「”総理大臣” 辞めるんだって、次の総理大臣はどうやって決まるの?」
ある日、ニュースを見ていた子どもにそう聞かれて、ドキッとした経験はありませんか? 大人でも「なんとなく知っているけど、説明となると難しい……」ということが多い政治の仕組み。
今回は、「親も子も学べるシリーズ」として、日本のリーダー=総理大臣がどうやって決まるのかを、子どもにも簡単にわかりやすく解説します。
目次
総理大臣って、ひとことで言うと?
「総理大臣」とは、日本という国をまとめる「キャプテン」のような存在。
ちなみに「総理大臣」「首相」「内閣総理大臣」は、すべて同じ人のことです。正式な名前は「内閣総理大臣」ですが、ニュースでは「首相」、普段の会話では「総理大臣」と呼ぶことが多いのです。
内閣をつくり、国会と一緒に政治を動かしていきます。国際会議では日本を代表して世界のリーダーと話し合う、いわば「日本の顔」でもあります。
【子どもへの説明例】
総理大臣は、日本というチームのキャプテン。国会議員の中から選ばれて、日本の方向を決めていく人なんだよ。
どうやって決まるの? 選ばれる流れ
では、肝心の「決め方」はどうなっているのでしょうか。流れは以下のように決まっています。
1. 国民が国会議員を選ぶ
私たちは選挙で投票して、国会議員を選びます
⇒ まずは「代表」を決めることから始まります
2. 国会で総理大臣を決める
選ばれた国会議員たちが国会で投票を行い、総理大臣を決定します
⇒ 特に衆議院での投票が重要で、衆議院と参議院で違う人が選ばれた場合は、衆議院の決定が優先されます
3. 天皇が任命する
国会で選ばれた人を、天皇が正式に「内閣総理大臣」に任命します
⇒ これで正式に総理大臣の誕生です!
これは、学校での「児童会長・生徒会長選び」のしくみに似ています。学校でも、全校児童が投票して、児童会長を決めるにのではなく、各クラスから選ばれた代表委員が集まって話し合い、児童会長を決めることが多いですよね。
【子どもへの説明例】
総理大臣は、みんなで直接投票して選ぶわけじゃなくて、“代表” に選ばれた人たちが集まって決めるんだよ。ちょうど、児童会長を代表委員が決めるのに似ているんだ。
総理大臣が決まったら、どんな仕事をするの?
総理大臣が担う役割は、とても幅広く重要な仕事です。
🏠 国内での仕事
・内閣をまとめて、国の大事な方針を決める
・災害や緊急事態のときには中心となって指揮をとる
・法律や予算を決める国会と協力しながら、国を動かす
🌍 国際的な仕事
・外国のリーダーと話し合い、協力関係を築く
・国際会議で日本を代表して発言する
・世界の平和や経済について、他の国と協力する
【子どもへの説明例】
総理大臣は、日本を安全で安心できる国にするために、いろんな人と話し合ったり決めたりするお仕事をしているんだよ。
総理大臣が変わるときってどんなとき?
総理大臣は、いつまでもその地位にいるわけではありません。いくつかのパターンで交代します。
🗳️ 選挙で与党が変わったとき
国民が選んだ国会議員の多数派が変われば、新しい総理大臣が生まれます。
🔄 政党のなかでリーダーが変わったとき
与党の中で「党首」が変われば、新しい党首が総理大臣になることが多いです。
❌ 国会で「不信任」されたとき
国会議員の多数が「この総理大臣ではダメだ」と判断した場合、総理大臣は辞めるか、国会を解散して国民に問い直します。
【子どもへの説明例】
総理大臣は、チームのキャプテンが交代するように変わることがあるんだ。新しい選挙があったり、同じチームの中で新しいリーダーが選ばれたり、チームメンバーから「もうキャプテンじゃダメ」と言われたりしたときにね。
今回の石破首相の辞任(2025年9月)はどのパターンでしょうか? 親子で話し合ってみましょう。
総理大臣についてもっと話そう! 親子の対話ヒント 🗣️
前述した会話例だけでなく、以下のような対話も広げてみてください。難しく考えることはないのです。子どもの目線に合わせた質問をしてみましょう。
子どもの興味を引き出すには、まず大人が「なんでだろう?」と心から関心をもつことが大切です。年齢や理解に合わせて、ゆっくり会話を楽しんで。だってこれは、政治の話。決して他人ごとじゃありません!
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総理大臣という一見難しそうな言葉も、じつは私たちの生活と深く関わっています。わかりやすく説明できる親がそばにいると、子どもも政治を知ることに前向きになれるはず。「知っているふり」から一歩抜け出して、「知っている親」になってみませんか?