あたまを使う/教育を考える/本・絵本/英語 2019.7.21

絵本を聴きながら旅しよう。いつでもどこでも本を楽しめる、アメリカ発「オーディオブック」の魅力

吉野亜矢子
絵本を聴きながら旅しよう。いつでもどこでも本を楽しめる、アメリカ発「オーディオブック」の魅力

イギリスの夏休みは7月の終わり頃から。ちょうど日本と同じ時期です。大きな違いは夏休みの宿題がないことで、1ヶ月半まるまる、子供達は家庭でのびのび過ごすことになります。

宿題をさせなくても良いのはありがたいのですが、その分、普段だったらできないことをいっぱいさせてあげたい、と色々準備をすることになります。博物館や図書館、地元の自然公園やスポーツイベントなど、夏休み前の親たちは情報収集に大忙しです。

さて、この時期、私や友人たちがよく買うものがあります。ある意味、子供と一緒に車で出かける時の必需品のひとつと言ってもいいかもしれません。それがオーディオブックです。

イギリスの夏休み。長旅のお助けアイテムとは?

イギリスでも夏休みの過ごし方は家族それぞれです。みていると、親も1週間程度の休みをとって、家族づれで旅行に出かけることが多いでしょうか。キャンプ場の一区画やコテージを借り切って、1週間丸々滞在する滞在型の旅行が多いようです。

キャンプといっても、「自然と触れ合う」というよりは「安く泊まる」ことが主目的という場合もあり、キャンプ場に宿をとって、そこを拠点に車で史跡や博物館を回るような旅行の話もよく耳にします。

子供が小さいと車での移動が楽ですが、どうしても長旅には飽きてしまうので、何か用意をする必要があります。おやつや車の中で遊んでも危なくないようなおもちゃ、塗り絵やスティッカーブックに加え、下の子供が4歳ぐらいの頃は、ミシュラン社がだしているi-spyの車での旅行シリーズ(何が見つけられるかな?)を買って持たせました。

i-SPY On a road trip: What can you spot?

i-SPY On a car journey: What can you spot?

よく道路脇に見かけるものの写真がたくさん掲載されていて、その横にポイントが付いています。見かけたらチェックを入れていき、ポイントを足していきます

「あ、信号見つけた!」「止まれの標識を見つけたよ! 何ポイント?」のように、うまくはまると盛り上がってくれます。当然のことながら標識がイギリスのものですから、そのまま日本では使えないのが残念ですが、本書を参考に自分たちで作ることもできるかもしれませんし、外国の道にはこんなものがあるんだな、と眺めてみても楽しいかもしれません。

野山を歩く時用のものもあり、「この花見つけた!」「この葉っぱは……これかな?」などと、よく一緒に遊んだものでした。

■i-SPY Trees / Nature / Wild Flowers: What can you spot?

いつでもどこでも絵本や児童書を楽しめる○○○○○ブック

それでもしばらくすると飽きてしまうのが子供。そんな時に役に立つのが、オーディオブックです。出版されている書籍を朗読したもので、小説や実用書など、特に英語では多くの種類が揃っています。

昔はCDが主流でしたが、今はダウンロードの方が増えているでしょうか。日本ではまだ知名度が低いかもしれませんね。英語圏では子供向けの絵本や児童書のオーディオブックも充実しており、親がその場で読みきかせができないときなどに重宝します。

子供が疲れていたとしても、おもしろいお話がどんどん続くので、耳を傾けるだけで楽しめますし、飽きたら変えればいいだけのこと。これで興味を持ったら、今後図書館に行ったときに、自分でもその本を手に取るでしょう。

上の子供は、かなり年齢の先を行った古典的なSF作品を、去年の夏オーディオブックで制覇しました。自分一人では読み進めにくい難易度の高い作品も、誰かが読み上げてくれるおかげで、すんなりと耳に入ってくるようです。

今年は下の子向けに、ロアルド・ダール作品のオーディオCDを数枚、中古で購入しました。ダールの作品はイギリスでとても人気があり、子供がまだ読んでいないものを探すのに苦労したのですが、幸い、まだ手に取っていないものが店頭にあったのです。

我が家は月額を払ってオーディオブックのサービスに入っていますから(後ほど紹介します)、そちらからダウンロードしてもよかったのですが、旅行が終わっても部屋に置いて、子供が好きなときに聞けるように、と考えるとCDになりました。

これを旅行の行き帰りに聞くと、だいたいダールの主要な作品は抑えたことになります。日本でも有名な作品を中心に、ダールのオーディオブックをご紹介しましょう。

Matilda (Audio CD)

Charlie and the Chocolate Factory (Audio CD)

The Witches (Audio CD)

宿に着いてまるまる1週間滞在する時、たとえ滞在先で飽きてしまっても、何枚かお気に入りのオーディオブックがあれば安心です。

移動時間に本に親しむ! 日本語のオーディオブック3選

オーディオブックは、車で通勤する人の多いアメリカで最初に流行したとよく言われます。親である私も、家事の最中や、通勤時などによく聞いています。けれど実は、大人はラジオでもおもしろいことがいろいろ聞けるのですよね。車の中に娯楽が少ないのは、どちらかというと子供の方です。

オーディオブックは、小さな子供づれの車の旅にはうってつけです。まだまだ日本語では子供向けのタイトルが少ないように見受けられるのが少し残念ですが、『ハリー・ポッター』シリーズや『不思議の国のアリス』『ピーターラビット』のような有名な作品は見つけることができるようですね。

『ハリー・ポッターと賢者の石』(Audible)

『不思議の国のアリス』(Audible)

ピーターラビット『あなうさピーター』(Audible)

英語圏の児童書のオーディオブックはどちらかというと大人が「読み聞かせ」をしている感じがあるものが多いのに対し、日本語のオーディオブックには声優さんたちが効果音も交え、演技をしているような作品がより多くみられるのも面白いところです。

ネイティブが読み聞かせ! 英語のオーディオブック2選

オーディオブックは英語でしたら子供向けも充実しています。『はらぺこあおむし』や『グラファロ』のような、よく知られた絵本を聴きながら旅をしても面白いかもしれません。

The Very Hungry Caterpillar(Audible)

Gruffalo(Audible)

試しに Gruffalo 絵本表紙下の「サンプルを聴く」ボタンから、実際にサンプル音声を聞いてみてください。キャラクターごとに声のトーンが変わり、楽しい効果音もたくさん加わり、子供を飽きさせない工夫が随所に盛り込まれています。大人が聞いてもおもしろく、英語絵本の読み聞かせの参考にもなりますよ。

日本の「オーディオブック」サービス3選

我が家が使っている英語のオーディオブックサービスは、アマゾン社の「Audible(オーディブル)」です。私はイギリス版のものを使っていますが、もちろん日本版も出ています。

会員プラン初回登録時は30日間無料で、以降は月額1,500円。会員になると毎月1つ「コイン」が渡されますから、それを使って聞きたい作品をダウンロードします。

日本ではほかにも「audiobook.jp」「Google Play オーディオブック」などのサービスがあり、聴き放題・単体購入など、様々な方法で入手が可能です。

完全無料! 日英の朗読音声が楽しめるサイト2選

著作権の消滅した作品をはじめとして、誰でもアクセスできる電子本を集めたインターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読している「青空朗読」も有名ですね。

プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートしたもので、現在520もの作品の朗読を自由に聞くことができます。児童書のカテゴリーには、新美南吉や宮沢賢治などのよく知られた古典的な作家による作品が並びます。

英語でも、すでに著作権が切れた書籍をボランティアが読み上げている LibriVox というサイトがあり、会員登録なしで朗読音声を好きなだけダウンロードできます。オーディオブックは初めて、という方は、まずはこれらのサイトでお金をかけずに試してみるのも良いでしょう。

オーディオブックはお値段が高くなってしまいがちなのが悩みの種ですが、その普及、そしてインターネットの発達に伴い、比較的安価に入手できるケースも増えてきました。

子供にとってはとても楽しみな、そして親にとっても楽しみ(だけれど準備が時々大変)な、夏の家族旅行。渋滞中「まだつかないのー?」という質問に対するお返事として、質の良いお話をオーディオブックで持っていく、というのも選択肢の一つなのです。