「お母さん、 “関税” ってなに?」
ある日、テレビのニュースを見ていた小学生の子どもに、突然そう聞かれてドキッとした――そんな経験、ありませんか?
大人になってからも、なんとなく耳にしている経済用語。でもじつは、「説明しようとするとよくわからない……」ということ、意外と多いものです。
今回は、そんな「親も子も学べるシリーズ」として、「関税」をテーマに優しく解説します。
目次
関税って、ひとことで言うと?
「関税」とは、外国から入ってくる商品にかける「税金」のこと。
たとえば、海外から日本に運ばれてくるチョコレートや車、服やおもちゃに関税がかけられることがあります。それは、ちょっとした「入場料」のようなもの。「外国から来る商品は、日本に入るときにお金を払ってね」というルールがあるのです。
【子どもへの説明例】
「外国から来る商品が日本に入るときに払う『入国料』のようなものだよ。海外でつくられたチョコレートやおもちゃ、服などが日本に来るとき、ときどき、この『入国料』を払うことになっているんだ」
関税の目的とは?
関税には、こんな目的があります。
たとえば、安くつくられた外国の服が日本にたくさん入ってくると、日本の服屋さんの商品が売れなくなってしまうかもしれません
⇒ 関税をかけることで、国内のお店や産業を守ります
関税は税金のひとつ!
⇒ 国の収入になり、そのお金で道路や学校をつくったりできるのです
「あなたの国が変なルールをつくったから、うちも関税を上げるよ!」というような「報復関税」も起きます
⇒ 経済のバランスが崩れ、世界中に影響が出ることも……
【子どもへの説明例】
「関税は、日本でつくったものが、安い外国の商品に負けないようにするルール。だから、関税をかけて得たお金は国の収入にもなって、道路や学校づくりに使えるよ! ただ、ときどき『そっちがやるなら、こっちも!』って国同士でケンカになることも……。関税は上手に使えばフェアにできるけど、使い方次第でトラブルにもなっちゃうんだ」
🍎 りんごで学ぶ! 関税のしくみ🍎
🍎 日本のりんご:1個150円
🍏 アメリカのりんご:1個100円
そのままだと、安いアメリカのりんごを買いたくなりますよね?
でも、日本の農家さんが困ってしまうかも。
そこで――
🇺🇸 アメリカのりんごに関税30円をかける!
→ 100円+30円=130円に。
すると、日本のりんご(150円)とあまり変わらない価格になります。
これで日本のりんごも同じように売れるようになるのです。
関税がない→自由貿易も増えている?
関税は「かける」ばかりではありません。「自由貿易」という取り決めで、関税をなくす国同士も増えています。
たとえば、日本とオーストラリアが「お互いの農産物には関税をかけない」と約束すると、もっと安く・多くのものが売買できるようになるのです。
でも、いいことばかりではありません。たしかに、安くてよい商品が入ってくるのは嬉しいこと。でもその反面、国内の産業が弱くなってしまうことも。つまり関税は、「守る力」と「バランスをとる力」をもっていると言えるのです。
【子どもへの説明例】
「関税は、かけるだけじゃなくて、なくすこともあるよ。たとえば、日本とオーストラリアが『自由貿易』の約束をして、お互いの農産物に関税をかけないようにすると、もっと安くたくさんの物が売り買いできるんだ」
「でも、いいことも多いけど、安い外国の商品に押されて、日本の農家が困ることもある。だから関税は、国の産業を守る仕組みでもあると同時に、国同士のケンカのもとになることもあるんだよ」
🗣️ 関税についてもっと話そう! 親子の対話ヒント 🗣️
前述した会話例だけでなく、以下のような対話も広げてみてください。難しく考えることはないのです。子どもの目線に合わせた質問をしてみましょう。
子どもの興味を引き出すには、まず大人が「なんでだろう?」と心から関心をもつことが大切です。年齢や理解に合わせて、ゆっくり会話を楽しんで。だってこれは、世界の話。決して他人ごとじゃありません!
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「親が知っている」と「子どもも育つ」――。関税という一見難しそうな言葉も、じつは私たちの生活と深く関わっています。わかりやすく説明できる親がそばにいると、子どもも世界を知ることに前向きになれるはず。「知っているふり」から一歩抜け出して、「知っている親」になってみませんか?