2022.3.25

子どもに長所を伝えると「ぐんぐん伸びる子」に。短所は “すばらしい個性” に変換できる!

編集部
子どもに長所を伝えると「ぐんぐん伸びる子」に。短所は “すばらしい個性” に変換できる!

(この記事はアフィリエイトを含みます)

「うるさい」「落ち着きがない」「言うことを聞かない」「集中力がない」「朝起きられない」など、つい、子どもの悪い面ばかり気になって、イライラしてしまう親御さんは少なくないでしょう。

でも、お子さまにはいいところもたくさんあるはずです。それに、親御さんから見たら短所に見える個性も、別の誰かから見たら “長所” になるかもしれませんし、10年後にその長所が、お子さまの “強み” になっているかもしれません。

今回は、「子どもの長所の見つけ方」をご紹介します。子どもの長所を見つけて本人に伝えることで、数え切れないほどのメリットがあるようです。いまある長所だけでなく、隠れた長所も見つけてあげましょう

短所にばかり目がいくのは、わが子とほかの子を比較しているから

子どもの短所ばかりが目についてしまって、毎日叱ってばかり……と悩んでいる方は少なくないはず。赤ちゃんの頃は、ハイハイする姿、よちよちと歩く姿、転んだ姿でさえもかわいいと感じていたのに、いつの間にか子どもの短所ばかりが気になってしまうのはなぜなのでしょう。

教育専門家の石田勝紀氏は、その理由を、「幼稚園や保育園など集団で過ごす時期に入ると、保護者がだんだんと自分の子どもとまわりの子どもを比較するようになるから」と分析。そして、短所ばかりを気にする親について、子どもに悪影響が出ると警鐘を鳴らしています。

子どもの「らしさ」や「個性」のうち、短所は1/10で、長所が9/10だったとしても、保護者は9の長所には触れず、1の短所に触れてしまいがち。そうなると、子どもは1の短所が自分のすべてだと錯覚してしまって、短所ばかりが気になるようになってしまうんです。

(引用元:ゼットスクエア|子どもの長所の見つけ方、伸ばし方(1))※太字は編集部が施した

どきっとした方も多いかもしれません。けれど、子どもの短所が気になってしまうのは、それだけ子どもの未来を真剣に考えているからですよね。「子どもが将来困らないように、なるべく短所をなくしてあげたい!」と思う親心でしょう。

とはいえ、短所ばかりを指摘するのは、やはりデメリットのほうが多いようです。石田氏は著書『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』のなかで、親が子どもの短所ばかりを見つけて叱ることを「短所いじり」と呼び、「短所いじり」を続けていると、子どもの自己肯定感がどんどん下がってしまうと指摘しています。

子どもの自己肯定感を高めたいのであれば、子どもへの「短所いじり」はぐっと我慢したほうがよさそうです。その代わり、子どもの長所をたくさん見つけて、本人に伝えてみませんか?

子どもの長所2

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親が「長所」を伝えると、子どもは伸びる!

石田氏は、親が子どもに長所を伝えることで「子どもはぐんぐん伸びる」と話しています。具体的には以下のようなメリットがあるそうですよ。

  • 自分に自信がもてる
  • 自分のことを好きになる
  • 学力が上がる
  • 才能がぐんぐん伸びる
  • 将来「やりたいこと」を見つけやすくなる
  • 失敗しても気持ちが折れにくくなる

 
子どもは、意外に自分の長所を理解していません。そこで親が、子どもの長所を言語化し、「それってすごいことなんだよ」と肯定的に伝えてあげるのです。すると、子どもは「普通だと思っていたけど、〇〇できるってすごいのか!」と自分の長所に気づくことができます。

また、教育コンサルタントの上野緑子氏によると、「自らの長所を知っている子は、長所も短所も含めて、自分を好きになることができる」とのこと。そしてそのような子どもは、「自分のことが好きだから、物事をポジティブにとらえられる」ので、「何事にも前向きな態度で取り組める」ようになるそうです。

もし、困難な出来事があったとしても、たとえ大失敗してしまっても、持ち前のポジティブ思考で乗り越えていけると、上野氏は断言しています。逆に、自らの長所を知らないまま成長した子どもは、自分に自信がもてないため、うまくいかないことが起こったときに、人のせいにしたり、努力するのをやめてしまったりするのです。

子どもの長所1

子どもの長所を「100個」見つけると、親の考え方も変わる

長所を本人に伝えることで、たくさんのメリットを得られるのなら、どんどん子どもに長所を伝えたいところ。そこで今回は、教育評論家・親野智可等氏とビジネスコーチ・石川尚子氏がすすめている、「子どもの長所を100個書き出して本人に伝える」という方法を紹介します。

そしてこの方法、なんと親御さん自身にも嬉しい効果があるそうです。親野氏が開催するセミナーで、参加者に子どもの長所を100個書き出してもらったところ、以下のような感想があったとのこと。

・「短所は今親にそう見えるだけ。長い人生ではその子にとって長所かも」というお話が、目から鱗でした。
・できて当たり前と思っていたことのありがたさを感じました。子どもの寝顔を見ながら涙が出ました。これからは、もっともっと子どもをほめます。ついでに、旦那もほめます。
・昨日書いたものを忘れないように、これからもときどき読み返します。これからもいいところを見つけて、100個目指して書き足していきたいです。

(引用元:親力講座|子どものいいところを100個書き出してみよう

そう、親にとっての嬉しい効果とは、「子どもを見る目が変わる」というもの。短所だと思っていたところも、見方によっては長所になるのです。

子どもの長所3

長所を100個書き出して本人に伝える【やり方&アドバイス】

それでは、やり方とアドバイスを紹介していきましょう。書いている途中で手が止まってしまったときは、親野氏・石川氏・石田氏のアドバイスを参考にしてみてください。

やり方1:子どもの長所を100個書き出す
ノートに子どもの長所を100個書き出します。丁寧に書く必要はありません。テンポよく書いていきましょう。また、もし100個書けなかったとしても大丈夫。子どもの長所に気がついたとき、随時、ノートに書き足していけばOKです。


アドバイス1:親にとって嬉しいことは、もちろん長所

「計算が得意」「字が上手」「運動が好き」「ピアノを頑張っている」「弟に優しい」「お手伝いをしてくれる」「おもちゃを片づけられる」など、親にとって嬉しいことを書いてみましょう。ほかにも、子どもが好きなことも長所になります。「絵を描くことが好き」「漢字で書かれた駅名が全部読めるほど、〇〇線が好き」「サッカーが好き」などです。

アドバイス2:親にとって都合が悪いことも長所になる

「(ママの苦手な)ダンゴムシを見つけるのが上手」「意志が強い。絶対に意見を曲げない」「高いところに登ることが好き(危ない!)」「都合が悪くなると、お笑い芸人のマネをするところ」のように、親にとって都合が悪いことであっても長所になります。視点を変えてみると、 “生きていくうえで必要な能力になりそう” だと思いませんか?

アドバイス3:短所を長所に「変換」してみる

「飽きっぽい→好奇心旺盛」「神経質→細かいことによく気がつく」など、短所を長所に変換してみてください。すると、短所だと思っていた欠点が、「寝る直前に宿題をやるときの集中力がすごい」「叱られてもすぐに忘れて復活する回復力」「やりたくないことをやらずにすませる技をもっている」といった、 “すばらしい個性” に変わります。

アドバイス4:一歩下がり法で長所を見つける

「遊んでばかりで勉強しない」「もっと字を丁寧に書いてほしい」とイライラしているとしたら、それを「友だちと遊べる」「字が書ける」と一歩下がって考えてみませんか? 「できて当たり前」という価値観は、親が勝手に描いた「こうあってほしい」という価値観です。ありのままの子どもを受け入れ、いまある長所を認めてあげましょう。

アドバイス5:子どものおかげで親が得たものに感謝する

“究極のほめ言葉” である「ありがとう」を書いてみてください。「あなたがいるだけで嬉しい。生まれてきてくれてありがとう」ーーお子さまが存在しているということ自体が長所なのです。また、「ママとパパを親にしてくれた」「日々、愛情を感じさせてくれる」なども長所になります。

やり方2:子どもの長所を伝える
子どもに長所を伝えます。ノートを見せてもいいですし、親が読み上げてもいいでしょう。そして、「あなたには長所がこんなにあるよ。すばらしいことだよ!」と、お子さまに伝えてください。

子どもに長所を100個伝えると、親子関係が劇的に変化する!

では、100個の長所を子どもに伝えることによって、親子関係にどんな変化が起こるのでしょう。

石川氏によると、まず、子どもの長所を100個書き出し終わったとき、「わが子にはこんなに多くの長所があるのか!」という気づきを得られるのだそう。そして、「こんなにすばらしい子なんだから、何があってもこの子は大丈夫だ!」と子どもを信じることができるようになるとのこと。

また、子どもを信じることによって「子どもに対する見方が自然と肯定的なもの」に変わっていくため、「子どもに対する接し方もおのずと肯定的なもの」になります。すると自然に、子どもも何事にも意欲的になり、やる気にあふれてくるのです。

石川氏は、「親子関係がガラリと変わり、子どものやる気も高まります。一生のうちに一度でいいので、ぜひ挑戦してほしい」と、この方法を強くすすめています。

子どもの長所4

【実際にやってみた!】子どもの長所を100個書き出す

石川氏の「親子関係がガラリと変わる」という言葉を信じ、筆者も子どもの長所を100個書き出してみました。

小学校4年生(女子)の現状
  • 反抗期に突入したらしく、「わかってる」「いまやろうと思ってた」などの言葉が増えてきた。
  • 友だちとの時間を大切にするようになり、帰宅時間などの約束事を破ることが増えた。
  • 父親との会話がかなり減った。

 
上記のとおり、反抗期に入った娘にどう接していいものかと悩む毎日です。「子どもの長所を100個書き出す」直前も、帰宅時間をめぐって口げんかをしてしまい、いざノートを前にしても10分ほど何も書けませんでした。

そこで、アドバイス1~5を参考に、各アドバイスにつき10~15個ずつ書き出し、書いているあいだに思いついた内容もどんどん書き足していく、という方法をとりました。

子どもの長所ノート1
子どもの長所ノート2

書き出した長所を改めて見てみると、とても優秀な子どものように錯覚してしまいますが、残念ながらそんなことはありません。

ですが、アドバイス4の一歩下がり法を使えば、「去年に比べたら、ほんの少しだけ字がきれいになった(できれば、もっと丁寧に書いてほしい)」「字がきれい」「『片づけて』と20回くらい声かけすれば、すっきりと片づけてくれる」「片づけ上手」と変換できてしまうのですから不思議です。

以下、子どもの長所を100個書き出してみて、筆者が感じたことをまとめました。

子どもの見方、こう変わった!
  • 最近怒ってばかりだったけれど、「この子にはこんなにいいところがあったのか」と考えられるようになった。
  • 短所だと思っていた「怒られてもケロリとしているところ」は、「切り替え力がある」と思えるようになった。
  • 言うことはまったく聞かないけれど、「よく寝てよく食べてくれるだけでありがたい」と考え直した。
  • 「生きていてくれるだけでいい!」と心から思えた。

 

親子関係の変化
子どもの長所を見るようになって1週間、「わかってる」「いまやろうと思ってた」といった娘の言葉が減りました。同じく、筆者自身もイライラすることが減りました。また、ここ数か月、親子げんかのもとになっていた「帰宅時間」についても、「友だちが多いことは娘の長所である」と考えるようになったからか、うるさく言うことがなくなったのです。石川氏が言うように、長所を意識したことで「子どもを信じることができる」ようになったのでしょう。

 
長所をノートに書いてから3日後、娘にノートを見せました。「読んでみてどう思う?」と聞いてみたところ、「お母さん、よくこんなに書いたね。ありがとう。書いてくれて嬉しい」という感想でした。

子どもの長所を100個書き出して本人に見せることで、子どもが急に勉強好きになったり、親の言うことを何でも素直に聞くようになったりということはありませんでしたが、親も子もお互いに少しだけ優しくなったように感じます。

石田氏は50,000人以上の子どもたちを指導してきた経験から、「長所を伸ばして自信がつくと、子どもはもともと自覚している短所をあとから是正しようとする」と断言しています。親がガミガミ指摘しなくても「子どもは自分の短所を知っている」のです。ですから、まずは子どもの長所を見つけて本人に伝え、たっぷりと自信をつけてもらいましょう!

***
子どもの長所を100個書き出し終わって、筆者が強く感じたのは「娘が生まれてきてくれてよかった」ということでした。妊娠がわかった日のこと、初めてお腹のなかで娘が動いた日のこと、生まれたばかりの娘の顔などを思い出し、「ああ、生まれてきてくれて本当によかった」と思ったのです。親野氏が言うように、集中力がなくても、落ち着きがなくても、「生まれてきてくれたこと」それだけで、 “すばらしい長所” なのだと気がつきました。

子どもの短所ばかりが気になって毎日イライラしてしまう……というときこそ、ぜひ、子どもの長所を探してみてください。お子さまの長所がたくさん見つかりますように。

(参考)
石田勝紀(2021),『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』, 集英社.
古荘純一(2020),『自己肯定感で子どもが伸びる』, ダイヤモンド社.
ゼットスクエア|子どもの長所の見つけ方、伸ばし方(1)
All About|子供のいい所を10個言えますか?子育ての秘訣とは
ベネッセ教育情報サイト|子どもの「長所を100個書き出す」効果 [やる気を引き出すコーチング]
親力講座|子どものいいところを100個書き出してみよう