教育を考える 2024.8.19

子どもの論理的思考力を伸ばす! 年齢別トレーニング法と厳選ドリル8選

子どもの論理的思考力を伸ばす! 年齢別トレーニング法と厳選ドリル8選

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「論理的思考力」と聞くと、ずば抜けた頭の回転の速さや優れた理解力など、特別な訓練を経て得られる能力のように考えがち。しかし、論理的思考力は幼少期から家庭で鍛えることができます。物事を筋道立てて考え、合理的な結論を導き出して問題解決する力を身につけておけば、将来必ず役立つでしょう。

今回は、論理的思考力がなぜこれからの時代に求められるのかを解説。家庭でも気軽に取り入れられるコツと、おすすめのドリルも紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

これからの社会で活躍するなら、論理的思考力は必須!

ここ数年で「論理的思考(ロジカルシンキング)」の重要性は広く知られるようになりました。特に、これからの社会で活躍するために身につけておきたい必須スキルとして、わが子の「論理的思考力」を伸ばしてあげたい、と考える保護者の方も多いのではないでしょうか。

学習塾「スクールETC」代表の若泉敏氏によると、論理的思考力とは「同じものや違いに着目して物事を区別し、あれとこれの関係やつながりがわかるように考えて判断し、さらに判断した根拠を明らかにしたうえで、相手にわかりやすく説明する力」であり、学習や日常生活の問題解決に不可欠であることはもちろん、これからの社会で生きていくために必要な力なのだそう。(カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|第9回「論理的思考力」とは何か

また、「もしテストで不正解があったとしても、論理的思考ができれば『どうして間違えたのか』『自分に足りなかった知識は何か』『どんな勉強が必要か』というようにミスを振り返り、的確に対応することができる」と、算数に特化した学習塾「RISU」の代表である今木智隆氏は述べています。

論理的思考力育成には多くの利点があるため、年齢に応じた適切な方法で積極的に伸ばしてあげたいですね。

論理的思考力を鍛える02

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年齢に応じた発達段階と論理的思考力

この項では、年齢に応じた論理的思考力の発達段階を見ていきましょう。

0~2歳:論理の基礎を体全体で学ぶ時期

日本子ども学会常任理事でチャイルド・ラボ所長の沢井佳子氏によると、0~2歳のあいだは、「論理の基礎となる大事な事柄を体全体で学ぶ時期」であり、「並び方の順序の規則性」や「系列」を学ぶ時期。こういった順番の規則性を読み取る力は、時間の繰り返しの理解や、自然数の系列の構造の理解にもつながり、論理的思考力の基礎となるとのこと。

3歳:直感による規則性や法則性を探索する時期

お茶の水女子大学名誉教授の内田伸子氏らが行った研究では、3歳児は「直感を通じて規則性や法則性を探索する時期」であると指摘されています。この時期に「自分なりの感覚による理解と言葉で表現できるようになること」が、将来の論理的思考の基礎となります。自ら考える楽しさを味わうことで好奇心と探究心が育ち、身近な環境への積極的な関わりを通じて、思考力を発達させていきます。(カギカッコ内引用元:社会福祉法人 日本保育協会|乳幼児の論理的思考の発達に関する研究

4歳:比較・分類・予測を用いて論理を展開する時期

周囲の状況に注目し始める4歳児は、「比較・分類・予測を用いて論理を展開する時期」であり、失敗や誤りを通じて疑問や葛藤を経験しながら思考を深めていく時期でもあります。まだ状況把握が完全ではないため、空想と現実が混在した論理を展開することもありますが、この過程を通じて世界への理解を広げ、豊かなイメージを形成していく重要な時期と言えるでしょう。(カギカッコ内引用元:同上)

5歳:論理的思考力が飛躍的に発達する時期

多様な視点から推察し、因果関係を理解できるようになる5歳以降は、「論理的思考力が飛躍的に発達」します。結果から原因を推測し、科学的な仮説を立てて検証したり、自分の思考を振り返って物事を考えたり結論を導き出したりします。また、コミュニケーション能力が向上し、複雑な思考も可能になるでしょう。(カギカッコ内引用元:同上)

6~12歳:具体的思考から客観的思考へ移行する時期

6~12歳は、「具体的思考から客観的思考へ移行し、論理的に考える力が発達する時期」です。機械的記憶が向上し、仲間と集団を形成するギャングエイジでと呼ばれるのもこの時期。「やればできる体験」を通じて自己効力感を得ますが、同時に比較や失敗から劣等感も芽生えます。また、自制を学び、社会性が育つ側面もあります。(カギカッコ内引用元:若手教師のためのワンポイント・レッスン|第7.2章 子どもとは何か

次項では、論理的思考力を伸ばすための具体的なトレーニング方法をご紹介します。「幼児期(2~5歳)」「小学校低学年(6~7歳)」「小学校中学年(8~10歳)」と学年別に解説していきます。これらのトレーニングを通じて、子どもたちは楽しみながら論理的思考力を磨き、学習や日常生活でのさまざまな課題に対応する力を身につけていくことができるでしょう。

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幼児期(2~5歳)論理的思考力を鍛えるコツ

幼児期(2~5歳)は論理的思考の基礎を築く重要な時期です。この時期に適切なトレーニングを行なうことで、問題解決能力や創造力を大きく伸ばすことができます。以下に、家庭でできる論理的思考力の鍛えるコツを紹介します。

鍛えるコツ1:家族でたくさん対話をする

子どもの論理的思考力を高める方法として、千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子氏は、「どうしてこれにしたの?」「明日はどこへ行って何をして遊ぶ?」など、子どもの思考を促すような質問を投げかけることをすすめてます。ポイントは、自分の思いや考えを話せる環境を整えてあげることです。

鍛えるコツ2:「物語の展開」を考えさせる

読書を通じて物語の展開を予測する機会を設けるのもおすすめです。横山氏がアドバイスするように、読み聞かせの際に「どうして亀は浦島太郎を背中に乗せたのかな?」といった適切な声かけをするなど、子どもの思考プロセスを尊重してあげることを意識するといいですね。(カギカッコ内引用元:こそだてまっぷ|【論理的思考】を育むために家庭でできること~「話したい!気持ち」を引き出そう~

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小学校低学年(6~7歳)の論理的思考力を鍛えるコツ

小学校低学年は、論理的思考力をさらに深化させる重要な時期です。この年齢では、より複雑な思考プロセスを楽しみながら学ぶことができます。以下に、論理的思考力を育むのに最適なアイテムとして、パズルやドリルを紹介します。

鍛えるコツ1:キュボロで試行錯誤する

ビー玉の通り道になる道や溝やトンネルがついた5cmの立方体の積み木「キュボロ」将棋棋士の藤井聡太氏が幼少期に遊んでいたことで一躍有名になりました。組み合わせ方を間違えるとビー玉はうまく転がってくれないため、試行錯誤しながら積み木を組み立てる必要があります。この過程を経験することで、「うまくいくことにも理由があり、うまくいかないことにも理由がある」という論理性を学べるでしょう。遊びながら思考力・構成力・創造力・集中力を養えます

キュボロ
キュボロ写真:(社)日本知育玩具協会

鍛えるコツ2:ドリルで思考力アップ!

市販のドリルも、子どもの論理的思考力を鍛えるのにおすすめです。お子さんが楽しみながら続けられそうなドリルを一緒に選ぶのも楽しいですよ。ここでは、小学校低学年でも取り組みやすい4冊をご紹介します!

ドラゴンドリル 小1 けいさんのまき

全てのドラゴンは、ゲーム業界で活躍するイラストレーターによる描き下ろしで、教材の域を超えたクオリティ! 問題を解けば解くほど、レベルの高いドラゴンを獲得できるので、どんどん勉強したくなるでしょう。
ドラゴンドリル 小1 けいさんのまき

【出版社より】
1日1枚勉強して、大きなごほうびシールを貼り、ドラゴンのイラストを完成させよう! ゲーム感覚で取り組めて、勉強習慣が身につきます。

マジカル☆オシャレドリル 小2 計算

すべてのオシャレ好きの子どもたちに贈る、勉強をワクワクに変えるドリル。ドリルを解いたら「きせかえまほうシール」を1枚ゲットできます。集めたシールを貼って、キラキラ輝く素敵な女の子に変身させよう!

【出版社より】
キラキラのシールに、夢中になる子が続出! 計算のしくみがわかるかわいいイラスト解説つきで、計算が苦手な子でも取り組めます。

宮本算数教室の教材 賢くなるパズル 入門シリーズ 数字・ やさしい

卒業生の多くを難関中学に合格させてきた「宮本算数教室」のパズル教材です。数字センスを育む6種のパズルで成長が実感できますよ。

賢くなるパズル例題

【出版社より】
大人気パズルの入門編。主に数(数字)を使ったパズルを解き、試行錯誤することで、自然と数学的思考力が身につきます。

ゆるゆる図鑑 読解力ドリル 海の生物 低学年

ゆるゆるなイラストで気軽に読める新感覚の生物図鑑『ゆるゆる図鑑』シリーズから、読解力が身につく国語ドリルが登場。子どもたちに人気の全20種の生物の生態について知ることで、読解力が身につきます。

【出版社より】
無理なく読める短い文章とやさしめの問題で構成された、はじめての文章読解学習に最適なドリルです。お子さまひとりでも取り組めます。文章やデータの中から、必要な情報を見つけ出す力がつきます。

小学校中学年(8~10歳)の論理的思考力を鍛えるコツ

小学校中学年は、より高度な論理的思考力を育成する重要な時期です。この年齢では、抽象的な思考や複雑な問題解決能力を伸ばすことができます。以下に、小学校中学年向けの論理的思考力の鍛え方と、おすすめのドリルを紹介します。

鍛えるコツ1:親が「5W1H」の質問をする

開成中学・高校の元校長で現在は北鎌倉女子学園学園長を務める柳沢幸雄氏がすすめるのは、「5W1H」を意識した会話術です。ポイントは、ひとつの発言に対して質問をひとつだけすること。「今日は楽しかった!」「なにをやったの?」「休み時間にいっぱい遊んだ」「誰と?」というように、一つひとつ聞いてあげましょう。この会話を繰り返すうちに、「5W1H」をきちんと整理したうえで話せるようになり、論理的な表現力が身につきます。

鍛えるコツ2:ドリルで思考力アップ!

小学校中学年にもなると、少し複雑な内容のドリルのほうがやりがいを感じてどんどん進めたくなるはず。ここでは、想像力と創造力、そして知的好奇心が刺激されるドリルを4冊ご紹介します。

空想作文ドリル

「文章力」と「想像力」を伸ばす作文ドリル。わくわくするような空想のテーマに沿って自由に書き込むだけで、文章の書き方を楽しく身につけられます。日記や手紙、活動報告文の書き方など、小学校で学ぶいろいろな文章のかたちも収録。

空想作文ドリル2
空想作文ドリル1

【出版社より】
「思考力・判断力・表現力」のトレーニングにぴったり。お話を考えるのが好きなお子さまはもちろん、感想文や作文が苦手なお子さまも「楽しくてどんどん進められた!」と人気のシリーズです。小学3~6年生向けですが、興味があれば低学年からでも取り組める内容となっています。

宮本算数教室の教材 賢くなるパズル 論理・推理シリーズ たんてい やさしい

卒業生の多くを難関中学に合格させてきた「宮本算数教室」のパズル教材です。推理パズルを謎解き感覚で解くうちに、論理的思考力が身につきます。

【出版社より】
文章を読み取り、条件を整理して解く推理パズルなので、ナゾトキ感覚で楽しく取り組めて、読解力や論理的思考力が身につきます。

算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ふつう

ヒマつぶししながら知識と思考力を身につけられる一石二鳥のドリルです。楽しく遊びながらも、しっかりと算数と国語の力が身につきます。

【出版社より】
算数オリンピックのメダリストを多数輩出する塾の教材がもとになったドリル。普段は勉強があまり好きじゃない子もどんどんやりたくなってしまう、楽しく頭をフル回転させる問題が載っています。

5分で論理的思考力ドリル ちょっとやさしめ

ソニーの研究所のエンジニアたちが生み出した新メソッド「5つの思考回路」を取り入れたドリルです。必要なのは小学4年生までの算数の知識だけ。楽しく効果的に論理的思考力を身につけられます。

5分で論理的思考15分で論理的思考2

【出版社より】
わかりやすい設定、短い問題文なのに、とても頭を使う奥深い問題ばかりです。社会に出ると必要とされる論理的思考力を身につけましょう!

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お子さんの未来の可能性を広げるためにも、日常生活のなかで論理的思考力を育てるトレーニングを実践するのがおすすめです。パズルやゲームはもちろん、市販のドリルを活用したり、親子の会話をちょっと工夫したりするだけでも、論理的思考は育まれますよ。

文/野口燈

(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|発達の「順序」がわかれば焦らず待てる!
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|2030年、79万人のIT人材が不足する!? 「論理的思考力」が必要なこれだけの理由
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|論理的思考力を上手に育てる! いま人気の立体パズル「キュボロ」の遊び方
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|生きる力をつくる「10歳までの幅広い経験」。子どもに勉強は教えるな!?
こそだてまっぷ|【論理的思考】を育むために家庭でできること~「話したい!気持ち」を引き出そう~
ベネッセ教育情報|第9回「論理的思考力」とは何か
社会福祉法人 日本保育協会|乳幼児の論理的思考の発達に関する研究
若手教師のためのワンポイント・レッスン|第7.2章 子どもとは何か