子どもが生まれてから、スマートフォンにたくさんの写真を撮りためていませんか? その写真、見返す機会はありますか?
「いつかアルバムにしよう」と思いながら、忙しい日々のなかでそのままにしている方も多いはず。じつは、アルバムづくりには “思い出を形にする” 以上の、大きな効果があることがわかっています。
大阪教育大学の石田文弥氏による修士論文「写真・アルバムが持つ子育てへの影響について」(指導教官:小崎恭弘氏)をはじめとする複数の学術研究では、「アルバムをつくる・写真を現像する」ことによる「子育てへの興味・関心の向上」について有意性や関連性が認められています。つまり、写真やアルバムが子どもの自己形成や家庭の絆に与える影響が科学的に明らかになりつつあるのです。
今回は、専門家の知見や実証データをもとに、「アルバムづくりが子育てに与える5つの効果」とおすすめのフォトアルバム作成ツールをご紹介します。
目次
科学的研究で証明!「家族アルバム作り」がなぜ特別か
デジタル写真とアナログ写真の大きな違い
石田文弥氏による「写真・アルバムが持つ子育てへの影響について」の調査(保護者645名対象)では、保護者の90%がスマホで撮影している一方で、現像する人は30%にとどまっていることが判明。らに写真プリントアプリ「ALBUS」を運営するROLLCARE株式会社による「0歳~9歳の子供を持つ男女1,000名に聞いた『子供の写真』に関する意識調査」(2018年)は、約6割の人が「アルバムをつくっていない」現実が明らかになりました。
しかし、大阪教育大学の研究で、デジタル写真とアナログ写真の大きな違いを示しています。それは、デジタル写真は「収納・加工のしやすさ、コスト面」で優位な一方、アナログ写真(プリント写真・アルバム)は「愛着・思い出の品としての感情面」で明確に優位ということです。
大阪教育大学准教授であり保育学専門家の小崎恭弘氏は「『写真データがある』という状態でも安心感はあるかもしれませんが、実際にはなかなか見返さない。アルバムにまとめることで何度も振り返りやすくなり、そのポジティブさが定着する」と説明します。
アルバム作りは「物語性」がカギ
また、東京大学特任助教の城戸楓氏による研究では、アルバム作りの特別な効果が科学的に証明されています。重要なのは「物語性」。城戸氏は「アルバムをつくる時、私たちは『その時どんなことがあったのか』を考えながら写真を選びます。この『物語をつくる』という行為が重要」だと説明します。写真を選び、整理し、物語を紡いでいく過程こそが、親子の愛着を深める重要な要素となっているのです。
「家族アルバム」が子どもの成長にもたらす5つの効果
では、アルバムが実際に子どもにもたらすよい効果はなんでしょうか? 専門家の知見や実証データをもとに、アルバムが子育てに与える5つの効果をまとめてみました。
1. アイデンティティの確立を助ける
自分の幼い頃の写真を見ることは、子どもが「自分には過去がある」「連続した存在である」と実感するきっかけになります。これは、青年期のアイデンティティ確立に欠かせない自己認識の基盤となります。
OLLCAKE株式会社の調査では、アルバムを10冊以上もっている人は20.0%が「家族で写真を頻繁に見返す」と回答したのに対し、アルバムを作っていない人は9.2%にとどまりました。
小崎氏は「青年期のアイデンティティー確立に、写真やアルバムは大きな役割を果たす」と指摘し、「幼い時の子供たちは自分の写っている写真を見ることが大好きで、写真のなかに自己の存在を見出し、自分と家族や友達とのつながりを確認する作業」だと説明しています。
2. 自己肯定感を育てる
写真を見返すことで、「自分は大切にされてきた」「愛されて育った」という実感が得られます。記憶としては残っていない乳児期の写真にも、愛情を受け取った証が詰まっています。
石田文弥氏の大学生調査では、アルバムを所持している学生ほど家族に対する「親密性・愛情」が高く、「家族不和」が低いことが統計的に証明されました。また小崎氏は「アルバムをつくってもらってきた学生ほど、いまの自分に対して良いイメージがある」と述べており、幼少期のアルバム体験が長期的な自己肯定感の形成に寄与することが実証されています。
3. 自立性の芽を育てる
幼少期に写真をよく撮られていた子どもは、自分が注目されてきた経験から「自分は意味のある存在だ」と感じやすくなります。それが、自立への一歩となります。
石田氏の同調査では、「よく写真を撮ってもらった」学生は自立性が高い傾向が確認されています。写真を通して自分の存在価値を確認することで、新しいことにチャレンジする意欲や自信も育まれるのです。
4. 協調性が高まりやすい
石田氏の同調査では、「自分自身が写真を家族に撮ってもらった思い出が多い学生が、そうでない学生より自立性や協調性の項目が高くなる傾向が示された」ことが明らかになっています。写真を撮る・撮られるという行為が、子育てにおいてよい効果につながることが科学的に示唆されています。
また保育現場での観察では、「カメラを向けると前に出てくる子もいれば、恥ずかしがる子もいる。どちらもその子の個性だが、カメラを通したコミュニケーションによって、普段とはまた違う子供の姿が見える」と小崎氏は説明します。写真撮影の経験が豊富な子どもは、自然と表現力や対人スキルが身につく傾向があるようです。
5. 持続力や課題遂行力が向上
写真やアルバムを通して「努力の記録」「続けてきたことの積み重ね」が視覚化されることで、子どもの中に「続けることの価値」が根づいていきます。習い事や学習の成果を写真で振り返ることで、挫折しそうになった時にも「頑張ってきた自分」を思い出し、継続する力が育ちます。
実際に、石田氏の同調査でも自分のアルバムを所持している学生ほど「持続力」が統計的に高い傾向が確認されています。この効果は、アルバムを通じて自分の成長過程を客観視できることから生まれると考えられています。
子どもだけでなく親にも効果:家族全体への影響
また、ROLLCARE株式会社の調査では、アルバムをつくる家庭とつくらない家庭の間に明確な差が現れました。なんとアルバムを10冊以上もつ家庭では、「夫婦の会話が多い」「夫婦のコミュニケーションは良好」「配偶者は育児に協力的」の全項目で、アルバムをつくっていない家庭より10ポイント以上高いスコアを記録しているのです。
さらに石田氏の保護者対象の調査では、アルバム利用率の高い保護者ほど「ポジティブな子育て感」を抱く傾向があることが統計的に実証されています。
アルバムは、子どもの成長だけでなく家族全体の幸福度向上に寄与していることが科学的に証明されているのです。
おすすめのアルバム作成サービス4選
ここで、家庭でもプロのような仕上がりのアルバムが簡単につくれるフォトサービスを紹介します。
1. MUJIBOOKS(無印良品)推奨のおしゃれなフォトブック『BON』
MUJIBOOKS(無印良品)が推奨する、シンプルで洗練されたフォトブックサービス。グラフィックデザイナー田中義久氏が監修し、どんな生活空間にも馴染むミニマルなデザインが特徴です。選べる表紙は麻布クロスとクラフト紙の2種類で、PUR製本により通常の無線綴じより開きやすく仕上がります。
2. 高品質のオリジナルアルバム【フジフォトアルバム】
本物の銀塩写真を使った高級フォトアルバム。トナータイプとは異なる銀塩写真ならではの美しい発色と耐久性が魅力です。ページの真ん中に切れ目がないため、見開きA3サイズの迫力ある大伸ばしも楽しめます。特別な記念日のアルバム作成に最適です。
3. おしゃれで高品質なフォトブックがアプリでカンタンに【Photoback】
上質な「マット用紙」を採用し、プロも認める本格的な仕上がりを実現。Web上で簡単編集でき、専門知識がなくても誰でもオシャレに作成できます。1冊1,000円〜という手頃な価格で、7種類から選べるサイズも魅力。永久保存でいつでも増刷可能です。
4. 「カメラのキタムラ」ネットでつくれるフォトブックサービス
大手写真専門店ならではの豊富なバリエーションと安心の品質が魅力。旅行・記念日にはハードカバー、日常の写真整理には手軽なソフトカバーと、用途に応じて選べるラインアップを用意。店舗受け取りも可能で、プレゼントにも最適な高品質な仕上がりです。
「アルバム=子育て支援ツール」という新しい視点
アルバムは、単なる思い出の整理ではありません。自己肯定感、非認知能力、家族のつながり——どれもいまの子育てに欠かせないキーワードです。
最新の教育研究では、学力テストでは測れない「非認知能力」(やり抜く力、協調性、自己制御など)が将来の成功により重要だとされています。アルバムを通した家族の対話や振り返りは、まさにこの非認知能力を育む絶好の機会なのです。
核家族化や地域コミュニティの希薄化が進む現代において、家族の絆を深めるツールとしてのアルバムの価値はますます高まっています。
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完璧なアルバムを目指す必要はありません。月に一度、30分だけでも写真整理の時間をつくってみてください。スマホアプリを活用した自動アルバム作成や、プリント注文サービスを利用すれば、手軽に現物のアルバムもつくれます。
大切なのは「撮る」だけでなく「まとめて見返す」こと。子どもの自然な表情や日常の一コマを記録し、家族で一緒に振り返る時間をつくることが、何よりも価値のある投資になります。手間のかかる作業に思えるかもしれませんが、その “手間” こそが、家族の愛情の証になります。
(参考)
アルバムを作ろう|「アルバムと子育ての研究」
PR TIMES|【調査リリース】0歳~9歳の子供を持つ男女1,000名に聞いた「子供の写真」に関する意識調査/子供の写真をアルバムにしている方が「家族の会話が活発」「夫婦のコミュニケーションが良好」。
おもいでばこ|【研究からわかった!写真整理の意外な効果】~写真を「見る」だけではダメ?アルバム作りの隠れた価値~
アルバム研究所|フォトアルバムが育児に与える影響に関する検討
アルバム研究所|写真・アルバムが持つ子育てへの影響について
BON
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