2019年の前半は「平成最後の」や「令和最初の」といったフレーズをよく見聞きしましたよね。せっかくの良い機会ですから、関心が高まった今年ならではのテーマとして、「元号」について自由研究で調べてみてはいかがでしょうか。
古くは東アジア諸国で使われていた元号も、今や日本にしか残っていない文化になってしまいました。普段はあまり気にかけていない元号について調べると、私たち保護者も新しい発見ができるかもしれません。
2019年こそ「元号」を学ぶ最良の年
2019年の4月初めに新しい元号が「令和」と発表され、改元された5月1日を過ぎてからもしばらくの間、テレビや新聞などのメディアでは元号についてのさまざまなトピックスが取り上げられていました。国内はもちろん、海外からも大きな関心を集めた一大ニュースでした。ゴールデンウィークの真っただ中に改元されたこともあり、皇室での古式ゆかしい儀式を家族そろってテレビで見たという方も多いのではないでしょうか。
これまで小学校の学習指導要領には元号は含まれていませんでしたが、文部科学省によると、2020年度に導入される新要領から、小学3年の社会の授業に元号が盛り込まれることになったのだそう。今のうちから先取りして学習しておくと、元号について興味や関心が深まるきっかけになるでしょう。身近な話題かつ、日本の大切な文化として、自由研究で調べるのにふさわしいテーマですよ。
元号について調べるなら、こんなテーマがおすすめ
令和にちなんだ「元号」の調べ方の例として、小学1年から3年のお子さんが取り組みやすいものをご紹介します。
●そもそも元号とは?
- 元号が最初に使われたのは?
- いつ変わるの?
- 元号の作り方にルールはある?
- どうやって元号を決めた?
●今までに使われてきた元号を調べる
- 最初の元号「大化」から「令和」までの元号の数
- よく使われている文字のランキング
- 一番長かった元号、短かった元号
●明治以降の元号について詳しく調べる
- 明治、大正、昭和、平成、令和のそれぞれの元号の意味
- それぞれどんな時代だったか
●「平成」への改元と「令和」とで変わったこと
- 平成時代にはいなかった「上皇」とは
- 儀式のときの服装の色が違う理由
- 改元のための儀式について
テーマを決めるうえで注意するべきなのだ、どのくらい掘り下げるか・どのくらい広げるかというスケールの見定め。とてつもない作業量になると、お子さんの集中力が途切れてしまうことも考えられます。お子さんの興味関心や、集中力の度合いをみながら、研究の大きな枠組みを作ってあげるといいでしょう。
元号について調べるのに活用したい資料
どんなテーマにするか決まったら、次のような資料を活用して情報を収集していきます。
分かりやすい説明がほしいときは、子ども向けに発行された書籍や雑誌を活用しましょう。小学生から中学生を対象に簡潔に書かれた本は多々あります。
『天皇と元号の大研究 日本の歴史と伝統を知ろう(楽しい調べ学習シリーズ)』高森明勅 監修(PHP研究所)
カラーで写真や資料がたくさん掲載されているので、当時の様子もイメージしやすく、調べ学習に適した一冊です。
『月刊 ジュニアエラ 2017年3月号』(朝日新聞出版)
朝日新聞の編集委員による記事です。改元の全体像を把握しやすい構成になっています。バックナンバーですが、Kindleや図書館で閲覧することができます。
このほかにも次のような書籍もおすすめです。
- 『イラストでわかる 日本の元号』日本の元号研究会 編集(池田書店)
- 『元号(げんごう)でたどる日本史』グループSKIT 編著(PHP文庫)
お子さんと読みやすい本を探してみてくださいね。
簡単に情報を収集できるといえば、やはりインターネットでしょう。宮内庁や神社本庁のホームページには改元(お代替わり)の特集ページがあります。
- 宮内庁|お代替わり関係特集
- お宮キッズ(神社本庁)|元号がかわるよ『御代替り』
そのほかのサイトではある程度の情報の精査が必要になりますので、大人がサポートしてあげましょう。どんなキーワードで検索してたどりついたのかをメモしておくと、あとでまとめるときにも参考になります。
元号について調べたら、こんなふうにまとめよう
テーマによってまとめ方は異なりますが、次のような順番でまとめるといいでしょう。
- このテーマを選んだ理由
- どんな資料を使って調べたか
- 調べて分かったこと
- 感想
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1副代表の辻義夫氏は、自由研究のまとめ方には「壁新聞」「タブロイド・パンフレット風」「研究レポート風」の大きく分けて3つの方法があると述べています。「壁新聞」は大きな模造紙1枚にまとめるもの。「タブロイド・パンフレット風」は二つ折りにした画用紙をタブロイド新聞やパンフレットに見立ててまとめるもの。「研究レポート風」は複数枚のレポート用紙にまとめるものです。
絵を描くのは得意だけれど文章を描くのは得意ではないというお子さんは「壁新聞」。書きたい情報が多い場合には「タブロイド・パンフレット風」や「研究レポート風」がおすすめなのだそう。調べた情報の量と、お子さんの得意な分野に合ったまとめ方を選ばせてあげましょう。
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パパ・ママも、「昭和」から「平成」になったときのことを覚えていれば、どんどん教えてあげましょう。当時の写真や思い出の品を楽しみながら研究できるといいですね。
(参考)
関西電力forキッズ 教えて!かんでん|世界で元号を使っているのは日本だけ!?|
AERAdot. |「平成」は2018年で終了 そもそも元号って何?
こどもまなび☆ラボ||元号って? 天皇って? 関心が高まる今がチャンス! 日本の歴史と伝統が丸ごとわかる一冊とは?
宮内庁|お代替わり関係特集
お宮キッズ(神社本庁)|元号がかわるよ『御代替り』
リセマム|【GW2019】いよいよ始まる新時代…子どもと一緒に「元号」を学ぶ書籍5選
高森明勅監修(2018)『天皇と元号の大研究 日本の歴史と伝統を知ろう(楽しい調べ学習シリーズ)』, PHP研究所.
『月刊 ジュニアエラ 2017年3月号』,朝日新聞出版.
日本の元号研究会編集(2018)『イラストでわかる 日本の元号』, 池田書店.
グループSKIT編著(2016)『元号(げんごう)でたどる日本史』, PHP文庫.
日本経済新聞|学校「令和」どう教える? 「自分なりの意味を」
日経DUAL|プロが伝授 自由研究のカッコイイ見せ方・まとめ方