暮らしを楽しむ/生活・レシピ 2025.9.11

フランスのママに学ぶ! 10分から始める小さな息抜き・趣味時間16選

木野未来
フランスのママに学ぶ! 10分から始める小さな息抜き・趣味時間16選

子育て中のママにとって、「自分の時間がない」は世界共通の悩み。でも、SNSを見ていると流れてくるのは、なぜかいつも余裕があって、おしゃれで、自分らしさを失わないフランス人ママたち。どうしてこんなに素敵な暮らしができるの? と思いますよね。

じつは、その秘密は「完璧を目指さない」こと。フランスでは「時間をかけることが愛情」ではなく、「質の高い時間を過ごすことが愛情」と考えられています。そのめには、ママが疲れ切って笑顔を失うよりも、自分らしく幸せでいることが子どもにとって大切だという価値観です。

だからこそ、罪悪感なく自分の時間を確保し、毎日の小さな幸せを大切にしてみませんか? そんなフランス流のママたちの息抜きの方法やこだわりの小さな趣味時間を紹介します。すべてを真似する必要はありません。まずはひとつだけ、いまのあなたの生活リズムに合うものを選んでみてください。

なぜフランス流ルーティンが効果的なのか?

「bien-être(ビアン・エートル・心身の健康)」の考え方

フランス人は健康を「病気でないこと」ではなく、「心身ともに満たされている状態」と捉えます。2022年に発表されたPLOS Oneの研究でも、5〜10分程度の小休憩(マイクロブレイク)が活力を高め、疲労を軽減することが報告されています。

「savourer(サヴレ・味わう)」の文化

ロヨラ大学のフレッド・ブライアント氏による幸福学の研究では、日常の小さな楽しみを意識的に味わうことが幸福度を高めるとわかっています。フランス語で「savourer(サヴレ、味わう)」という動詞があるように、フランス人は何事も丁寧に味わう文化があります。「チョコを食べる」「好きな音楽を聴く」など数分の行動でも、意識を向けることで脳内に幸福ホルモンが分泌されます。

「douceur de vivre(ドゥスール・ド・ヴィーヴル・生活の甘美さ)」

フランスでは「いいお母さん」の定義が日本と異なります。子どものために自分を犠牲にするのではなく、「自分が幸せなお母さんが、結果的にいいお母さん」と考えられているのです。複数の研究でも、母親のポジティブな精神的健康が子どもの認知発達や社会性発達に良い影響を与えることが確認されています。

つまり、フランスのママたちが日常的に行っている「自分への優しさ」は、最新の幸福学研究とも合致する、科学的に正しいアプローチだったのです。

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🌅 朝のおすすめルーティン(6:30-8:00)

☕ 1. 子どもより15分早起きし、ひとりでコーヒーを味わう

豆を挽く音や湯気の立ち上る瞬間に意識を向け、「いま」を味わうことで、ストレスホルモンのコルチゾールが減少します。自分のために淹れる一杯は、脳にとって特別なご褒美時間。焼きたての香ばしいパンもぜひ一緒に。

🌿 2. 窓を開けて深呼吸&植物のお世話

窓を開けて新鮮な空気を取り込み、ゆっくりと深呼吸を5回繰り返します。外の音や風を感じながら、いまこの瞬間に集中する「マインドフルネス」の効果で心が落ち着きます。ついでに植物に水をあげたり、葉っぱの状態を観察することで、自然とのつながりを感じられます。

🌸 3. 香水をひと吹きして1日の気分を整える

「香水をまとわない女性に未来はない」とココ・シャネル氏が語ったように、香りはフランス女性にとって自分らしさの象徴。華やかなメイクよりも、香水やボディケアで自然な美しさを整えることを大切にしています。

香水

☀️ 昼のおすすめルーティン(12:00-14:00)

🌿 4. ランチ後のティザーヌでひと息

ラベンダー、カモミール、レモンバームなどのティザーヌ(ハーブティー)が副交感神経を刺激し、リラックス反応を高めることが研究で確認されています。茶葉をポットで蒸らし、立ちのぼる香りを楽しみながらゆっくり飲むことで、午後に向けて気持ちを切り替えて。

👭 5. 友人や同僚との会話を楽しむ

フランスでは「たくさん働く」よりも、ランチやカフェでの会話を楽しむことが人生を豊かにすると考えられています。軽い雑談や笑いは、幸福感を高めるだけでなく、午後の活力を生む “心の栄養” です。

💐 6. マルシェや花屋で季節の彩りを取り入れる

フランスのママたちは、スーパーよりもマルシェ(市場)や花屋で季節を感じる買い物を楽しみます。日本でも、近所の花屋で一輪だけ花を買って食卓に飾るなど、小さな工夫で日常が彩られます。自然や植物を身近に置くことでストレスが下がり、幸福感を高める「バイオフィリア効果」も。

📖 7. お気に入りの本や映画をみる

フランスのカフェ文化では、哲学や文学の本を片手に考えを巡らせる光景も珍しくありません。映画美術音楽を楽しむことも同じく、思索と感性を養う時間として大切にされています。

読書

🌆 午後のおすすめルーティン(15:00-18:00)

🧁 8. お気に入りのスイーツをゆっくり味わう

マドレーヌ、カヌレ、マカロン、チョコレートなど、小さなスイーツを味わうとドーパミンが分泌され、脳がリフレッシュします。口のなかでゆっくり溶かすように味わうことで、満足感が高まります。罪悪感を持つのではなく、自分へのご褒美として堂々と楽しむことで、心の充電時間になります。

🚶‍♀️ 9. 散歩で小さな美しさを発見

フランスでは「歩くこと」が暮らしの一部。ただ移動するのではなく、散歩のなかで街角の建物や光の移ろいを「savourer(味わう)」します。忙しさの中でも立ち止まり、人生の小さな芸術を楽しむ視点を忘れません。スタンフォード大学の研究でも、歩行は創造性を高め、ストレスを軽減することが確認されています。

🥂 10. 夕食前のアペリティフタイム

軽いおつまみ(オリーブやチーズ、ナッツ)と飲み物(ノンアルコールでも)で、一日の疲れをリセットします。「ご褒美タイム」を意識的につくることで、ドーパミンが分泌され、脳がリフレッシュします。夕方の小さな贅沢時間として、心の切り替えに効果的です。

🌿 11. ハーブやスパイスの香りを楽しみながら料理

バジル、ローズマリー、シナモンなど、香りのよいハーブやスパイスを使った簡単な料理を作ります。香りを楽しみながらの調理は五感を満たし、創造性も刺激されます。新しいスパイスを試すことで、料理への興味が深まり、やがて本格的な趣味に発展することも。

アペリティフ

🌙 夜のおすすめルーティン(19:00-22:00)

🕯️ 12. 子どもが寝た後のキャンドルタイム

炎を見つめる行為は「視覚的マインドフルネス」として脳波を安定させる効果があります。ゆらめく炎には人を落ち着かせる不思議な力があり、香り付きキャンドルなら視覚と嗅覚の両方で癒されます。

🛁 13. バスタイムでお気に入りの香りを楽しむ

お気に入りの香りの入浴剤やバスソルトでリラックスタイムを。温熱刺激は安心ホルモンのオキシトシン分泌を促し、心身ともに深くリラックスできます。香りに包まれながらの入浴時間が、一日の締めくくりとして欠かせない習慣になります。

🧴 14. ボディケアで自分を癒す

フランスの女性たちは「顔のメイクよりも身体のケア」を大切にしています。お気に入りのオイルやクリームで、脚や腕をゆっくりマッサージ。肌をなでる行為は副交感神経を整え、心の安らぎをもたらします。老いを恐れるのではなく、変化を楽しむというフランス流の美意識にもつながります。

🖋️ 15. ノートにひとこと残す

フランスでは、ノートにきっちり日記を書くよりも、思いついたことを自由に書き留めるスタイルが好まれます。寝る前に今日心に残った言葉や風景を一行だけメモしてみましょう。整理や反省ではなく、感性を遊ばせるように書くことで、心がすっと軽くなり、眠りも深くなります。

 👙16. お気に入りのゆるっとしたパジャマを着る

眠りはセルフケアの一部。夜は下着やきつい服を脱ぎ、体を締めつけない状態で眠る人が多いといわれています。理由はシンプルに「開放感」。パジャマやナイトウェアもリラックスできるものを選び、心地よく眠ること自体を大切にするのがフランス流です。

***
忙しい毎日のなかでも、ぜひほんの少しだけ自分に優しくする時間をつくってみてください。フランス人のようにちょっとした息抜きの時間を大切にすることは、決して贅沢なことではありません。科学的研究も示すように、ママ自身が心身ともに満たされていることが、家族全体の幸せにつながるのです。

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(参考)
University of Alberta|‘Micro-breaks’ could break workplace cycle of fatigue and injury
Positive Psychology|Savoring in Positive Psychology: 21 Tools to Appreciate Life
National Center for Biotechnology Information | “Give me a break!” A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance
CNN | Microbreaks can increase your well-being, but only if you do these types of activities, experts say
Hankyu Food|朝にコーヒーを飲むメリット・デメリット。おすすめの飲み方とは?
あらたまこころのクリニック|マインドフルネス呼吸法のご紹介
Stanford News|Stanford study finds walking improves creativity
PubMed|Give your ideas some legs: the positive effect of walking on creative thinking
National Center for Biotechnology Information| The effectiveness of savouring interventions on well-being in adult clinical populations: A protocol for a systematic review
National Center for Biotechnology Information | Current Progress and Future Directions for Theory and Research on Savoring
Garden Therapy|第一章 バイオフィリアとは ~自然と人の関係~
Sleepeace Café|キャンドルの炎が心を静める
キナリノ|その暮らしに憧れる。フランス人の素敵なライフスタイル。
ELLE|いくつになっても恋愛スタンバイOK! フランス式「見られる」「触られる」ボディ磨き