2019.8.9

「ボール遊び・木登り禁止……」そんな窮屈なルールなし! 子どもの主体性を育む「プレーパーク」に行こう

「ボール遊び・木登り禁止……」そんな窮屈なルールなし! 子どもの主体性を育む「プレーパーク」に行こう

昨今の公園や広場では、ケガや事故の予防のために、さまざまな禁止事項が設けられています。もちろんケガや事故を避けることは大切ですが、子どもには思う存分身体を動かして遊んでほしいものですよね。そんな元気なお子さんにおすすめなのが「プレーパーク」です。今回は、プレーパークの概要や、おすすめのプレーパークをご紹介しましょう。

プレーパークってどんな場所?

プレーパークとは、子どもが自由に遊べる野外広場のことで、冒険遊び場とも呼ばれています。1943年にヨーロッパで生まれたプレーパークは、近年日本各地に広まっており、現在全国400カ所以上設置されているのだそう。乳幼児、小学生、中高生、その親や祖父母、地域の人々など、さまざまな年代の人々が訪れる場所で、場合によっては保険料がかかることもあるようですが、入園料はかからないことが多いようです。

最近は、多くの公園でボール遊びや木登りなどが禁止されているもの。しかし、プレーパークでは禁止事項をなるべく設けず、子ども自身が責任を持ちながら何かに挑戦したり、冒険したりして自由に遊ぶことがコンセプトになっています。そのため、ボール遊びや木登りはもちろん、たき火や泥んこ遊び、手作りの遊具などで思いっきり遊ぶことができるのが特徴です。

NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会の代表・関戸博樹氏は、「遊ぶ」という自発的主体性をもつ行為こそ、子どもが社会に出てどう生きるかの土台となっており、人の心身の育ちに直結しているといいます。関戸氏いわく、地域の中に「子どもの都合」を守れるプレーパークを創り出すことによって、子どもたちがそこで仲間を探して遊びを生み出し、さらには自らと自らの持つ力に向き合いながら育っていくことができるそうです。

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プレーリーダーって?

プレーパークには、プレーリーダーというスタッフがいます。プレーリーダーの役割は、プレーパークに危険物がないかチェックしたり、一緒に遊具を作ったりして子どもたちの遊びをサポートすること。遊び方がわからない子どもや、慣れない場所に緊張しているような子どもがいた場合には、声がけし、プレーパークを楽しめるようにリードしてあげることもあるのだそう。また、遊びを通して子どもたちとプレーリーダーの間に信頼関係が生まれ、親や先生にはなかなか話せないような悩みを相談するケースもあると言います。

愛知県にある「てんぱくプレーパーク」のプレーリーダーで、保育士の経験もある雪岡抄代子さんいわく、プレーリーダーの役割は「子どもたちが思いついたこと、やりたいことを試行錯誤しながら実現できる環境を考えていくこと、手出し口出しをせず見守ること」だそうです。本当に危ない局面では大人がすぐにストップをかけますが、プレーパークでは、「危ない」「汚い」「やってはダメ」「早くしなさい」と言った口出しはNGなのだとか。

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小さな危険やケガから学べること

あまり禁止事項を設けておらず、子どもが自由に遊べるプレーパークですが、「ケガをしないか心配」という保護者の方もいるかもしれません。しかし、「てんぱくプレーパーク」代表の沢井史恵さんは、次のように述べています。

「危険を測るのは経験値、感覚。たとえば小さいときに転んだ経験がないと、大きくなって転んだとき、受け身がとれなくて大ケガをしてしまうかもしれないですよね。火を使った遊びにしてもそう。慣れている子は火の怖さも知っています。火に慣れていない子は、上手な子の手元をしっかり見て、扱い方を学んでいくんです」

(引用元:COE LOG 中部電力|心と体を解き放つ、子どもの「やりたい!」をかなえるプレーパーク

全国のプレーパークづくりを支援している特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会によると、人間は危険から自分の身を守る本能を持っており、特に子ども時代には小さなケガをしながら、大きな事故を避けられるような勘や、身のこなしを覚えていくのだそう。そのため、プレーパークは、実体験を通して「こうすると危ないから、もうやらないようにしよう」という危機管理能力を自然と身につけていく場ともいえます。

イギリスで冒険遊び場作りに尽力したアレン・オブ・ハートウッド卿夫人は“Better a broken bone than a broken spirit”(心が折れるより骨が折れる方がマシ)というモットーを掲げていたそう。骨が折れるのも良くないですが、身体面のケガにばかり注意を払っていては、「やってみたい」「遊んでみたい」という気持ちがポッキリと折れてしまうかもしれません。もちろん、本当に危険なことをしようとしていたり、ケガをしたりした場合にはプレーリーダーがすぐに対応してくれるので、さほど心配はいらないと言えるでしょう。

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関東のおすすめプレーパーク3つ

最後に、関東のおすすめプレーパークをご紹介します。

渋谷はるのおがわプレーパーク

東京・渋谷区の代々木公園のすぐ近くにあるプレーパークです。タープを張ってくれるため、雨の日でも遊ぶことができます。ベーゴマ&くぎさし大会や、季節の遊びなどを行なうおしゃべりカフェといった、定例イベントも開催されています。

プレーパークせたがや

東京・世田谷区の世田谷公園の一角にあるプレーパークです。乳幼児向けのイベントもあり、夏には手作りのウォータースライダーも楽しめるそう。同系列のプレーパークに「羽根木プレーパーク」「駒沢はらっぱプレーパーク」「烏山プレーパーク」もあります。

川崎市子ども夢パーク

神奈川県・川崎市高津区にあるプレーパークです。水遊びやたき火ができる野外広場のほか、楽器の練習ができるスタジオ、屋上や屋根裏、ログハウスなどさまざまなスペースがあります。また、乳幼児向けの絵本の読み聞かせも行なっているそう。

最寄りのプレーパークはこちらから検索してみてくださいね。→全国冒険遊び場検索マップ

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子どもに遊ぶことの楽しさを実感してもらえるだけでなく、自主性や危機管理能力が育つことにもつながるプレーパーク。休みの日に、ぜひ親子で訪れてみませんか。

文/田口 るい

(参考)
学研キッズネット|思いきり自由に遊べる「冒険遊び場(プレーパーク)」を知っていますか?
学研キッズネット|自分の責任で自由に遊ぶ、冒険遊び場「プレーパーク」~‟こがねい子ども遊パーク“インタビュー~
特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会|冒険遊び場とは
COE LOG 中部電力|心と体を解き放つ、子どもの「やりたい!」をかなえるプレーパーク
プレーパークせたがや|イベント(TOP)
渋谷はるのおがわプレーパーク
川崎市子ども夢パーク
特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会|全国冒険遊び場検索マップ
Conobie|「心が折れるより、骨が折れたほうがマシ」子どもの育ちを促す“危険”と向きあおう