教育を考える/知育 2018.11.7

「巧緻性」の意味って? 簡単にトレーニングできる方法とおもちゃ教えます

編集部
「巧緻性」の意味って? 簡単にトレーニングできる方法とおもちゃ教えます

「巧緻性(こうちせい)」という言葉を聞いたことはありますか? 知っているという方は、お子さんの小学校受験を考えているのかもしれませんね。

小学校受験をしなくても、巧緻性は子どもの発達に欠かせない大事な要素。今回は、巧緻性の意味と、子どもの巧緻性を伸ばす方法をご紹介します。

巧緻性とは何か

小学館の「デジタル大辞泉」によると、「巧緻」とは「精巧で緻密なこと」。そして「巧緻性」とは、一般的に指先の器用さを意味します。

同時に、巧緻性は小学校受験で課される選抜試験のひとつでもあります。学校によって異なりますが、小学校への入学試験で行われるのは、筆記試験、面接、運動能力を見る試験など。そのなかに、子どもの巧緻性を見る試験もあります。ハサミを使って工作をさせたり、ひもを結ばせたりするのです。

フォレスト幼児教室(東京都練馬区)の室長である武田澄子氏によると、巧緻性の試験では、以下の作業がスムーズにできるかどうかを見られるのだそう。

「切る」
「貼る」
「折る」
「塗る」
「結ぶ」
「巻く」
「通す」
「丸める」
「包む」
「ちぎる」

(引用元:学研出版サイト|【連載コラム】『ゼロからわかる「お受験」講座』第14回 合格するための「行動観察」トレーニング—その(2)「巧緻性」

上記のような動作は、たいていの大人にとって難なくこなせるものでしょう。しかし、5~6歳の幼児にとってはどうでしょうか。自身が小学生だった頃を思い出してみてください。高学年になっても折り紙をうまく折れない子や、ちょう結びができない子はいませんでしたか。小学校に入る前の子どもにとっては、さらに難しいこと。高い巧緻性を獲得するには意識的なトレーニングが必要なのです。

巧緻性を鍛える意味

本記事は、子どもの巧緻性を育てることを推奨しています。しかし、それは受験のためではありません。

手指の巧緻性を研究する川端博子教授(埼玉大学)らが2007年、小学6年生518名を対象に実施した調査によると、巧緻性を測定する「糸むすびテスト」で成績が上位だったグループは、そうでないグループと比べてさまざまな学習活動を楽しんでいたそう。「漢字練習」「計算練習」「リコーダー」「習字」「裁縫」「工作」の「好きな程度」を、糸むすびテストの成績別・男女別に集計したところ、男子の「リコーダー」および女子の「漢字練習」を除く全ての学習活動において、成績上位グループほど「好きな程度」も高い傾向にありました。この結果は、論文中で以下のように分析されています。

即ち、手指の巧緻性は手指を使う学習・繰り返しを要する学習への好き・嫌いに影響し、種々の学習への取り組みと関連することが示唆された。女子の方で6学習の平均得点が有意に高く、これらの学習が好きであり、 学習面で手指を使い、 繰り返し練習することで手指の巧緻性を高めていると考えられる。

(太字による強調は編集部で施した)
(引用元:J-STAGE|小学生の手指の巧緻性に関する研究: 遊びと学習面からの一考察

手先が器用な子ほど裁縫や工作を好むのは自然といえますが、計算練習でもそうなのですね。小学校のうちは、漢字を何度も書いて覚えたり、似たような計算問題を何度もこなしたりして基礎的な学力を身につけるもの。巧緻性が高い子どもだと、鉛筆をカリカリと動かすことは苦にならないのかもしれません。

また、工作をはじめとした巧緻性を養う遊びは、子どもに集中力をつけることにも貢献します。指先で部品をつまんだり、紙を丁寧に折ったり。このような動作には、目の前の対象物を見極め、自分の指先に意識をやることが要求されるもの。繰り返すうちに集中力が育つことでしょう。子どもの巧緻性を伸ばすことは、集中力をつけることにもつながるといえるのです。

巧緻性のトレーニング:指回し体操

では、巧緻性はどのような訓練によって養われるのでしょうか? 子どもを幼児教室に通わせなくても実践できる鍛え方をご紹介します。

指回し体操」について耳にしたことはありますか? 内科医の栗田昌裕氏が提唱した、10本の指を使う運動です。脳が活性化し、創造力や集中力が高まるとして、多くのメディアに取り上げられました。やり方は以下の通りです。

まず、半球を包み込む感覚で両手の指先を互いにくっつけ、ふっくらとした円天井をつくります。
その状態で、親指から、互いの指がぶつからないようにくるくると回します。
回す方向は時計回りと反時計回り、交互に同じ回数だけ行います。最低でも各指20回、秒数で数えるなら30秒は回してください。

(引用元:StudyHacker|受験の世界で注目! “指回し体操” が脳をフル稼働させる。速読にも効果が。

栗田氏によると、小学校低学年の子どもには難しいかもしれないけれど、練習によってうまくなるそう。そして、中指と薬指を触れ合わせずに回せる回数によって、巧緻性の度合いが測れるのだとか。ゲーム感覚で、親子でやってみるとよいですね。

巧緻性を鍛えるおもちゃ

折り紙

巧緻性を養う代表的なおもちゃといえば、折り紙です。武田氏も、巧緻性を高めるおもちゃとして折り紙を推奨しています。紙を折ったり開いたりする行為には、指先の繊細な動きが要求されます。きれいな柄の折り紙と分かりやすい教本を買い、作品作りを楽しみながら巧緻性を高められるようにしてあげましょう。

もちろん、お手本をよく見てその通りの作品を作ることには集中力も必要です。折り紙は幼児教育に最適なおもちゃだといえますね。

ビーズ

ネックレスやブレスレットを作れるかわいらしいビーズのセットが、おもちゃ売り場でたくさん売られていますね。小さなビーズを指先でつまみ、テグスを通すことを繰り返すビーズ遊びは、巧緻性を養うのに最適です。上で挙げた小学生の巧緻性に関する調査でも、ビーズ遊びを含む手芸をよくする子ほど、巧緻性テストでよい成績を出す傾向にありました。性別に関係なく、子どもが興味を持っているビーズのセットを買ってあげてはどうでしょうか。

ペーパークラフト

折り紙と異なり、ペーパークラフト作成の過程では、ハサミやノリといった道具を使用します。使い方によってはケガをしたり周囲を汚したりしてしまう可能性のある道具ですが、いずれは必ず使い方を覚えなければいけないもの。道具の特性を正しく理解して使えば、巧緻性をさらに伸ばすことができます。

ペーパークラフトは書店でも売られていますが、プリンターなど電気機器を製造するキヤノン株式会社のWebサイトからダウンロードして印刷することもできます。保護者の皆さんも、大人向けの難しいペーパークラフトに挑戦してみてはいかがでしょうか。

***
幼児教育の話題で耳にしがちな「巧緻性」。工作の好きな子どもなら、自然に鍛えられそうですね。
外遊びや勉強も大事ですが、手先を動かす遊びの大事さも無視できないといえます。

(参考)
日経DUAL|お受験の筆記試験 考える力を見る問題が増えている
学研出版サイト|【連載コラム】『ゼロからわかる「お受験」講座』第14回 合格するための「行動観察」トレーニング—その(2)「巧緻性」
J-STAGE|小学生の手指の巧緻性に関する研究: 遊びと学習面からの一考察
コトバンク|巧緻
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