教育を考える 2019.2.12

“話が聞けない子” になる前に――学力につながる「聞く力」を伸ばす4つの方法

“話が聞けない子” になる前に――学力につながる「聞く力」を伸ばす4つの方法

「子どもが話を聞いてくれず、困っている」「他の子に比べて落ち着きがなく、人の話を聞く力が弱い気がする」というのは、子育て中によくある悩みのひとつです。

「聞く力」は、他者とのコミュニケーションには欠かせないものであり、学習能力に関わってくる部分でもあります。

今回は、子どもの聞く力の必要性や、聞く力を育てるために家庭の中でできるコツについて紹介しましょう。

コミュニケーション能力が高い人は「聞く力」がある

聞く力は、人間が生きていくうえで欠かせない、さまざまな能力の土台となります。その代表的なものは、コミュニケーション能力でしょう。

会話を通したコミュニケーションでは、当然ですが相手の話を聞く場面が出てきます。その際に的確な返しをするためには、相手の話をしっかりと聞いて理解することが前提です。話が理解できていないと、的外れな返答をしてしまったり、会話がスムーズに進まなかったりしてしまいますよね。

話が上手な人のことを「コミュニケーション能力が高い」と褒めることがよくありますが、話が上手な人は同時に聞き上手でもあります。相手の話をしっかり「聞いて」いるからこそ、相手に伝わる話ができるのです。

また、思いやりの気持ち共感能力を持てるかどうかにも、聞く力がかかわっています。人の話をじっくり聞くということは、話の背景や前提条件を想像したり、ちょっとした言葉尻や話し方の抑揚から相手の本音に気づいたり、その話を自分の立場に置き換えて考えたりすることにつながるのです。相手の気持ちを的確に汲み取ることができれば、さまざまな人に愛され、信頼されるようになるでしょう。

「聞く力」と「学力」は関係している!

話をしっかりと聞けるというのは、ただ話に耳を傾けることではありません。話を聞いて、その内容を理解し、自分なりに考えるということです。

また、話をしっかり聞くためには、話をしている相手に意識を傾ける必要があります。これは学習するうえでとても大切なことです。

聞く力が育っている子は、以下の能力も伸びていくとされています。

■思考力・理解力
言葉をしっかり聞くことができれば、聞いた分だけ知識を増やすことができます。クラスの中でも先生の話をきちんと聞いている子は、テストの点が高かったり、間違いや勘違いが少なかったりすると思いませんか? 聞く力は、学力を伸ばすために非常に重要な条件のひとつなのです。
■読む力・書く力
集中して人の話を聞ける子どもは、言葉の世界が豊かです。聞いた言葉はいつか必ず、その子のものになります。そして、その言葉は、学校生活が始まったときの「読み言葉」や「書き言葉」の基礎になるのです。読解力は国語だけでなく、算数の問題理解にも役立つはずです。

言い方を変えれば、聞く力を養うことで、これらの能力も身につきやすくなり、学習能力の向上が期待できるのです。

幼児期の今こそ、家庭で「聞く力」を伸ばそう

学習面のみならず、生活面でも役立つ聞く力は、子どもの頃の生活習慣を工夫することで育てることが可能です。そのために、家庭では以下のことを意識しましょう。

1.「話すこと」に注目するのをやめる
最近の子どもたちは、「人の話を聞けない」「聞かない」傾向があるようです。その理由のひとつは、幼少期の子どもの発達過程で「どれだけ話せるようになったか」が注目されてしまうから。そして、その次の段階では「自分の意見をしっかりと言えるかどうか」に重点が置かれてしまうからです。話す力も大切ですが、その根底には聞く力があります。「しっかりお話を聞けたね!」と子どもを褒めるなど、「聞くこと」も意識してみましょう。

2.絵本の読み聞かせをする
子どもの教育や発達に良い影響があるといわれている絵本の読み聞かせですが、聞く力を育てるうえでも非常に有効です。子どもが絵本の楽しさを知り、もっと物語の続きを聞きたいと思えるようになれば、集中力もついていきます。そのためには、親も一緒に絵本を楽しむ姿勢を示しましょう。たくさんの言葉を聞くことで「読み言葉」や「書き言葉」の基礎ができるというメリットもお忘れなく。

3.「あとで聞くね」の約束は必ず守る
忙しいときに子どもに話しかけられて「今は忙しいから、あとで聞くね」と言ったことのある親は多いのではないでしょうか。子どもの話はできる限りその場で聞いてあげるのが望ましいですが、実際にはなかなか難しい場合もあります。そんなときは、「あとで聞くね」という約束を必ず守り、話を聞く時間を作りましょう。自分の話をしっかりと聞いてもらう習慣のある子どもは、人の話を聞くことも大切にするようになります。

4.子どもの話を聞く余裕を持つ
聞く力を育てるためには、まずは子どもの話を聞くことが基本です。しかし、親もひとりの人間であり、ストレスが溜まっていたり、疲れていたりする場合は子どもの話を聞く余裕がなくなります。そうならないためにも、ストレス解消や休息の機会を十分に設けましょう。家族や祖父母に協力してもらったり、行政や民間のサービスを使ったりするのも良いでしょう。子どもとしっかり向き合うためには、親のコンディションが整っていることが前提です。

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聞く力を大切にすることは、子どもが持つさまざまな可能性を広げるきっかけにもなります。吸収力の高い幼児期のうちから積極的に育てていきましょう。

文/田口るい

(参考)
PHPファミリー|幼児期が大切です 「聞く力」で伸びる 7つの能力
NIKKEI STYLE|絵本の読み聞かせ 子どもの「自己肯定感」を伸ばす
ベネッセ教育情報サイト|子どもが話を聞かないのはなぜ? 原因と可能性をプラスに変える方法とは
船津 徹 著(2017),『世界標準の子育て』,ダイヤモンド社.