あたまを使う/英語 2018.7.7

英語と日本語の動物の鳴き声の違いも学べる! 英語圏の文化が垣間見える「動物」のマザーグース童謡

安藤幸江
英語と日本語の動物の鳴き声の違いも学べる! 英語圏の文化が垣間見える「動物」のマザーグース童謡

今日は七夕ですね。みなさんのお子さんの中には、学校や幼稚園で七夕の歌を歌ったり、願い事を書いて笹の葉に飾った方もいるのではないでしょうか。

童謡「たなばたさま」をはじめ、日本の生活や伝統を歌った童謡はたくさんあります。

ささの葉さらさら のきばにゆれる
お星さまきらきら きんぎんすなご

ごしきのたんざく わたしがかいた
おほしさまきらきら そらからみてる

同じように、マザーグース童謡のなかにも、イギリス人の生活に深く根差したものと共に歌われるものがあります。それらの歌を歌うことで、イギリス人の生活や文化、社会について学べるというメリットがあります。

ここでは、動物のことを歌ったマザーグース童謡からそのような歌を3つ取り上げ、考えてみましょう。

動物の鳴き声は英語と日本語で大きく違う?

みなさんは、「メェメェ もりのコヤギ もりのコヤギ」で始まる歌を聞いたことがありますか。日本では、「コヤギ」だけでなく、ヒツジも「メェメェ」と鳴きますね。ところが英語圏では、ヒツジは「バーバー」と鳴きます。

ヒツジであれば、国が違っても同じ声で鳴いているはずですが、その鳴き声の表現が、言葉が違うために、日本と英語圏では異なります。その例として、有名なマザーグース童謡であるこちらの歌をご紹介しましょう。

■“Baa, baa, black sheep”「メェメェ くろヒツジさん」

また、日本と英語圏で鳴き声の表現が異なる動物は、羊だけではありません。子どもたちに人気のあるこの童謡では、たくさんの動物の英語の鳴き声を楽しみながら学べます。

■“Old MacDonald had a farm”「ゆかいなまきば」

英語圏では、アヒルは「クァックァッ」、豚は「オィンクオィンク」と鳴くのです。日本では豚は「ブーブー」ですね。英語と日本語で近い鳴き声もあれば、全く異なるものもあり、面白く感じられることでしょう。

社会的な知識を学べ、しつけに役立つ動物の歌

■“Baa, baa, black sheep”「メェメェ くろヒツジさん」

先ほど挙げたこちらの歌の歌詞をご紹介しましょう。

Baa, baa, black sheep,
Have you any wool?
Yes, sir, yes, sir,
Three bags full;
One for my master,
And one for my dame,
And one for the little boy
Who lives down the lane.

羊と羊毛の歌です。音のくり返し部分に色をつけてあります。

メェ メェ くろヒツジさん
ようもうは ありますか
はい ありますよ
ふくろに みっつ いっぱい
ひとつは ごしゅじんさまに
もうひとつは おくさまに
もうひとつは こみちに すんでいる
ちいさな おとこのこに。

イギリスは「羊毛の国」と言われますように、多くの羊が飼われています。そのなかには、白い羊もいれば、この歌のように、黒い羊もいます。しかしこの歌では、“Baa” “baa” “black” の、Bで始まる語を3回くり返すという効果を狙ったものだと考えられます。

この歌で、羊は「羊毛が3袋ある」と言っています。そしてそれぞれ、だれに渡すものかも述べています。渡す相手の「ごしゅじんさま」とは「国王」、「おくさま」とは「金持ちの貴族」、「ちいさな おとこのこ」とは「庶民」と解釈されています。このように生産された羊毛の大半は、国王や貴族たちのものとなり、庶民は残されたものを大勢で分け合うことが示されます。

マザーグース童謡は、「富の分配」という社会的なことにも子どもたちの関心が行くように配慮されているのです。

この童謡が初めて活字になって、本として印刷・出版されたのは、現在一番古い童謡集として残っている『親指トミーのかわいい歌の本』の第2巻です。それは1740年頃ですが、そこでの歌詞は、上述の歌詞とほとんど同じです。

しかし、以前ご紹介した『マザーグースのメロディ』では、最後の2行が次のように変えられています。

But none for the little boy,
Who cries in the lane.

しかし こみちで ないている
ちいさなおとこのこには なにもありません。

このように「泣いている子には何もない」と言って、子どもに泣かないように戒めています。童謡に、しつけの要素を入れているのです。

そして「悪い習慣は、明日より今日のほうが早く直せる」という格言が付けられています。教育的配慮が読み取れますね。

手遊びを楽しめる動物の歌

イギリスのソールズベリー大聖堂の時計は、14世紀から現在まで、休むことなく動いていて、世界でもっとも古い現役の時計として知られています。

古くからイギリス人の生活になくてはならない時計とネズミの歌をご紹介しましょう。

■“Hickory, Dickory, Dock”「ヒコリー ディコリー ドック」

Hickory, Dickory, Dock,
The mouse ran up the clock,
The clock struck one,
The mouse ran down,
Hickory, Dickory, Dock.

この歌は、昔は、鬼決めの歌でしたが、今では、親が子どもをあやす歌、大人が子どもたちと遊ぶ歌として人気があります。

ヒコリー ディコリー ドック
ネズミが とけいを よじのぼった
とけいが いちじを うった
ネズミが はしりおりた。

「ヒコリー ディコリー ドック」は、時計のチクタクという振り子の音の擬声語と言われています。

1. Hickory, Dickory, Dock

手を3回叩く

2. The mouse ran up the clock
ネズミが とけいを よじのぼった

指2本をネズミの足のようにして、子どもの腕の下から上へはわせて行く

3. The clock struck one
とけいが いちじを うった

子どもの鼻をつまむ

4. The mouse ran down
ネズミが はしりおりた

指2本をネズミの足のようにして、子どもの腕の上から下へはわせて行く

5. Hickory, Dickory, Dock.

手を3回叩く

この歌は、現存する一番古いマザーグースの童謡集の『親指トミーのかわいい歌の本』に載っています。一方『マザーグースのメロディ』では、柱時計を登っているネズミの絵があり、教訓には、「時はだれも待たない」とあります。この歌でもやはり、教育的配慮が読み取れるのです。