2021.8.6

それ、子どもの「SOSサイン」です。 “親子ハグ” で不安やストレスを解消しよう

編集部
それ、子どもの「SOSサイン」です。 “親子ハグ” で不安やストレスを解消しよう

長引くコロナ禍で先が見えない状況のなか、不安やストレスが限界に達しているのは大人たちだけではありません。大人が思う以上に、子どもたちの気持ちは不安定になっています。

小さな体と心に深刻な傷を負う前に、子どもが発するSOSサインの見つけ方と、家庭でできる対処法について考えてみませんか。

大手前大学総合文化学部心理学専攻の芳田茂樹教授にもアドバイスをいただきました。まずは、コロナ禍での子どもたちの変化から見ていきましょう。

徐々に表面化している子どもたちの心身の変化

2020年、新型コロナウイルス感染拡大による社会生活の大変革が世界中で起きました。初めて経験するこの状況に戸惑い、不安を感じ、大きなストレスを抱え込んでしまった人も少なくないでしょう。

もちろん子どもたちとて例外ではありません。休校措置が余儀なくされ、運動会や修学旅行、卒業式などの楽しみにしていたイベントが中止になってしまった。お友だちと気軽に遊べなくなってしまった。おじいちゃん、おばあちゃんと会えなくなってしまったーー。数え上げればキリがないくらい、「当たり前のこと」ができなくなってしまいました。

2021年3月16日に警察庁が発表したデータによると、2020年の小中高生の自殺者数はコロナ禍前の2019年から160人も増加し、過去最多となる499人にのぼったそうです。

コロナ禍のメンタルケア06
(引用元:文部科学省|令和2年 児童生徒の自殺者数に関する基礎資料集

この数字について芳田教授は、「新型コロナウイルス流行による生活の変化やストレスの増加、在宅時間の増加が引き起こす家庭内トラブルなどが要因として考えられる」としています。

また、国立成育医療研究センターのアンケート調査では、コロナ禍における生活のなかで、4人中3人の子どもがストレス反応を見せているという結果が。「すぐにイライラする」「集中できない」「寝つけなかったり、夜中に何度も目が覚めたりする」という回答も多く、自分自身でコントロールできない心身の不調に悩まされている様子がうかがえます。

芳田教授はコロナ禍の影響が徐々に出てきている。一見元気そうに見えても、我慢の限界を超えている子どもも多いと指摘しています。その影響とは、どのようなかたちで表面化するのでしょうか?

コロナ禍のメンタルケア03

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「SOSサイン」は、ストレスに対して必死に頑張った結果

子どもたちが発する「SOSサイン」は以下です。

  • 朝起きられない、起きても目が開かない
  • 幼稚園や小学校に行くのを渋る
  • 食欲がない、または食べすぎる
  • 元気がない、笑顔が減った
  • 寝つきが悪くなる
  • 夜に何度も目が覚める
  • 朝になるとお腹が痛くなる
  • おねしょが再発した
  • 赤ちゃんがえり
  • 乱暴な言葉づかい
  • 兄弟姉妹に乱暴する
  • イライラしている、落ち着きがない

 
芳田教授は、「子どもにこのような兆候が見られたとき、親は心配になったり、焦ったりすると思います。しかし、SOSサインは子どもたちが “コロナストレス” に対して必死に頑張った結果の現れでもあるのです。ですから、叱ったり、無理に登校させようとしたりせずに、子どもの心に寄り添い、じっくりと子どもの話に耳を傾けてあげましょう」と話しています。

ともすれば、「たいしたことない」「ちょっと機嫌が悪いだけ」と見過ごしてしまいそうですが、自分の苦痛や不安をうまく言葉にして伝えられない小さな子どもにとって、「SOSサイン」は大人が気づいてあげなければならない大事なメッセージ。お子さんを注意深く観察し、ちょっとでも「普段と様子が違うな」「うちの子らしくないな」と気づいたら、次に紹介する対処法を試してみてください。

コロナ禍のメンタルケア04

子どもの「SOSサイン」への対処法3つ

子どもの「SOSサイン」が現れたとき、親はどう対処したらよいのでしょう? 芳田教授のアドバイスをまとめました。

対処法1:親子一緒にできる活動を増やす

親子一緒にできる活動を増やしましょう。子どもができる範囲のお手伝いや、親子一緒でのアクティビティなどがおすすめです。親と一緒に活動することで、子どもは安心感を得られます。とはいえ、親が疲れてしまったら本末転倒ですので、親にとって負担にならない程度の活動にしておきましょう。

  • 子どもができる範囲の家事(風呂そうじ、夕食の準備 など)
  • 軽い運動(ストレッチ、散歩、ラジオ体操 など)
  • 親子でできる遊び(お絵かき、トランプ、しりとり など)

対処法2:子どもの話をじっくり聞く

まず子どもの話をじっくり聞いてみてください。たとえ10分でも、親が話を聞くだけで子どもは安心します。しかし、家事をしながら片手間で対応したり、すぐに解決策を提案したり、親の考えを押しつけたりすると逆効果になることもあるので、注意が必要です。子どもの話を聞くときは、次のポイントに気をつけるようにしましょう。

  • どのような話でも否定せずに受け止める
  • 忙しくても手を止めて聞く
  • うなずきながら聞く
  • 柔和な表情を心がける
  • 問い詰めない

 
自分の気持ちを話してくれた子どもに対しては、「嫌だったんだね」「◯◯くんはそんなふうに思ったんだね」「話してくれてありがとう」「上手にお話しできたね」と返すだけでも十分です。子どもなりに頑張っていることを認め、話してくれたことをほめてあげましょう。

対処法3:子どもをハグする!

不安を感じている子どもをギュッとハグしてあげましょう! 子どもにとって親は「基地」です。親がどっしりと構えて対応することで、子どもは安心して活動ができるようになります。また、スキンシップを図ると「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質「オキシトシン」が分泌します。オキシトシンには、「幸せな気分になる」「不安な気持ちが解消される」という作用がありますよ。パパ・ママに抱きしめられた子どもは、心のエネルギーが満たされ、 ”勇気100倍“ になることでしょう。

コロナ禍のメンタルケア05

困ったときは「スクールカウンセラー」に相談しよう

学校には児童や保護者の心の相談相手としてスクールカウンセラーが控えています。子どもが通っている学校にスクールカウンセラーがいることは知っていても、深く関わることはおろか、直接やりとりをしたこともない親御さんも多いのではないでしょうか?

スクールカウンセラーは、児童生徒の心のケアを行う専門家です。公認心理師や臨床心理士、精神科医など専門的な知見に基づき、教員と一緒に児童生徒をサポートしてくれます。「スクールカウンセラー制度」が1995年に創設されて以来、年々配置の拡充が進められていることから、全国的にもその必要性は確かなものになっています。

いじめや不登校など問題行動のカウンセリングはもちろん、発達に関する相談や事件、事故、災害などの際に子どもたちの心のケアも行なってくれることからも、親だけではカバーできない問題を一緒に解決してくれる心強い存在であると言えるでしょう。

また、カウンセリングの対象は子どもだけではありません。保護者も子どもに関する心配事や悩みを相談することができます。第三者の視点で、専門的な知識によるアドバイスを受けることができるので、親だけで問題を抱え込む前にぜひ一度相談してみてくださいね。

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世のなかの大きな変化に戸惑い、日常生活に不便を強いられているのは、大人も子どもも同じです。不安やストレスをすべて取り除くことは難しいですが、手軽なリフレッシュ法を知っておくだけでも精神的な余裕が生まれます。まずは親である私たちが、ストレスを溜め込みすぎないように気をつけましょう。

(参考)
大手前大学
文部科学省|コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状について
文部科学省|令和2年 児童生徒の自殺者数に関する基礎資料集
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター|「コロナ×こどもアンケート」第1回調査報告書
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター こころの診療部|新型コロナウィルスに負けないために 親子でできるストレスコーピング編
ベネッセ 教育情報サイト|実は保護者もカウンセリングの対象者 スクールカウンセラーのお仕事について
文部科学省|5 スクールカウンセラーの業務