教育を考える/食育 2019.1.17

“パン&〇〇”で最高の朝食になる! 脳が育つ食べ合わせ「5つの黄金ルール」

“パン&〇〇”で最高の朝食になる! 脳が育つ食べ合わせ「5つの黄金ルール」

脳の発達を促し、しっかり働かせるための栄養素を知れば、あとはそれらを食事で摂取するだけ。それで十分だと思ってしまいますが、じつは「それでは不十分」なのだそう。そう語るのは、オリジナルの「育脳」レシピ開発で子どもを持つ親御さんのファンも多い管理栄養士・小山浩子さん。小山さんによると、それぞれの栄養素が最大限に力を発揮するための「食べ合わせ」こそがもっとも重要なのだそうです。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)

ブドウ糖を持続的に脳に送るカリウム・食物繊維

健康な脳をつくりしっかり働かせるには、脳に必要な栄養素がしっかり力を発揮することが大切です。まず、わたしが提唱している、脳に効く食べ合わせルールを紹介しておきましょう。

【脳に効く食べ合わせ「5つの黄金ルール」】
1:炭水化物×カリウム・食物繊維
2:レシチン×ビタミンC
3:DHA・EPA×ビタミンE
4:ビタミンB12×クエン酸
5:ビタミンB群×亜鉛×色素成分

このうち、脳に絶対に欠かせない炭水化物、レシチン、DHA・EPA(インタビュー第1回参照)が含まれる1番から3番までのものが特に重要なものです。では、一つひとつ解説していきましょう。

まずは1番目の「炭水化物×カリウム・食物繊維」炭水化物(ブドウ糖)は脳を動かすガソリンの役目を果たします。ダイエットの敵だとして避けられることも多い炭水化物ですが、脳をしっかり動かすためには欠かせないもの。ご飯やパン、麺類など、なんでもいいので特に朝食できちんと子どもに食べさせるようにしてください。

ただ、注意してほしいことがひとつ。炭水化物ばかりを大量に摂取すると、血糖値が急激に上昇してしまいます。すると、インスリンが分泌され、子どもが学校に行って2時間目の授業の時間くらいには低血糖状態に……。眠気を誘って集中力が削がれてしまうことにもなってしまいます。これでは授業をきちんと受けられませんよね。

それを避けるため、炭水化物と一緒にカリウムや食物繊維を摂取しましょう。これらを含むのは、野菜や果物、ヨーグルトです。カリウムと食物繊維の働きにより、脳にガソリンであるブドウ糖をゆっくりと持続的に送ることができるのです。

少しの工夫が重要栄養素の働きを助ける

2番目の「レシチン×ビタミンC」は、脳の神経伝達物質をつくるレシチンとおすすめの食べ合わせです。レシチンは卵や大豆製品に含まれる栄養素。ただ、このレシチンはそんなに吸収率がいい栄養素ではありません。なぜなら、汗や尿と一緒に流れ出やすいものだからです。

その流出を抑え、吸収を助けるのがビタミンC。もちろん、大豆にもビタミンCは含まれていますが、他の野菜や果物でさらに効果を高めようというわけです。たとえば、お豆腐を食べるにしても、プチトマトなどの野菜を添えるような工夫をおすすめしますね。

続いては3番目「DHA・EPA×ビタミンE」。ここでの主役はDHAとEPA。これは脳をつくる材料となる栄養素です。これらは油ですから、空気に触れただけで酸化がはじまり、体内に入ってからも酸化は進みます。酸化してしまうと、DHAとEPAは十分な働きをしてくれません。

この酸化を抑えるのが、ビタミンEなのです。含まれるのはブロッコリーやサニーレタス、カボチャなど、いわゆる緑黄色野菜です。ビタミンEには、DHAとEPAの酸化を抑えることだけでなく、脳に持続的にDHAとEPAを送る働きもあります。また、緑黄色野菜を取るのが手間だというなら、オリーブオイルを使ってもOK。オリーブオイルも豊富にビタミンEを含むものですからね。調理に使う他、調理後の魚にかけるだけでも十分です。

ふたつの補助的ルールで完璧「育脳」食に

「5つの黄金ルール」のうち、3番目までは「3本柱」とも呼ぶべき重要なものなので、できれば毎日の食事に取り入れてほしいですね。そして、残る4番目、5番目は補助的なものとなります。余裕があるようなら、これらも踏まえてもらえれば脳にとって完璧といえる食事になりますよ。

4番目は「ビタミンB12×クエン酸」。ビタミンB12は「血液のビタミン」とも呼ばれ、血液の状態を良くする働きがあります。血流が良くなければ、炭水化物にしても、レシチン、DHA、EPAにしても、脳にしっかりと届けることができませんから、ビタミン12の働きも大切なものなのです。

ビタミンB12は豆製品にも入っていますが、豚肉やレバーなどに含まれる動物性のものがその働きが強く、特におすすめです。そして、その吸収を高めるのがクエン酸レモン汁やお酢などを豚肉やレバーと一緒に食べる工夫をしてみてください。

最後は「ビタミンB群×亜鉛×色素成分」です。これらは脳全体の活性化を図る栄養素。この食べ合わせは代謝を高める働きがあるので、炭水化物など、摂取した栄養素の働きの即効性が上がるのです。

ビタミンB群を取るには、胚芽米や玄米がいいですね。あるいは、シリアルにもビタミンB群が強化されたものがありますので、そういう商品を使うのも手です。亜鉛はワカメやヒジキ、カキなど海産物に多く含まれます。手軽に摂取するためにわたしがおすすめしているのがアサリの水煮缶。カレーやクラムチャウダーに入れるなど、使い勝手がいいですよ。最後の色素成分は、トマトのリコピン、ナスのナスニンなど、緑黄色野菜が持っているものです。

おすすめ「育脳朝食メニュー」

最後に、わたしがおすすめする育脳朝食メニューを少しだけ紹介しましょう。


(画像提供:小学館)

【育脳朝食メニュー】材料(4人分)

■シリアル
フルーツグラノーラ 200g
ミックスナッツ 30g
バナナ 2本
プルーン 4粒
豆乳 600ml

(つくり方)
① 器にシリアル、プルーン、バナナを入れて豆乳をかけ、刻んだミックスナッツをかける。

■もみもみソーセージ
豚ひき肉 200g
ハーブソルト 小さじ2
こしょう 少量
牛乳 60ml
オリーブオイル 小さじ2
チャック付きビニール袋 1枚

(つくり方)
① チャック付きビニール袋に豚ひき肉を入れ、ハーブソルトとこしょうを混ぜて牛乳を加えてよくもみながら混ぜ合わせる(前日に仕込みをしておく)。
② フライパンにオリーブオイルを熱し、①の袋の先を2cm切り、約6cmの長さで絞り出す。
③ 表面を焼いてフライパンのふたをし、なかまで加熱する。
④ お皿に盛り、お好みでケチャップと粒マスタードを添える。


(画像提供:小学館)

■カボチャのツナサラダ(常備菜)
カボチャ(冷凍品) 400g
タマネギ 1/4個 ※みじん切り
ツナ缶 小1缶(80g)
マヨネーズ 大さじ4
こしょう 少量

(つくり方)
① カボチャは凍ったまま耐熱容器に入れて電子レンジに7~8分かける。
② 熱いうちに、タマネギとツナを混ぜてこしょうをかけ、マヨネーズであえる。
※サンドイッチのフィリングにしても美味しい。


(画像提供:小学館)

■グレープフルーツ
グレープフルーツ 1個

(つくり方)
① グレープフルーツを8等分のくし型に切り、切り込みを入れておく。

シリアルに含まれる食物繊維によって血糖値を安定させ、集中力をアップさせます。また、プルーン、バナナ、牛乳の食べ合わせにより脳に栄養がスムーズに送られ、神経細胞の動きも活発になり、脳全体が活性化。さらに、豚肉のビタミンB12で記憶力がアップ。カボチャのビタミンEでDHAの酸化を抑え、グレープフルーツのビタミンCで豆乳のレシチンの吸収を助けるというメニューです。

かしこい子どもに育つ! 「育脳離乳食」:脳をはぐくむ食事は0歳から
小山浩子 著/小学館(2018)

こどもの脳は、「朝ごはん」で決まる!
小山浩子 著/小学館(2015)

■ 管理栄養士・小山浩子さん インタビュー一覧
第1回:子どもの脳は“親の愛情”と“食事”で育つ! 「育脳」に効く食材の選びかた
第2回:“パン&〇〇”で最高の朝食になる! 脳が育つ食べ合わせ「5つの黄金ルール」
第3回:“美味しい”か“美味しくない”か。結果がすぐにわかる料理は、子どもがPDCAを学ぶのに最適
第4回:「お米さえ食べさせておけば大丈夫」が危険な理由。手抜きでも脳に効く朝ごはんとは

【プロフィール】
小山浩子(こやま・ひろこ)
1971年9月5日生まれ、愛知県出身。料理家、管理栄養士、フードコーディネーター。大手食品メーカー勤務を経て2003年にフリーに。料理教室の講師やコーディネート、メニュー開発、健康番組への出演など幅広く活動する。料理家としてのキャリアは20年以上。これまで指導した生徒は5万人以上に及ぶ。著書『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(社会保険出版社)で、2014年グルマン世界料理本大賞イノベイティブ部門世界第2位を受賞。健康とつくりやすさに配慮したオリジナルレシピにファンが多い。2015年には日本高血圧協会理事に就任。また、日本ではじめて育脳をコンセプトにした離乳食を監修(https://ninau.essence-saraya.com/)。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。