教育を考える 2025.2.18

「勉強しろ」は逆効果! 統計でわかった、親が本当にやるべき3つのこと

[PR] 編集部
「勉強しろ」は逆効果! 統計でわかった、親が本当にやるべき3つのこと

勉強しろ」という言葉に、あなた自身も子どもの頃イヤな気持ちになった経験はありませんか? そしていま、親として同じ言葉を口にしてしまう自分に気づくことも。「勉強したら?」「勉強しないの?」と言っても、子どもがすぐに机に向かうわけではないことは、経験からもうすでにご存知でしょう。

本当は、子どもには勉強を楽しみ、自分から意欲的に学ぶ姿勢を身につけてほしいもの。そこで今回は、『勉強しろ』と言う代わりに、子どもの学習意欲を自然に引き出す親の関わり方をご紹介します。小さな工夫で、子どもの勉強習慣づくりに大きな違いが生まれるかもしれません。

「勉強しろ」は逆効果なの?

「勉強しろ」と言うことは本当に効果があるのでしょうか? 2011年にベネッセ教育研究開発センターが首都圏の保護者を対象に行った「第4回子育て生活基本調査」の結果は、意外なものでした。

調査によると、小学生の子どもに「勉強しなさい」と声をかけている母親は8割以上。しかし、驚くべきことに、声をかけられた子どもの平日の平均勉強時間は57.6分、声をかけられなかった子どもは53.3分と、わずか4分しか違いがありませんでした。

さらに小学5年生では、「勉強しなさい」と言われた子どもの方が、言われなかった子どもよりも勉強時間が3.6分も短かったのです。つまり、「勉強しろ」という言葉は、効果がないどころか、場合によっては逆効果になってしまうこともあるのです。

勉強させる親の画像

「勉強しろ」が逆効果な理由

なぜ「勉強しろ」という言葉は効果がないのでしょうか?その答えは「心理的リアクタンス」という心理現象にあります。

社会心理学者の深田博己教授(広島文教女子大学)によれば、心理的リアクタンスとは「自由を制限されたと感じたときに、その自由を取り戻そうとする心理状態」のこと。簡単に言えば、「〇〇しなさい」「〇〇してはいけません」と命令されると、人間は本能的に反発し、むしろ反対の行動をとりたくなる傾向があるのです。

子どもが「勉強しなさい」と言われて「今やろうと思ってたのに…」とやる気をなくしてしまうのも、この心理が働いているからです。大人でも「絶対にこれをしてください」と言われると反発したくなることがありますよね。子どもも同じなのです。

したがって、心理学的に見ても「勉強しろ」という声かけは、親の期待とは裏腹に、子どものやる気を引き出す効果は低いと言えるでしょう。

勉強させる親の画像

「勉強しろ」と言わない親の行動3つ

「勉強しろ」と言うのがダメなら、子どもにどう接すればよいのでしょうか?

方法①:将来について話をする

「第4回子育て生活基本調査」によると、親子で将来について話をすると、子どもの勉強時間に大きな変化が見られました。母親が「子どもと将来や進路について話をする」と答えた小学生の平均勉強時間は約61.8分。話をしない場合は約44.9分で、17分もの差がありました。「勉強しなさい」という声かけの差(わずか4分)と比べると、はるかに効果的です。特に小学6年生では、将来について親と話す子どもは、そうでない子より34.2分も長く勉強していました

将来の話をするコツは、親自身の経験を語ることです。現在の仕事に就くまでの努力、学校での勉強が今の生活でどう役立っているか、高校や大学の選択理由など、自分の話を通して子どもに考えるきっかけを与えましょう

方法②:いっしょに勉強の計画を立てる

同調査で、親子で勉強計画を立てることも効果的だとわかりました。子どもと一緒に勉強の計画を立てると答えた母親の子どもの平均勉強時間は約66.2分。そうでない場合は約47.5分で、約19分の差がありました。

「勉強する」という言葉はあいまいです。小学生にとって「何を」「いつ」「どのように」勉強するかを具体的に決めるのは難しいもの。「この問題集を一日に1ページ解く。答え合わせは親がやり、全問正解するまで繰り返す」「教科書の〇ページ~△ページを音読する」など、具体的な方法を親子で決めましょう

方法③:夢中になれる体験をさせる

東京大学とベネッセの共同研究によると、「勉強が嫌い」から「好き」に変わった小学生には、「夢中になって時間がたつのを忘れる」体験をした割合が高いことがわかりました。脳科学の専門家である瀧靖之教授の研究でも、東大生の多くは子ども時代に「何かに熱中する体験」をしているそうです。

親ができることは、子どもの興味を尊重し、その追求をサポートすることです。恐竜に興味をもった子どもを博物館に連れていく、音楽好きな子どもをコンサートに連れていく、鉱石に興味を持った子どもに図鑑を買い与えるなど、子どもの「夢中」を育てましょう

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「勉強しろ」と言いたい気持ちをぐっとこらえて、これらの方法を試してみませんか?子どもの学習意欲を自然に引き出し、親子関係も良好に保つことができるでしょう。

(参考)
ベネッセ教育情報サイト|「勉強しなさい」よりも効果的!?な、子どもの学習意欲を高める関わり方
ベネッセ教育総合研究所|第4回子育て生活基本調査(小中版)[2011年]
ベネッセ教育総合研究所|小中学生の学びに関する実態調査 速報版[2014]
ベネッセ教育総合研究所|東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究 「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」
広島大学 学術情報リポジトリ|心理的リアクタンス理論(1)
StudyHacker こどもまなび☆ラボ|子供が勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!

※本記事は2018年10月9日に公開しました。肩書などは当時のものです。