あたまを使う/国語 2026.2.27

「読み聞かせ」と「ひとり読み」の最適な切り替え時期は? 発達段階別・本との付き合い方ロードマップ

編集部
「読み聞かせ」と「ひとり読み」の最適な切り替え時期は? 発達段階別・本との付き合い方ロードマップ

子どもが少しずつ字を読めるようになってくると、「そろそろひとりで読ませたほうがいいのかな」と感じる保護者の方は多いのではないでしょうか。でもじつは、読み聞かせをやめるタイミングを急ぎすぎると、読書が「好きなもの」から「義務」に変わってしまうことがあります

この記事では、発達段階ごとに読み聞かせとひとり読みをどう組み合わせればよいか、研究知見をもとにわかりやすく解説します。

「読み聞かせ」はいつまで続けていい?

「もう小学生なんだから自分で読みなさい」と言いたくなる気持ちはよくわかります。しかし発達心理学の観点から見ると、読み聞かせは就学後もその効果が続きます。

アメリカの教育研究者ジム・トレリースは、著書『The Read-Aloud Handbook』のなかで、子どもの語彙力・読解力・読書への動機づけは、自分で読めるようになったあとも、読み聞かせによって育まれると述べています。*1

つまり「読み聞かせをやめる」という発想よりも、「ひとり読みを少しずつ加えていく」という考え方のほうが、子どもの読書習慣形成にはずっと適しているのです

母と娘がソファで読書をしている様子

発達段階別・本との付き合い方ロードマップ

0〜3歳 | 読み聞かせが「本=楽しいもの」の土台をつくる

この時期の子どもにとって、読み聞かせは言語習得そのものです。親の声・リズム・繰り返しのフレーズを通じて、言葉の音とイメージを結びつける力が育ちます。

研究によれば、幼児期に読み聞かせをされた子どもは、されなかった子どもと比べて入学時点での語彙数に有意な差が生まれることが示されています。*2

この段階で重要なのはシンプルです。毎日同じ時間に、同じ絵本を何度読んでも大丈夫。子どもが「またこれ読んで」と言うのは、理解を深め、言葉を定着させようとしているサインです。

4〜6歳 | 文字への興味と読み聞かせの「共存期」

ひらがなを覚えはじめるこの時期、子どもは自分で文字を追いたがるようになります。読み聞かせ中に指で文字をなぞったり、知っている文字を見つけて得意げに教えてくれたりするのがその証拠です。

この段階で重要なのは「一緒に読む」体験を増やすことです。一文ずつ交互に読む「交互読み」や、子どもが知っている部分だけ声に出す「穴埋め読み」など、参加型の読み聞かせが有効です。

小学校1〜2年生 | 「ひとり読み」の芽生えを大切に育てる

就学後、音読の練習を重ねるなかで、子どもは少しずつ「ひとりでも読める」という達成感を得ていきます。この時期に読み聞かせをやめてしまう家庭が多いのですが、じつはここが最も大切な「並走期」です。

この段階で重要なのは読み聞かせとひとり読みを同時に行うことです。子どもは「読書にはふたつの楽しみ方がある」と自然に学んでいきます。

教室でファイルを抱えて微笑むポニーテールの女の子

小学校3〜4年生 |「9歳の壁」を読書で乗り越える

小学3・4年生は「9歳の壁」と呼ばれる時期で、学習内容が一気に抽象的になります。語彙の不足や読解力の差が学力に直結しはじめるのもこの頃です。国立国語研究所の研究では、この年代の読解力は読書量と強い相関があることが示されています。*3

この段階で重要なのは「量より質」ではなく「質より習慣」という発想に切り替えることです 難しい本を一冊読ませるより、少し易しめの本を毎日少しずつ読み続ける環境を整えることが、読解力の底上げにつながります。

ひとり読みの習慣がある子どもとない子どもの差が、学習全般に広がっていくのがこの時期の特徴です。

小学校5〜6年生 | 自立した読者へ、でも読み聞かせは終わらない

高学年になると、子どもは自分で本を選び、自分のペースで読み進める「自立した読者」に近づきます。この段階で読み聞かせをすると嫌がる子もいますが、「読み聞かせ」という形にこだわらず、「一緒に本の話をする」関係性に移行していくのがよいでしょう。

この段階で重要なのは感想を「正解に誘導しない」ことです 「どんなところが面白かった?」「主人公の気持ち、どう思う?」といった問いかけを通じて、自分なりの読み方を持つ習慣が身につきます。親が正しい解釈を示すよりも、子どもの言葉をそのまま受け取る対話が、読書を知的な営みとして根づかせます。

男の子がひとりで読書をしている様子

読み聞かせとひとり読みを上手に組み合わせるコツ

同じ本をシリーズで揃えておくと、読み聞かせで聞いた話の続きをひとり読みしたくなる自然な流れが生まれます。
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読み聞かせの時間は、スマートフォンをしまい、子どもの目を見ながら行うことで、本の内容だけでなく「一緒に過ごす時間そのもの」の価値が子どもに伝わります。これが、生涯にわたる読書好きを育てる最大の秘訣かもしれません。

FAQ(よくある質問)

Q. 小学4年生ですが、まだ読み聞かせをしています。遅くないですか?

A. まったく遅くありません。むしろ、高学年になっても読み聞かせを続けている家庭の子どもは、読書量・読解力ともに高い傾向があると報告されています。子どもが喜んでいるなら、ぜひ継続してください。

Q. 子どもが「自分で読む」と言って読み聞かせを断るようになりました。どうすればいい?

A. それは自立の大切なサインです。「今日読んだ本、あとで教えて」と声をかけるだけで、読書への関わりは続けられます。子どもが自分から本の話をしてくれるような関係性を大切にしましょう。

Q. 忙しくて毎日読み聞かせができません。週に数回でも効果はありますか?

A. あります。毎日でなくても、質の高い読み聞かせの時間を週数回継続するだけで、語彙力・読解力への効果は十分に期待できます。「毎日できなかった」と自分を責めるより、できる日に丁寧に行うことを優先してください。

Q. ひとり読みが好きな子に、読み聞かせは必要ですか?

A. ひとり読みが好きな子どもにとっても、読み聞かせには独自の価値があります。プロの朗読や保護者の声で聞くことで、自分では選ばないジャンルや難易度の物語に触れるきっかけになります。押しつけにならない程度に、特別な時間として提案してみてください。