教育を考える 2020.4.4

子どもはいつまで甘えるの? “親にたっぷり甘えた子” ほど自立が早いワケ

編集部
子どもはいつまで甘えるの? “親にたっぷり甘えた子” ほど自立が早いワケ

「なぜ自分で決められないの」「それくらいひとりでやりなさいよ」——こうした言葉を日常的に子どもにかけてはいませんか? 心当たりのある方は、おそらく我が子の自立を強く願っているからこそ、厳しく接しているのでしょう。

子どもの自立を促すことは、親の重要な役割のひとつです。ですが、何でもかんでもひとりでやらせたり、決めさせたりする必要はありません。もっと気楽に構えてよいのです。

今回は、その理由を説明します。

子どもが決められないなら、親が決めてもいい

親の過干渉は、子どもの自立心を奪うといわれています。たとえば、子どもが洋服を選んでいるとき、「こっちがいいんじゃない?」と先回りして口出しすると、子どもの自立心は育ちません。子どもがじっくり選んでいるなら、時間がかかっても決まるまで待つべきです。

ですが、子どもが「お母さんが選んで」とお願いしてきた場合は別です。そこで、「ダメよ。自分で選びなさい」と言ってしまったら、いつまでも決まらないか、投げやりな気持ちで適当に選ぶかのどちらかになるのではないでしょうか。

子どもが自分で決めたり行動したりできる、もしくはしたがるかどうかは、その子の成長段階にもよります。教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「幼い子どもにはまだはっきりした自我も判断力もありませんから、なんでもかんでも子ども自身で選ぶことはできません」「ある程度、親が決めてしまっていい」とコメントしています。

また、同様に子どもの性格にもよります。人間関係研究家の稲場真由美さんによれば、人間の性格は大きく4つに分けられ、そのうちの2つのタイプは、「相手のために頑張ることによろこびを感じる」タイプなのだそう。それに該当する子どもは、自分より親の意見を優先したいと考えるのだといいます。

つまり、すべての子どもに対して、何でもかんでも自分で決めさせるのが適切とは限らないのです。

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自立とは、素直に助けを求められるようになること

そもそも、親が目指している子どもの「自立」とは、どういうものなのでしょうか。一般的には、「自分のことは自分でできる」など、親に依存していない状態を示すイメージがあります。しかし、実際のこの言葉の捉え方は多様です。

たとえば、脳性まひによる障害を抱える、東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎さんは、上記イメージとは真逆といえる捉え方をしています。

「自立」とは、依存しなくなることだと思われがちです。でも、そうではありません。「依存先を増やしていくこと」こそが、自立なのです。これは障害の有無にかかわらず、すべての人に通じる普遍的なことだと、私は思います。

(引用元:全国大学生活協働組合連合会|大学生協の保障制度

たしかに、大人でも周囲の人たちの力を借りずに生きている人はいません。むしろ、自分の力だけでは解決できないことに直面したとき、「手を貸してください」「教えてください」と素直に助けを求められることが大事なのです。

ここで、先ほど例に出した、「子どもが『お母さんが選んで』とお願いしてきた場合」を今一度思い浮かべてみましょう。親が「ダメよ。自分で選びなさい」と言ってしまったら、次から親に素直に助けを求めることはできなくなってしまうかもしれません。

子どもが親以外の「依存先」をたくさん増やせるようになるまでは、親が手を差し伸べるべきではないでしょうか。もちろん、子どもがアドバイスを求めているときに限りますが。

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どんどん「甘え」を受け入れよう!

では、子どもの自立を目指す親は、子どもにひとりでやらせたり、決めさせたりする以外に何をすべきなのでしょうか。多くの専門家が、意外なことに「甘えさせること」が子どもの自立を促すと言います。そのなかで、精神科医の佐々木正美さんの意見をご紹介しましょう。

むしろ、幼少期にいうことをきいてあげ、たっぷり甘えさせてあげた子どもほど、早く自立して、大きくなっても親に心配をかけない人間に育ちます。その反対に、しっかり甘えられなかった子どもほど、いつまでも手がかかります。それは私の50年余りの臨床体験をはじめ、多くの子どもたちを見てきて実感していることです。

(引用元:Hugkum|【今も心に響く佐々木正美さんの教え】子どもが自立するには「甘え子育て」が必要です

なぜ、「甘え」を受け入れられた子どもほど自立するのでしょうか。その理由について、佐々木さんは、「甘えやわがままを受け入れてもらうことで、子どもは自分に自信を持てるようになり、それが自立を促す力になるから」と述べています。また、「子ども時代にそういう受け入れ経験がないと、自立するのが難しくなって、人に要求ばかりする人間になる」とも話しています。

しかし、ここでいう「甘え」には、物質的要求や金銭的要求は含まれません。子どもが「あれ買って、これ買って」と言ってくるのをすべて聞き入れるのは単なる「甘やかし」です。子どもの自立を促す「甘え」とは、精神的要求のことを示します。「抱っこして」「話を聞いて」や、先ほど例に出した「お母さんが選んで」もそれに当てはまります。

最後に、こうした「甘え」はいつまで受け入れればいいのでしょうか。家庭教育の専門家である田宮由美さんは、「子どもは心が自立していくと、自然に親から離れ、甘えてこなくなる」としたうえで、「強いて時期を言うとすれば、9歳か10歳くらい」と言います。ですが、これはあくまでも目安であり、「子どもが甘えてこなくなるまで、充分甘えさせてよい」のだそうです。

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これまで子どもを自立させようとひとりでやらせたり、決めさせたりすることに頑張りすぎていた親御さんは、少し力を抜いてみてもいいのかもしれませんね。そのぶん、子どもの「甘え」に向き合う時間を増やしてみましょう。

また、ご紹介した佐々木正美さんは、「親御さんも人に甘えることが必要」と述べています。疲れたときは、家族や友人に愚痴を聞いてもらったり、頼ったりできるといいですね。

(参考)
こどもまなび☆ラボ|なんでも「自分で決めさせる」親が、子どもを追い詰めているかもしれない理由
こどもまなび☆ラボ|子どもが言う「なんとなく……」に、親が「どうして?」と聞いてはいけないわけ。
PHPファミリー|子どもにとって「自立」って何?
全国大学生活協働組合連合会|大学生協の保障制度
Hugkum|【今も心に響く佐々木正美さんの教え】子どもが自立するには「甘え子育て」が必要です
All About暮らし|子供を自立させる甘えと、ダメにする甘やかしの違い