教育を考える/体験 2019.8.9

ものづくりのプロセスからキャリア教育まで!「工場見学」が自由研究に最適なワケ

編集部
ものづくりのプロセスからキャリア教育まで!「工場見学」が自由研究に最適なワケ

お菓子にジュース、ラーメンや調味料、地域の特産品、車に飛行機、製鉄……。私たちの周りには、あらゆる「工場」があります。ものづくりの現場を実際に見たり体験できたりする工場見学は、年齢を問わず人気のお出かけスポットとして定着してきました。夏休みの家族でのお出かけ先としてもおすすめですが、自由研究のテーマとしても最適です。

工場見学が子どもにとってどんな学びになるのか、どのようにこの先の学習につながっていくのか、あらかじめ私たち大人が知っておくと、ただ楽しむだけの工場見学からワンランク上の教育効果が期待できますよ。

今回は、夏休みの自由研究という視点から、工場見学へ行く前の準備、見学に持っていくと良いもの、見学後のまとめ方などについてご紹介しましょう。

工場見学は、ものづくりのプロセスを学ぶだけの場ではない

小学生の頃、社会科見学で工場見学へ行ったことのある方は多いのではないでしょうか。昨今は、子どものみならず、大人を対象とした工場見学も日本各地で開催され、人気を博しています。また、夏休みには親子を対象とした工場見学を企画するところも多く、家族でお出かけする際にもぴったりのスポットです。

なぜ、工場見学は人気があり、注目されているのでしょうか。ひとつには、普段の生活では見られないものがそこにあるからでしょう。いつも目にしている商品が、長いベルトコンベア上で、ひとつひとつのプロセスを経て徐々に完成していく様子や、出荷までの流れを知ることができます。そこから、ものづくりの大変さやムダのない効率的な動きなど、さまざまことを学べますよね。

工場見学はしばしばテレビ番組でも紹介されていますし、企業のホームページなどで疑似体験できるものもあります。ものができあがっていくプロセスを「見る」「知る」だけで良いのであれば、テレビやホームページでも十分かもしれません。しかし、実際に工場へ足を運んで見学すれば、「聞く」「嗅ぐ」など五感を使って、ものづくりを体感できます。隣の人の声も聞こえないほどの大きな機械音、赤々と燃える鉄の塊やゴム製品の独特の臭いなど、ひとつの製品が完成するまでを五感をフルに使って体感できるのが、工場見学の醍醐味といえるでしょう。また、現場で働いている人の生の声を直接聞くこともできるため、子どもたちにとって貴重な経験になることは間違いありません。

日常生活では見ることができない仕事の現場を見学できるのも、工場見学の魅力です。例えば、鉄道の沿線でよく見かける巨大な群をなす製鉄工場や化学工場の内部は、工場見学の機会がなければ滅多に入ることはできませんし、初めて見る仕事も多いでしょう。神戸国際大学経済学部教授の中村智彦氏は、子どもにとって工場見学はキャリア教育の一環になると述べています。工場見学を通して、人が働く様子を間近で見学し、さまざまな職業の存在を知り理解を深めることができるのです。

加えて、事前学習から当日の見学、そしてまとめまでのプロセスが自由研究として扱いやすいという点も、工場見学が注目されている理由のひとつではないでしょうか。コツコツ観察を続ける必要もありませんし、家族で出かけて楽しみながら夏休みの宿題も一緒に済ませてしまうことのできる工場見学は、研究テーマとしてお得ですよね。

工場見学で自由研究02

自由研究で工場見学へ行くための準備

工場見学に行くときは、どれだけ事前準備できるかが大きなポイントです。最終的な満足度を大きく左右する、事前準備に必要なことをまとめます。

●目的を決める
まず、目的を決めます。例えば、

  • 身の回りにあるものが、どのように作られているか
  • 乗り物は、どんな技術を使って作られているか
  • 地域の特産品は、いつからどのように作られ続けているか

など、日常生活において身近なものや、お子さんが好きなもの、地域の特色と関連づけられるものをテーマに選んであげると、レポートのまとめ作業までお子さんのやる気をキープしやすくなります。どんな工場へ、何のために行くか、親子で話し合って決めましょう。

●見学する工場を決める
目的にあった工場を探します。会社のホームページを見て、工場見学の開催日所要時間人数年齢制限場所などを確認して、条件に合うものを選んで予約をしましょう。「工場見学 夏休み 親子」とキーワード検索をして探してもいいですし、次のようなサイトでは、地域別や業態別で工場見学を探すこともできます。

◾️学研キッズネット|工場見学ナビ
◾️いこーよ|親子におすすめ! 工場見学特集2019

●工場の下調べをする
教育評論家の親野智可等氏は、工場見学に行く前に会社のホームぺージを見て、見学する工場の名前作っているもの場所働いている人の数ものづくりの流れ、どんな技術を使っているかなどを事前に下調べしておくことを推奨しています。大まかに把握しておくと、見学するときに理解がスムーズです。調べていくうちに、分からないことやもっと知りたいことが出てきたら、見学時に質問できるようにリストにまとめておくと良いでしょう。

工場見学、こんなところに注意!

●持ち物は、早めにリストを作る
当日、持っていくものは下調べをしながらリストを作っておくと、「あれを持ってくればよかった!」とならずに済みます。例えば、

  • 筆記用具、ノート
  • 飲み物
  • カメラ、ビデオカメラなどの撮影機器(撮影が許可されている場合)

は必需品になるでしょう。ノートは、下調べしたことや聞きたいことを書き留めておくと、現地でポイントを押さえて見学しやすくなります。

●レポート作りを見越して、撮影OKな工場を選ぶ
工場によっては見学時の撮影を禁止している場合もあるため、なるべく撮影OKの工場を選ぶことをおすすめします。写真や動画は、後から見返したとき、その場では気づかなかったことに気づけることもあるため便利です。また、まとめる際に写真を使うと見栄えもよくなりますね。

●見学中は五感をフルに使う
写真もビデオも重要ですが、撮ることばかりに気を取られては、せっかくの見学も魅力半減です。親野智可等氏は、記録を取る前に、目、鼻、耳、口、感触の五感をフルに活用して、自分の感覚で味わうことを勧めています。機械の動き、工場の中の音、臭いなどを体全体で吸収するつもりで見学しましょう。

●暑さによる体調不良に注意!
暑さが厳しい夏休み中なので、熱中症にならないよう、水分補給は十分な備えをしておきましょう。工場によっては、外を歩いて移動することもあるので、天気が急変したときに備えて傘など雨具をもっていくと安心です。

●大人と離れて行動するときは緊急時の連絡手段を確認しておく
工場見学は、子どもだけで体験できるものもあるようです。その場合には、緊急時に備えて、携帯電話を持たせるか保護者の電話番号を記したメモを持たせるようにしましょう。

工場見学で自由研究03

工場見学が終わったら、レポートにまとめよう

まとめ方は発表スタイルによって適した方法がありますので、お子さんと話し合って決めてくださいね。

●壁新聞
教室に展示する場合やコンクール出品を狙う場合におすすめです。大きな模造紙1枚にまとめると全体像がわかりやすく、一度に多くの人に見てもらえるのもメリットです。

●ファイル
詳しく調べたことをまとめるのに適しています。レポート内容を項目ごとにページで区切り、たくさんの情報を載せましょう。

●紙芝居
自由研究の内容を、クラスやグループで発表する場合に適しています。裏にセリフを書いておくと説明しやすいですよ。

工場で見学した流れをおさらいし、事前に学習したことを補足説明として入れながら、見学を通してわかったこと感想新たな疑問次に取り組みたい課題などをレポートにまとめます。自分で描いた絵撮ってきた写真見学でもらってきたパンフレットなどを切り貼りしながらまとめると、具体的で見栄えの良い作品になるでしょう。

***
お住まいの近くで工場見学ができる会社を探すのもいいですが、思い切って家族旅行のプランに工場見学を組み入れてみるのはいかがでしょうか。全員の休みがなかなか合わないご家庭でも、旅行を楽しみながら家族みんなで自由研究に取り組んだという夏休みならではの思い出にもなるためおすすめですよ。

(参考)
ベネッセ教育情報サイト|キャリア教育にもなる工場見学 専門家がすすめる、家族でできる見学前のコツとは?
ベネッセ教育情報サイト|自由研究にも活用できる! 工場見学に行こう!!【前編】~見学の目的~
ベネッセ教育情報サイト|自由研究にも活用できる! 工場見学に行こう!! 【後編】~見学とまとめ方のコツ~
PRESIDENT Online|子どもの人生が変わる「工場見学」は
学研キッズネット|工場見学のポイント
学研キッズネット|工場見学ナビ
いこーよ|親子におすすめ! 工場見学特集2019
親力講座(親野智可等ブログ)|夏休みの自由研究は工場見学がオススメ