あたまを使う/国語 2018.8.15

「得意教科は国語!」自信をもって言えるようになるために効果的な勉強法

編集部
「得意教科は国語!」自信をもって言えるようになるために効果的な勉強法

国語は大事。昨今「国語力」や「語彙力」への注目が高まっていることからも、以前に比べて国語という教科に対する重要性が問われるようになってきました。しかしその一方で、国語を得意教科にするために、具体的にどのように勉強を進めていけばいいのかということは意外と知られていません。

ここでは、ただ本を読むだけではなく、違うアプローチの仕方から効果的な国語の勉強法を考えていきます。

学力と将来の経済的・社会的成果との深いつながり

『国際成人力調査』(PIAAC:ピアック)というものをご存知ですか? OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国を対象としたこの調査、平成25年にその報告書が発表されると大きな反響をもたらしました。

『国際成人力調査』とは、16歳から65歳までの男女個人を対象として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野のスキルを調査することが目的であり、調査対象者の背景(年齢、性別、学歴、職歴など)との関連性から、社会経済への影響も知ることができます。

その結果、参加国の大半で管理職などの“スキルド・ワーカー”がもっとも読解力や数的思考力が高く、単純作業の従事者は読解力・数的思考力ともに低いということがわかりました。

もちろん調査対象が成人であるため、あらゆる要因が重なった結果であることは確かです。しかし、PIAACで上位の国は概ねPISA(国際学習到達度評価)の結果も高いことから、経済的・社会的成果と学校教育との間に深いつながりを感じずにはいられません。

つまり、子どもの将来を考えたとき、「読解力」が必ず必要になるスキルのひとつとなることは疑いようもなく、小さいうちからそれを磨く訓練をすることが国語の学力向上にもつながっていくのです。

では具体的に「読解力」を含む「総合的な国語力」を鍛えるには、どうしたらいいのでしょうか?

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国語力はいろいろな「言葉を知る」ことから始まる

どんな分野においても必要な「問題解決」の力をつけるためには「国語力」が必要不可欠です。国語力とは、普通に生活しているだけで誰もが問題なく身につけられる力ではありません。みんなが何もせずに習得できるのであれば、小学校低学年で国語力に差がつくことはないのです。

しかし実際は、就学直後にはすでに国語力に差ができています。なぜ、差ができるのでしょうか。それは、幼児期にどう過ごしたかによって国語力の基礎の部分が構築されるからです。では、国語が好きなお子さんはどのような幼児期を過ごしているのでしょうか。

国語好きで国語が得意なお子さんは、幼児期に周りの大人からたくさんの「言葉」と「言葉の意味」を教えてもらっています。そのため、就学前から「言葉」をたくさん知っているのです。そして、そのときに文字も一緒にインプットしていくと、小学校に入るまでにひらがなの習得が完了しているケースもあります。このベースが後々の国語力を伸ばす礎になります。

殺伐としたものから愛を感じるものまで、世界にはさまざまな「言葉」があふれています。しかし、子どもの将来の「国語力」につなげたいのであれば、親御さんが「美しいな」と思う言葉や文章を、親子で毎朝一緒に「素読(そどく)」しましょう。素読とは、意味を考えないで文字だけを声を出して読むことです。

「こんな素敵な言葉を子どもに理解してほしい、話してほしい」と思う言葉であれば、絵本や小説、古典などジャンルは問いません。お子さんが意味を理解できなくてもよいのです。毎日継続して、声に出し「音読」することで、脳全体が活性化されます。美しい言葉は次第に子どもの心に刻まれ、生活における言語の基準になっていくでしょう。

小見出しを作って要点をまとめてみよう

国語力は算数などの文章問題を読み解く力にもつながります。読み解く力がなければ問われている文章の意味を理解することができないので、正しい解答を導き出すことは難しいでしょう。

前項の「素読」では、文章の意味が理解できないくても構わないということをお伝えしました。しかし読み解く力を鍛えるためには、「意味が理解できる」段階まで進む必要があります。

言葉の意味、文章の意味を理解する練習として、読書をする際に1段落ずつ「小見出し」を作成していくことをおすすめします。小見出しとは、文中に設ける小さな見出しのことです。この記事内では「国語力はいろいろな「言葉を知る」ことから始まる」や「小見出しを作って要点をまとめてみよう」という見出しを指します。

小見出しをつけるということは、当然ながら該当する文章の意味を充分理解できていなければなりません。後に続く文章の要点をコンパクトにまとめたものが小見出しなので、作成する癖をつけるようにすれば読解力の向上に大いに役立つはずです。

中学生までは、親御さんも同じ本を事前に読んで子どもが作成した小見出しに耳を傾けてみてください。はじめは的外れな小見出しかもしれませんが、徐々に正しく理解して段落の内容を上手にまとめられるようになります。

「得意教科は国語!」自信をもって言えるようになるために効果的な勉強法2

頭の中を整理して自分の考えを伝えよう

これまではインプットをメインにお伝えしてきましたが、「読む力」「理解する力」がある程度鍛えられた感じたら、次のステップに進みましょう。「表現する力」を鍛えるのです。この力が不足していると、たとえ問題を理解していても、自分の考えを第三者に伝えることができません。

「表現する力」を鍛えるために良い方法は、「日記を書くこと」です。シリーズ50万部を突破した『東大合格生のノートはかならず美しい』の著者である太田あや氏は、親子間で交換日記をすることを推奨しています。

特に忙しい親におすすめしたいのは「交換日記」です。会ってゆっくり話ができなくても、日記で色々な話をしながらコミュニケーションを深めることができます。しかし、交換日記の効果はそれだけではありません。親が丁寧な文字で、段落を意識しながら文章を書けば、子どもはその文章を見て、正しい文章の書き方を身に付けていきます。これによって、子どもの「書く力」が大幅にアップしていきます。

(引用元:NIKKEI STYLE|小学生の学力、伸ばすには 親子日記でノート上手

はじめは親御さんが子どもをフォローしながら一緒に日記を書きます。そして子どもの日記に対して、親御さんは子どもが学習している漢字を使用し、丁寧な文字で段落などを意識しながら日記を書きます。すると子どもはたくさんの文章を覚え、次第に「表現する力」が鍛えられるというわけです。

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国語力は、「読む力」「理解する力」「表現する力」から成り立っています。この3つの力を、親御さんがサポートをしながらバランスよく培うことが大切です。それにより国語力が向上するだけではなく、他教科への理解を深めることにもつながっていくでしょう。

(参考)
文部科学省|国際成人力調査(PIAAC:ピアック)
ベネッセ教育総合研究所|第28回 PIAACの結果から考える、これからの日本の教育
コトバンク|素読とは
松田雄一(2018),『素読をすれば、国語力が上がる!〜古典や名文で子供の能力開花〜』,かざひの文庫.
コトバンク|小見出しとは
NIKKEI STYLE|小学生の学力、伸ばすには 親子日記でノート上手
文部科学省|これからの時代に求められる国語力について