教育を考える/体験 2018.9.30

収穫体験や農業体験は子どもを変える! 成長のカギは「自然体験」にあり!

編集部
収穫体験や農業体験は子どもを変える! 成長のカギは「自然体験」にあり!

秋はいろいろな野菜や果物が収穫できる季節ですね。たとえ都会に住んでいても、郊外に収穫体験ができる農園が増えてきたことによって、ちょっと足を延ばせば気軽に自然の恵みを体感できるようになりました。

自然に触れることはいいこと。これは誰もが実感しています。では実際に、自然体験や収穫体験は子どもたちにどんな良い変化をもたらすのでしょうか?

また、大人にとっても、日常から離れて自然に触れるという体験は、気持ちがリフレッシュしたり自然のありがたみを再確認したりと、かけがえのない時間となります。子どもにも大人にもメリットだらけの自然体験。この秋は親子で一緒に自然に触れてみませんか?

自己肯定感や正義感、道徳観までも。自然から学ぶ大切なこと

収穫体験や農業体験といったいわゆる “自然体験” は、子どもの精神面にどのような影響を与え、どのような成長につながっていくのでしょうか。

以前、StudyHackerこどもまなび☆ラボでご紹介したコラム「子どもに「自然体験」をさせよう! 正義感と自己肯定感を強くする方法」にもあるように、「自然体験が豊富な子ほど正義感・道徳観が強い」「自然体験の多い子どもは自己肯定感が強い」とのこと。

具体的には、自然体験が豊富な子どもほど「友だちが悪いことをしていたらやめさせる」「バスや電車で席をゆずる」と言った正義感道徳観が身についている傾向が見られたり、「勉強は得意なほうだ」「今の自分が好きだ」と自信を持っていたり。自然体験は子どもにポジティブな影響を与えているようです。

その要因のひとつとして、「自然という、人間が完全にはコントロールできない環境の下で、仲間や指導者に支えられながら一緒に様々な課題や困難に立ち向かう中で、社会性は育成されていくものである」ことが考えられます。(文部科学省|青少年の意欲をめぐる現状と課題|直接体験の少なさより)

自然の中にいると、人間の非力さを思い知らされることが多いですよね。たとえそこまで危険な目にあわなくても、便利な日常に慣れてしまった現代人からすると非常に不便であり、また変化し続ける周囲の状況を敏感に察知して対応する能力が求められるのも自然ならではです。

そこで家族や友人と協力して危機を乗り越える術を学んだり、それぞれが自分の役割を責任をもってこなすことの大切さを実感できるのではないでしょうか。これらの経験は、日常生活に戻ってからもしっかりと身についているはずです。

また、自然体験によって得られた「自己肯定感」は、学力アップにも少なからず影響します。StudyHackerこどもまなび☆ラボでご紹介したコラム「「自己肯定感の高い子どもは学力も高い」は本当? 自己肯定感アップに効果的な3つのこと」からもわかるように、自己肯定感と学力の因果関係は明らかになっていないものの、自己肯定感が高い子どもは成績がアップしやすく、成績がアップすると自己肯定感がさらに高まるという相関関係があることは、さまざまなデータから読み取れます。

一見つながりがなさそうな「自然体験」と「学力」。しかし「自己肯定感」が橋渡し役となって、見えない部分でしっかりと影響を与えていることがわかるでしょう。

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子どもの心を満たす “自然のちから”

小学校に入学すると、子どもたちは幼稚園や保育園とはまったく違う環境で過ごすことになります。さまざまなタイプのお友だちとの関係性や、先生をはじめとした親以外の大人への接し方、集団としての秩序、勉強やスポーツのプレッシャーなど、子どもなりにいろいろな物事に向き合い、時にはその小さな心を痛めることもあるでしょう。

大人と違い、幼い子どもは自分の感情をコントロールしたり、ストレスを和らげたりする術をまだ知りません。ほとんどの子どもは、日々の楽しい出来事の積み重ねによって、いつのまにか心の安定を手に入れているのではないでしょうか。しかし一方で、感情の切り替えが苦手で情緒が安定しないタイプの子どももいます。そんな子どもたちにとって、農業体験などを通して自然と触れ合うことは意外な効果をもたらすそうです。

農研機構農村工学研究所が「農業体験学習が子どもの意識・情感に及ぼす影響」について研究した結果、次のようなことがわかりました。

農村では、農作業以外にも裏山にわき水を飲みに行ったり、夕焼け空や星空を眺めたりといった都会ではできない農村ならではの自然の中での体験ができることから、情緒安定の影響力が強く現れたと思われる。(中略)田畑や周囲の景色をじっくり眺めたり、草花を摘んだり、生き物を捕まえたり、川遊びをするといった行為も含めて体験学習を行うことで、環境教育や、農村への興味、情緒安定等の多様な影響力の発揮につながるといえる。

(引用元:農業体験学習による子どもの意識・情感への影響に関する実証分析

気持ちが不安定になりがちなお子さんや繊細なお子さん、また周囲への気遣いから自分の感情を抑えてしまうお子さんにこそ、自然体験や農業体験をおすすめします。大きな自然の中で自分の心を解放することで気持ちも前向きになり、情緒の安定が期待できるのではないでしょうか。

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収穫体験は食育に効果てきめん!?

都会に住んでいるのであれば、スーパーに売られている野菜しか見たことがないお子さんも多いのではないでしょうか? だからこそ、実際に野菜がどのようにして育つのか、自分で収穫することで植物や自然への知識が深まることも期待できます。自動車メーカーのHondaが紹介している収穫体験キャンプのレポートによると、「収穫体験は子どもの食育につながる」とのこと。

スーパーに並んだキレイな形の野菜しか見たことのない子どもの目には、不恰好な野菜は「食べられない不良品」に映るかもしれません。食べてみて、キレイな野菜と同じ味がすることにきっと驚くでしょう。

(引用元:Hondaキャンプ|子どもも大人も発見がいっぱい! 収穫体験キャンプを楽しもう

まるでおままごとに使うおもちゃのお野菜のように、形が整った野菜に馴染みがある子どもたちも多いはず。身近に畑などがない環境であれば当然ですね。しかし、たとえ不恰好でも味は同じ。それがわかれば、食べ物だけではなくあらゆる物事に対して「見た目だけで判断しない道徳観も身につけられるでしょう。

ちなみにキュウリは、本来は曲がって育つ野菜なのですが、見た目を美しくするために農家の方々が手間をかけてまっすぐに育てています。(中略)収穫体験では実際に農作物を育てることはありませんが、こうした農家の方々の日々の努力や大変さを伝えてあげることで、より食べ物のありがたみを感じることができると思います。

(引用元:同上)

新鮮な野菜は採れたてをそのまま食べるのが一番美味しい! 我が子にもそんな経験をさせてあげたいですよね。農場が併設されているキャンプ場や、採った野菜をすぐに調理できる設備が整っている施設もあるので、もしその場で食べられるのならぜひ味を確かめさせてあげましょう。

自分の手で収穫した可愛い野菜の味は、子どもにとって忘れられない特別な思い出となるはずです。

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ここ数年は酷暑が続き、せっかくの夏休みでも外遊びをしないように注意喚起する地域もあるほどです。そんな暑い夏もようやく終わりを迎え、外で過ごすには気持ちの良い季節になりました。農業体験や収穫体験といった自然体験は、子どもが成長する過程で必要なものを得られるチャンスでもあります。親子で積極的に自然の中に飛び込み、素敵な思い出を作りましょう!

(参考)
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもに「自然体験」をさせよう! 正義感と自己肯定感を強くする方法
文部科学省|青少年の意欲をめぐる現状と課題|直接体験の少なさ
文部科学省|生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむー「青少年の[生きる力]をはぐくむ地域社会の環境の充実方策について」ー(答申)
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「自己肯定感の高い子どもは学力も高い」は本当? 自己肯定感アップに効果的な3つのこと
農業体験学習による子どもの意識・情感への影響に関する実証分析
Hondaキャンプ|子どもも大人も発見がいっぱい! 収穫体験キャンプを楽しもう