教育を考える 2023.12.13

子どもが “生きづらさ” を抱えてしまう!? 「〇〇な親」3タイプ

編集部
子どもが “生きづらさ” を抱えてしまう!? 「〇〇な親」3タイプ

親と子の関係は、家庭によって千差万別です。親と子、それぞれのタイプも違えば、置かれている環境も違います。どの親も「子どもには、生き生きと幸せな人生を送ってほしい……」と考えているのではないでしょうか。

しかし、子どもの人生を心配しすぎるあまり、ついあれこれと手出し口出しをしてしまう――そんな親御さんはいませんか? もしかしたら、その手出し口出しが逆効果になるかもしれません。幸せな人生ではなく、子どもが「生きづらさ」を抱えながら生きていくことになってしまうかも……。

今回は、子どもに悪影響を与えてしまう親のタイプをまとめました。

「生きづらさ」の原因は “幼少期の親子関係” にあり!?

幼少期の親子関係はとても大切です。親の関わり方次第で、子どもの考え方や行動が変わってくるでしょう。

精神科医の井上智介氏は「小さい頃の親子関係で心に深い傷を負って、大人になってからの考え方や行動パターンにもその影響が残っている人」は多いとし、そのような人は成長後に「生きづらさ」を抱えてしまうと警鐘を鳴らしています。

また公認心理師の中野日出美氏も、現代の子育てに見られる「過保護や過干渉、過度の期待」は注意すべきだと述べています。なぜなら、成長とともに子どもに以下のような傾向が出てくるそうなのです。

  • ちょっとしたことで過度に傷つく
  • なかなか立ち直れない
  • 自分の心や身体を大切にできない
  • 自己肯定感が低く、無意識に自分を傷つけるような人間関係を築く

(参考元:nobico|親の過干渉が原因? 現代の子どもが「生きづらさ」を抱える背景

では、具体的にどのような親の行動が、子どもの成長によくない影響を与えてしまうのでしょうか。身近な3つのケースをピックアップして詳しく解説していきます。

子どもの安全基地にならない親02

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ケース1:「支配する親」の子どもは決断力がない大人になる

まずは「支配する親」について説明しましょう。「支配」と聞くと、子どもの発言はいっさい認めず無理やり親に従わせる姿を想像しますが、必ずしもそうとは限りません。『嫌いな親との離れ方』(すばる舎)著者で、おとなの親子関係相談所代表の川島崇照氏によると、大人としての立場を利用して、子どもの意思や言動を思い通りにコントロールしようとすることも、立派な「支配」です。

たとえば、「◯◯ちゃんじゃなくて▲▲ちゃんと仲良くしたら?」と親が子どもの友だちを選ぶことや、子どもが自分で決めた進路について「そこもいいけど、お母さんはあそこの学校がいいと思うよ」などのアドバイスをすることなどが支配にあたります。たとえ理解を示しているような優しい口調であっても、親の思い通りに誘導していることになるのです。そして子どもは、しだいに「親には何を言っても無駄」と諦めるようになります。

川島氏は、子どもを支配しようとする親について、「(親自身の)心が自立していない」のだと述べています。親本人の問題なのに子どもを利用して解消しようとしたり、子どもが自分に従う姿を見て「やっぱり私が正しかったんだ」と満足したりと、別人格である親と子の境界線が曖昧になり、子にべったりと依存している状態になるのです。

親からコントロールされて自分を否定され続けた子は、諦めが早くなるだけではありません。「新しい行動を起こそうとするときに、幼少の頃から言われ、見続けてきた親の言動が、罪悪感や恐怖心となって降りかかり、行動できなくなる大きな要因となってしまいます」と川島氏が述べるように、行動力や決断力が失われたまま大人になってしまいます。

「もしかして私も無意識のうちに子どもをコントロールしているかも……」と思い当たることがあれば、一歩下がって見守る」ことを意識するようにしましょう。「子育てには“ギアチェンジ”が必要」と明治大学文学部教授の諸富祥彦氏が述べるように、親離れをする時期に差しかかった子には、あれこれ口出しせずに辛抱強く見守ることが、親自身の成長にもつながるのです。

子どもの安全基地にならない親03

ケース2:「不安感が強い親」の子どもは自己主張ができない

「子どもについて考えると不安な気持ちでいっぱいになる」そんな親御さんが増えているようです。そのなかには「心に強い不安を抱えて、その不安が『子どもから与えられたもの』だと錯覚している親もいる」と川島氏は指摘します。

本当は親自身にコンプレックスがあり、その不安感を子どもにぶつけているだけなのに、「子どもの問題」に置き換えてしまっているとのこと。その結果、子どもの思考や行動を見ては不安を感じ、「なんとかして変えさせなければ」と否定や批判をしたり、さらには強引に自分の価値観や感情を押しつけたりするのです。

青山渋谷メディカルクリニック名誉院長の鍋田恭孝氏は、親自身の不安から子どもに手をかけすぎてしまうと、その子どもは「自分の主張がない・自分で選べない人間」になると述べています。不安のあまり、親が先回りしてすべてを用意し続けることで、子どもは自らなにかを主張することなく、親の先回りを受け入れて育ちます。すると、成長後も大事な場面で自己主張ができず、苦しむことになるのです。

「子どものため」と先回りしていたけど、本当は自分が不安を感じていただけかもしれない――。そう気づくことができたなら、子どもに任せられることは任せるように意識していきましょう。「何かを決めるにも、子どもは時間がかかってあたりまえ」と鍋田氏が述べるように、ゆったりとした気持ちで子どものペースに合わせることをおすすめします。

子どもの安全基地にならない親04

ケース3:「熱心な親」の子どもは人間関係でつまずきやすい

子どもの習い事や受験なのに、本人以上に熱が入ってしまう親は多いものです。しかし、親の期待が大きければ大きいほど子どもにとってはプレッシャーになり、かえって逆効果になるので注意しましょう。

前出の井上氏は、親が子どもを認めるのに条件が必要」という親子関係が増えていると言います。テストの点数が高いから、習い事でレギュラーをとったから、など「目に見える数字や外部からの評価=子どもの価値」だと思い込んでしまうのです。これでは「条件付きの愛」だと言わざるを得ないでしょう。

「子どもはちょっと失敗したり、誰かと比べて成績が劣ったりすると、親から認めてもらえないために、自分には価値がないと思い込む」と井上氏が指摘するように、ありのままの自分ではなく特定の条件下の自分にしか価値がないと子どもに思わせてしまうと、自己肯定感はみるみる低下していきます。そしてその自己肯定感の低さゆえに、大人になってからも、仕事や人間関係でつまずきやすくなるのです。

つい子どものことに熱心になってしまうのなら、結果ではなくプロセスに目を向けるように努力しましょう。「〇〇ができるからすごい」のではなく、「自分は自分なんだから、自分のままでいい」と思えるのは、「根拠がない自信」がベースにあるから。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、根拠のない自信を育むためには、「子どもの行為のプロセスそのものを認める」ことが大事だと説いています。そして、子どもの言葉を聞き流すのではなく、しっかりと聞いてあげて、「おもしろいところに気づいたね!」など発想そのものを認めてあげることが大切なのだそう。

結果や数字にとらわれずに、ありのままの姿を受け止めてあげるだけで、「根拠のない自信」が育まれて、自己肯定感アップにもつながります。

***
親の振る舞いや育て方ひとつで、子どもの将来に悪影響があるかも……。そう考え始めると不安でたまらなくなるかもしれません。ですが、「焦らず」「心配しすぎず」「先回りせず」に、のんびりと子どもを見守っていきましょう♪

(参考)
nobico|親の過干渉が原因? 現代の子どもが「生きづらさ」を抱える背景
プレジデントオンライン|「精神科医が見ればすぐにわかる」“毒親”ぶりが表れる診察室での“ある様子”
東洋経済オンライン|「親といるとなぜか苦しい、イライラする」の正体
東洋経済オンライン|「親との関係」悩み続ける人に知ってほしい解決法
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