2018.10.1

動物園だけじゃない! 上野には子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』があります

編集部
動物園だけじゃない! 上野には子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』があります

東京上野と聞いてまず思い浮かべるのはパンダでおなじみ『上野動物園』ですね。アートが好きな親御さんにとっては、美術館や博物館も気になるスポットなのではないでしょうか。しかしもう一つ、子どもたちにとって夢のお城のような場所があるということは意外と知られていません。

緑豊かな上野恩賜公園に隣接する『国際子ども図書館』。
ここは子ども本の専門図書館です。

長い歴史を感じさせる壮大で優雅なレンガ棟と
ガラスの曲線が美しいアーチ棟が織りなすワンダーランド

子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く」という理念の実現を目指して作られた、国立の児童書専門図書館『国際子ども図書館』。設立は2000年ですが、建物の歴史は古く、1906年(明治39年)に帝国図書館として建てられた明治期ルネサンス様式の建築物を再生・利用しています

確かにそのクラシカルな佇まいは「子どもの本の図書館」というよりも、海外の歴史あるミュージアムのようです。重厚で厳か、それでいて神秘的な雰囲気も感じさせるこの建物の中に、本当に児童書ばかりが並んでいるのでしょうか?

レンガ棟」と「アーチ棟」の2つの建物からなる『国際子ども図書館』。それぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。

■レンガ棟

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』2
↑東京都の歴史的建造物にも指定されているレンガ棟。明治・昭和・平成の3つの時代の増築や改修を経て現在に至ります

特徴としては、貴重な建築遺産を保存しながら、新しい機能と空間をあわせもつ図書館として再生・利用しているという点です。1階から3階まで吹き抜けの大階段には、100年以上前の創建当時からあるシャンデリアやケヤキの扉が今もなお使い続けられています。また、平成の改修で付加されたラウンジでは明治期には外壁であった化粧煉瓦に触れることができます。ホール部分では、高い天井構造による音響効果を生かして音楽会が行われるなど、建物そのものの魅力を存分に活用して、訪れた人たちに歴史と文化を感じさせてくれます。

1階:子どものへや

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』3↑小学生以下対象の「子どものへや」には、職員が選んだ約9,000冊の児童書が並んでいます。靴を脱いでリラックスして本を読むスペースも!

1階:世界を知るへや

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』4
↑子どもたちが国際理解を深めることを目的とした本を約1,800冊所蔵。帝国図書館時代には貴賓室として使用されていました

また他にも1階フロアには、子ども向けのおはなし会を行っている「おはなしのへや」があります。

2階:児童書ギャラリー

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』5
↑明治から現代までの児童書の流れをたどることのできる常設の展示室

2階:調べものの部屋

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』6
↑中高生の調べものに役立つ資料約10,000冊を自由に手に取って見ることができます

3階:本のミュージアム

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』7
↑さまざまなテーマで児童書に関する展示会を開催する部屋です

■アーチ棟

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』8
↑2015年に完成したアーチ棟。緩やかに弧を描く全面ガラス張りの美しいこの建物は、本をめくるようなイメージで設計されました

アーチ棟の内部は1階に2つの研修室があり、講演会や研修会などを開催する多目的スペースとなっています。また2階は「児童書研究資料室」として、児童書の調査研究のための資料が取り揃えられています。

レンガ棟とともに中庭を囲むような形で建設されたアーチ棟からは、帝国図書館創建当時からある「中庭と一体となった図書館環境を造る」というコンセプトをしっかりと感じ取ることができます。

開放感がある広い中庭は、小さい子どもと一緒にちょっとひと休みするのに◎。本を身近に感じながらも自然と一体になって遊べるこの空間は、日頃忙しい親御さんにとっても、ゆったりとした気持ちで子どもと向き合う貴重な時間が得られるのではないでしょうか。

子どもの本の図書館としての使命

さて、国際子ども図書館には大きく分けて3つの役割があるそうです。

  1. 児童書専門図書館として、日本や外国の子どもの本を集めて、子どもの本や子どもの読書についての調べものに役立てること
  2. 子どもと本のふれあいの場として、すべての子どもに図書館や読書に親しむきっかけを作ること
  3. 子どもの本のミュージアムとして、子どもの本の魅力を紹介すること

これらの役割を果たすために、館内ではさまざまな工夫が随所に散りばめられています。

  • 検索に慣れていない子どもが本を探しやすくするために「国際子ども図書館子どもOPAC」という子ども向けの蔵書検索システムを提供しています。
  • 図書館や本の世界に親しむきっかけを提供するおはなし会(※)や各種イベント・展覧会の開催、そして子どもが本を手に取るきっかけとなるような展示や陳列など、細かい部分にも工夫が見られます。
    (※子どものためのおはなし会)
    毎週土曜日の2時と3時に開催しています。2時の回は4歳から小学校1年生まで。3時の回は小学校2年生以上が対象です。詳しくはHP(子どものためのおはなし会)をご覧ください。
  • 授乳スペースではミルク用のお湯の用意があったり、レンガ棟1階廊下の弁当席や屋外テラスで気軽に飲食できたりと、小さなお子さまと保護者の方が安心して利用できるつくりになっています。

 
このように、本と子どもたちをつなぐ架け橋として、『国際子ども図書館』は活動しています。

子どもを魅了する夢のお城『国立国会図書館国際子ども図書館』9
(※写真はすべて国立国会図書館国際子ども図書館ウェブサイトより転載)

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最後に、児童サービス担当者から読者の方に向けて「読書の秋に、どうぞ親子で国際子ども図書館にいらしてください」というメッセージをいただきました。

樹々の葉が色づき始めたこの季節。ちょっと足を伸ばして上野まで出かけてみませんか? 緑に囲まれたこの場所で読書の楽しみを知ることで、子どもたちと本の距離は今よりももっと縮まるのではないでしょうか。

国立国会図書館国際子ども図書館
東京都台東区上野公園12ー49(JR上野駅公園口から徒歩約10分)
03-3827-2053
開館時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日・国民の祝日(5月5日こどもの日は開館)・年末年始・毎月第3水曜日(資料整理休館日)