教育を考える 2019.10.12

世界中で大人気! ニュージーランド発の幼児教育「テファリキ」を家庭で取り入れよう

世界中で大人気! ニュージーランド発の幼児教育「テファリキ」を家庭で取り入れよう

ニュージーランド発祥の幼児教育のカリキュラム「テファリキ」を知っていますか? 「テファリキ」は、いま世界中から注目を集めている教育カリキュラムです。

今回は、「テファリキ」のメリットや、家庭での取り入れ方などを紹介しましょう。

「テファリキ」って何?

テファリキとは、1996年にニュージーランドで導入された幼児教育のカリキュラムです。読み書きや運動、「○才までに○○ができるように」といった日本でよくある幼児教育とは違い、子どもの社会的・文化的な学びや、さまざまな人々との関わりを重視しています。

また、集団活動を強制せず、一人ひとりの子どもの意思を尊重するのも特徴。テファリキでは自由遊びがメインです。おままごとができるスペース、動物の飼育ができるスペース、釘や金づちを使って大工さん遊びができるスペースなど、さまざまな遊びの空間があり、子どもたちはそれぞれ好きな場所で好きなように、思いっきり遊びながら「自分で考えていくプロセス」を習得していきます。

テファリキは、以下の4原則と5要素で成り立っています。

「テファリキ」4つの原則
Empowerment……学び、成長する力を身につけさせる
Holistic Development……学び、成長していく全体的なあり方を反映する
Family and Community……家族や地域のコミュニティなどより広い世界で学ぶ
Relationships……さまざまな人々や場所、物との関わりから学ぶ

 

「テファリキ」5つの要素
Well-being……健康と幸福が守られる
Belongings……子どもと家族が所属感を得ることができる
Contribution……子ども一人ひとりの社会貢献が価値あるものとされる
Communication……さまざまな文化や言語、象徴が守られる
Exploration……さまざまなことを試したいという探求心を通じて学ぶ

テファリキ02

「テファリキ」のメリット

テファリキに沿ったカリキュラムには以下のようなメリットがあります。

  • 「ラーニングストーリー」で子どもの成長がしっかり把握できる
    テファリキでは「ラーニングストーリー」という、日本でいう連絡帳のようなものを活用しています。連絡帳との違いは、ポジティブな内容のみであること、その日の子どもの様子の写真つきであることと、親と担任の先生はもちろん、担任以外の先生親の友人など、子どもに関わっている人なら誰でもコメントを書けることです。複数の立場から子どもの成長を記録すると、いろんな視点から子どもを見ることにつながります。またどんなことでもポジティブに捉えていくことで、親自身が子育てに自信を持つようになり、そうした親の姿勢が子どもの自己肯定感を育むきっかけにもなるのです。
  • 適応能力やリスクマネジメント能力などが育まれる
    ニュージーランド・フィティアンガにある「リバリー乳幼児教育センター」の園長・カースティ・ミラン先生によると、テファリキに沿ったカリキュラムでは、子どもの困難に負けない力忍耐力回復力適応能力創造性失敗(リスク)を嫌がらずイマジネーションして乗り越えていく力が強くなるそうです。テファリキでは、日々自然や人間を相手に「どうやったらできるか?」を常に考えて行動するため、こうした力が育まれやすいとのこと。
  • コミュニケーション能力が身につく
    テファリキでは、子ども同士でおもちゃの取り合いなどがあっても、先生は基本的に見守り、ケガや暴力の可能性がある場合のみ仲裁します。どちらの味方をすることもなく、それぞれの子どもがどう感じたのか話させて、相手の気持ちを理解できるように導きます。そうすることで、自分たちで物事を解決する力や、自分の意思を伝えたり相手の意見を汲み取ったりするコミュニケーション能力が身についていくのです。

テファリキ03

家庭でも取り入れられる「テファリキ」

以下の工夫を通して、テファリキの考え方を家庭でも取り入れてみましょう。

危険なものを排除しない

通常、子どもがいる家庭では、刃物や鋭利なものなど、ケガの原因になりそうなものを徹底的に隠すことも珍しくありません。しかし、テファリキでは金づちや釘、のこぎりなどを使った大工さん遊びを積極的に行なっています。一見危険に思えるものでも、安全に配慮し、大人がしっかり見守りながら使わせることで、子どもの創造性を伸ばすことにつながるのです。

前出のミラン先生は、時には怪我や失敗を経験することによって、子どもたちが「リスクテイカー」になり、より豊かな成長を促せると語ります。親としては、子どもがケガをすることをつい恐れてしまいますが、失敗を乗り越える能力を身につけさせることも大切ですね。

■外遊びを積極的に行なう

前出のミラン先生の園では、子どもたちの一日のスケジュールとして決まっているのはモーニングティー、ランチ、アフタヌーンティーの3つだけ。そのほかは、基本的にどんな天気でも外遊びをするといいます。

外遊びは、五感を刺激したり、子どもが自分なりの遊びを見つけたりするのに最適です。心理学者の石﨑一記氏によると、外遊びは、自律性有能感集中力発想力といったあらゆる能力を育てる効果があるのだそう。ただし、その際に「ああしなさい」「これはだめ」と口を出せば自律性は育ちませんし、子どもが「見て見て!」と誇らしげに言ってきたときに素っ気ない態度をとれば有能感は育ちません。あくまで子どもを尊重し、子どもと一緒に楽しんで遊ぶことが大切です。

休みの日は、積極的に外遊びをするよう心がけてみてはいかがでしょうか。

■習い事の必要性を見直す

ニュージーランドにあるプリスクール「カウリ・ラーナーズ」で、日本からの親子留学を受け入れているファウンダー兼オーナー・渡辺寿之氏は、日本の都市部で「隣の子もやっているから」といった理由で幼児でも習い事で毎日が埋まっていくような教育スタイルが増えていることを問題視しています。

お金を払って塾の先生に委ねているだけでは、親自身が育児に自信がなくなる可能性もあると同氏は言います。ニュージーランドでは、就学前や小学生の頃から塾に通っているような子どもはいないそう。その代わり、自然の中でクタクタになるまで遊び、さまざまなことを学んだり、自分の得意な分野を伸ばしたりしているのです。

子どもを習い事に通わせている場合は、「みんなやっているから」「自分の子どもだけ習い事をしていないのは不安」などの安易な理由になっていないかどうかを考えてみましょう。

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団体行動や規律を重視しがちな日本の幼児教育とは違い、子どもの個性や意思を重要視しているテファリキ。今度の休みの日は、ぜひテファリキの考え方に沿って子どもと関わってみてはいかがでしょうか。

文/田口 るい

(参考)
Glolea!|世界が大注目!子供の個性を伸ばすニュージーランドの幼児教育「テファリキ」とは
保育ぷらす|子供の生活は「学びの旅」! ニュージーランドの幼児教育「テファリキ」
横浜市認可保育園 もみの木台保育園|ニュージーランドと毎日通信
日経DUAL|ニュージーランド親子留学 未就学児とママの心得
ジュニア留学ネット|【Vol.8】★海外の子育て大研究★ニュージーランド編 世界が注目!幼児教育「テファリキ」ってどんなもの?
CNET|ニュージーランドから学ぶ“個性を伸ばす”教育–テクノロジは「あくまでもツール」
こどもまなびラボ|「外遊び」は有能感や自己肯定感を伸ばす――でも、効果のほどは「親次第」