あたまを使う/教育を考える/食育 2018.12.6

五感が鍛えられるだけじゃない! 集中力や思考力も高まるメリットだらけの「親子料理」

長野真弓
五感が鍛えられるだけじゃない! 集中力や思考力も高まるメリットだらけの「親子料理」

食育が注目され、子どもの食が改めて重要視されるようになった昨今。何を食べるかはもちろん大切なことですが、「料理をする」という行為自体にも教育的効果があるようです。

今回は、子どもが料理をすることのメリットと、おすすめの親子料理をご紹介します。

子どもは「親と一緒に料理がしたい!」と思っている

東京ガスが行った「親子料理に関する実態調査」によると、子どもと一緒に料理をしたい母親は約9割、父親でも約6割にのぼっています。しかし実際、一緒に料理をしている家庭は「月1日以下」が6割以上です。

また、子どもの意見として、「親と一緒に料理がしたい」が約9割「一人で料理したい」も約1割という結果が出ており、子どもがいかに料理に興味があるかがわかります。それでも料理をしない理由は、「親から断られる」「親が忙しそう」など、親の都合で「言い出しにくい」と思っている子どもが多いこともわかりました。

ただでさえ忙しい時間帯である夕方に、親子一緒に料理をするのはなかなか難しいですよね。ですが、どうやら「料理」には数え切れないほどの効果があるようです。

親子料理のメリット3つ

「食べる」ことは、人が生きていくうえで欠かせない要素であることは言うまでもありません。しかし、その単純と思える行為には、様々な行動や意味、意図が宿っています。「美味しく食べるため」「大切な誰かのため」「気分転換や趣味で」など――。

親と一緒に料理をすることで、子どもは大切な “何か” を感じ取るはずです。では、具体的なメリットをみていきましょう。

【五感が発達する】
調理をする際、私たちはいろいろな機能を駆使しています。味覚(味見をする)、触覚(切ったり混ぜたりなど食材を触る)、嗅覚(調理中の匂い)、視覚(素材の色や調理によって変わる食材の色)、聴覚(トントンと切る音やジュージューと焼く音など)、いわゆる五感です。料理という一連の行動でフル稼働する五感によって、脳が活性化され、子どもの感性はどんどん豊かになっていきます。

【好奇心を育む】
調理は実験と同じです。火を通すと変化する色や質感、食材の組み合わせで変わる味や食感など、実体験することで興味を掻き立てられる要素がふんだんにあります。はじめは親の言うとおりにやっていても、だんだん想像力が働くようになって、「こうしたらどうなるかな?」とアイディアも湧いてくるはず。このとき、ぜひ親御さんも一緒に新しい発見を楽しんでみてください。

【親子のコミュニケーションが増える】
共同作業はコミュニケーションに最高の効果があります。調理は親主導になるとは思いますが、お手伝いから一歩進んで、「一緒に料理をする」という意識を持って作業すると、お互いの信頼関係もより深まり、子どもの自信や達成感にもつながるでしょう。一緒に料理する習慣ができれば、子どもの知識も増えてきますので、お買物のときにメニューの相談や食材や調理法などについての会話も増えます。また、親子で料理している頻度が高いほど、家族が仲良しで幸福感が高いという調査結果も出ています。

【食や人への感謝の心が生まれる】
作ってもらって食べるだけでは分からないことに気づけます。親が忙しいなか料理する大変さや、美味しい野菜を作る農家の人の苦労など、料理をすることから見える世界が広がり、人や物を大切にする気持ちや感謝の心を育むことができます。

このように、「料理する」ことから派生する学びは想像以上に多いことがわかります。

“将来必ず必要になる” 3つの能力

料理をすることでたくさんの学びを得られることがわかりました。では、その経験が実際にどのような力になっていくのでしょう。次は、料理をすることで発達する、“将来必ず必要になる” 3つの能力についてみてみましょう。

【能力1:豊かな表現力】
調理中には様々な食材に触れます。食材の名前を覚える、素材の色、手触りなどを表現することで語彙が増え、親との会話とも相まって、表現力が身につきます。このような調理などのお手伝い効果は「自分の考えをわかりやすく説明できる」「感情コントロールがうまくできる」「率先して行動できる」といった将来の仕事能力につながると、内閣府の調査結果で証明されています。

【能力2:高い集中力、忍耐強さ】
年齢に応じて作業目標(トマトのヘタをとる、ケーキの生地を混ぜるなど)を決めることで集中力が増し、達成感を得やすくなります。達成の満足感は次への意欲にもつながり、頑張る気力と忍耐力が育まれるプラスのループに。この「ひとつのことに集中して取り組む」ルーティンは、家での学習習慣にも好影響を与えることがわかっています。

【能力3:創造力と思考力】
料理には創意工夫が不可欠です。バランスを考えながら食材を組み合わせ、完成形を想像しながら、計画的に作業するという、クリエイティビティと論理性が必要な知的作業で、創造力と思考力がかなり鍛えられます。野菜を切るほうが先か、それとも鍋を火にかけるほうが先か――、お子さんはどちらを優先するのでしょう?

年齢別オススメの親子料理【2歳半~小学生まで】

簡単なお手伝いなら2歳半から「親子料理」は可能! 管理栄養士の川口由美子さんが勧める子どもの年齢に応じた「親子料理」をご紹介します。

【2歳半~◎サンドイッチ】
パンに好きな具材を挟むお手伝いをしてもらいましょう。パンとハムや野菜、ゆで卵などの具材を用意しておけば簡単です。パンの種類や野菜の種類を変えて、何度も作ってみてください。具材を一緒に考えることで思考力もアップ!

【3歳~◎おにぎり】
少し冷めたご飯をラップにくるんでにぎにぎ。粘土遊びの延長感覚でできます。具を入れたり、ふりかけをかけたり、味付けも好きにしてもらいましょう。市販の可愛いおにぎり型を使っても楽しいですね。

【4歳~◎肉団子】
「生のお肉は食べない」「調理中は他のものは触らない」などのルールを理解できるようになるのは4歳ごろ。本格的な調理スタートとして肉団子を作ってみましょう。お手伝いは、こねて→丸めるところまで。火を使うのはまだ少し先です。

【5歳~◎お好み焼き】
幼児包丁でキャベツを切ったり、卵を割ったり、より調理らしいことを始められる年齢です。ホットプレートで自分で生地を焼くこともできるように。「一人でできた!」という自信が自己肯定感を向上させます。トッピングも楽しみましょう。

【小学生~◎カレー】
小学生になったら、最初から最後まで一人で作る料理に挑戦。ジャガイモや人参の皮むき、お肉と野菜を炒めて煮込むという、調理のシンプルな手順を体験できます。野菜はレンジでチンして柔らかくすることで怪我を回避する方法もあります。形が多少不揃いでも、カレーライスなら気にせず美味しくいただけますね。

他にも食品会社キッコーマンの子供向けサイト「きっずキッチン」にも、簡単レシピ食に関する情報がわかりやすく掲載されています。

また、お子さまの料理スタートにぴったりな書籍はこちらです!


こどもキッチン、はじまります。(太郎次郎社エディタス)
石井由紀子 著、はまさきはるこ 絵
太郎次郎社エディタス(2017)

著者の石井由紀子先生はモンテッソーリ教育を学び、教員ディプロマの資格を持っています。簡単で美味しいレシピはもちろんのこと、「子どもの五感」「子どもが水を好きなわけ」「大人のスピード、子どものスピード」など、子どもの成長と料理の関係について書かれたコラムはとてもためになりますよ。

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子どもと一緒に料理をするとき、一番心配なのが怪我や火傷ですよね。子供料理研究家の武田昌美さんが子ども料理教室で最初に伝えることが3つあるそうです。それは3つの危険「火」「刃物」「ばい菌」についてです。

火に関しては実際に手をかざして熱さを体感させる、刃物対策はダンボール製の包丁でまず使い方を練習させる、「ばい菌は汚いから調理前には手を洗う」と理解させるなど、危険の理解には、はじめが肝心。そのうえで、小さな怪我は恐れずに調理に慣れてもらうことが大事だということです。

そして何より重要なのは「失敗しても大丈夫」と伝えること。多少手順が違っても料理はできますし、失敗から学ぶことはたくさんあります。叱らず前向きに促すスタンスが、料理好きな子どもを育みます。“親子料理” で親に必要なのは、寛容と勇気と忍耐なのかもしれませんね。

(参考)
ウチコト TOKYO GAS|【生きる力を育む!】子どもと一緒に料理するメリット7つ
TOKYO GAS|「親子料理の意識と実態2014」を発行
Woman Excite|2歳からでも料理はできる!始める前に伝えたい3つのこと【子供に料理を教えたい!Vol.1】
All About|子供も作れる!親子で作る年齢別オススメ料理5選
All About|親子一緒に料理すると向上する!子どもの能力3つ
学研ゼミ|「子どもと料理」は効果的な学習体験
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