学校ですから、その経験からの話だとご理解ください。

さて、クラスわけの基準とはなにかというと、やはり「成績」がベースになります。各クラスの学力をなるべく均等にすることが基本です。たとえば3クラスにわけるなら、男女別での前年度の成績によって、次のような割り振りにします。

【1組】男1位女3位男6位女4位男7位女9位……
【2組】男2位女1位男5位女6位男8位女7位……
【3組】男3位女2位男4位女5位男9位女8位……

1組から3組まで成績順に1位から3位までの児童を振りわけたら、今度は3組から1組に向かって4位から6位の児童を割り振る。蛇腹のように折り返すことで、各クラスの学力に差が出ないようにするわけです。また、男子と女子それぞれの1位の児童が同じクラスにならないよう、男子の割り振りを1組からはじめたら、女子の割り振りは別のクラスからはじめます。

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
PR

学校外での児童同士のトラブルは報告するのがベター

このベースができたら、他のさまざまな要素を加味してメンバーを入れ替えていきます。大きな要素としてはまず「人間関係」が挙げられます。互いに仲が悪い児童同士や、意地悪をしている、されている児童は別のクラスにするわけです。

この点で、保護者のみなさんにひとつアドバイスをしておきましょう。もし、学校外の場所、たとえば習い事や塾、スポーツクラブなどの友だち関係になんらかのトラブルがあったとしたら、ぜひ学校に報告をしてください。学校側が知り得ない情報を教えてもらえたら、学校としてもなるべくクラスわけに配慮するはずです。

一方で、トラブルがあるのではなく児童同士が「仲がいい」場合には、基本的にはクラスわけに影響するものではありません。ただ、あまりに仲がいいためにクラスを引っかきまわすようなことがあるなど、まわりに迷惑をかけることが予想される場合にはあえて引き離すということも考えます。

それから、クラスわけに加味するその他の要素としては、「リーダー性」「体育や音楽の能力」があります。いわゆる学級委員のようなクラス代表となれる資質を持っている児童がクラスに誰もいなければ学級運営に支障をきたしますから、必ずすべてのクラスにそういうリーダータイプの児童を入れるようにします。

また、運動会のリレーや球技大会で大差がついてしまったり、クラス別の合唱コンクールなどでピアノを弾ける児童がクラスにひとりもいなかったりすれば、これもまた問題です。勉強の成績とは別に、体育や音楽の能力を均等にすることも大切なのです。

加えて、児童が住んでいる地域を加味する場合もあります。ひとりで長い距離を登下校させることのないよう、遠くから通学するような児童がいる場合、同じ方向に住む児童を同じクラスにするということを考える場合もあります。

1年生の4月だけ「仮クラス」を採用している学校もある

これらのクラスわけは、基本的に前年度の担任教員たちが行います。新4年生のクラスわけをするのは、その児童たちが3年生のときの担任が行うというわけです。そうなると、気になるのは1年生のクラスわけでしょう。前年に担任をしていた教員などいないのですから、1年生のクラスわけだけは少し特殊になります。

1年生のクラスわけに関しては、情報が少ないことがやはりいちばんのネックです。もちろん、幼稚園や保育所からは子どもの家庭環境や「どういう子どもだったか」というふうなある程度の情報をもらえますし、子どもの様子を直接見るために教員が幼稚園や保育所に出向くこともあります。それでも、ひとつの小学校の学区にある幼稚園と保育所の数は多いですから、やはり情報を集め切れないというのが実情です。

その点でいい仕組みだと思うのは、「仮クラス」というもの。採用している学校は多くはないのですが、1年生の4月だけ仮のクラスで学校生活を送らせ、そのあいだに子どもたちの能力や性格などを観察し、5月の連休明けから正式なクラスにわけるという方式です。

いちばんうえの子どもがまだ未就学児という親御さんなら、やはり子どもが小学生になってからのことが気になるはずです。1年生が特殊なのは、クラスわけだけではありません。1年生はまだ幼いだけに、児童の月齢によって心身の発達に大きな差があります。落ち着いて椅子に座っていられない児童もいれば、それこそ母親がいないと大泣きしてしまうような母子分離ができていない児童もいます。

ですが、教員たちはただ勉強を教えるだけでなく、子どもの扱いについてもプロフェッショナルです。1年生の担任教員は、そういう多少の問題を抱えていて親が心配してしまうような子どもに対しても、じっくりと向き合って導くことができますから、安心してほしいと思います。

■帝京平成大学現代ライフ学部講師・鈴木邦明先生 インタビュー一覧
第1回:リーダー性のある子がクラスにかならずいる理由。成績はどこまで重要視されるのか?
第2回:担任教員と話していますか? 子どもの学校生活の質を上げるために親ができること
第3回:通知表を見て親が一喜一憂する必要はない。重視すべきは学期末や学年末のテスト

【プロフィール】
鈴木邦明(すずき・くにあき)
1971年生まれ、神奈川県出身。帝京平成大学現代ライフ学部児童学科小学校・特別支援コース講師。東京学芸大学教育学部卒業。放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修士課程修了。神奈川県、埼玉県の公立小学校に22年間にわたって勤めたのち、2017年から小田原短期大学保育学科特任講師、2018年から現職。他に、相模女子大学学芸学部子ども教育学科非常勤講師、人間総合科学大学人間科学部心身健康科学科非常勤講師も務める。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進め、大学での講義を中心に、保護者向けに子育て・教育、教員向けに授業方法・学級経営などのテーマで執筆、講演活動も行うなど幅広く活動中。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。