教育を考える 2019.2.5

子どもの将来を左右する非認知能力「EQ」は “親の愛” で高まる。

編集部
子どもの将来を左右する非認知能力「EQ」は “親の愛” で高まる。

「頭がいいのに、空気が読めない」「高学歴なのに、なかなか就職先が決まらない」——そんな大人が周りにいませんか?

もしかしたら彼らは、IQが高くてもEQが低いのかもしれません。EQとは、IQと並び能力を示す指標のひとつで、「心の知能指数」とも呼ばれているものです。

そんなEQの育成には、幼少期の親の「愛」が不可欠といわれています。では、親はどんなことを心がければいいのでしょうか。EQとは何か、なぜ「愛」が必要なのかを踏まえ、ご紹介していきたいと思います。

学びのモチベーションを左右するEQ

EQは比較的新しい概念で、注目度は高いものの、その定義はまだはっきりしていません。現時点で、EQ研究者が提唱していることは、EQの高い人は自分の感情を上手にコントロールできるということです。

EQの高い人は、「明るい」「嬉しい」「楽しい」「意欲」「安らぎ」「やる気」といった、前向きかつ積極的な感情を生み出すことができるといわれています。それらの感情は、前向きな思考、前向きな行動を引き起こすことにつながります。

例えば、仕事で失敗してしまったとき、「次はこうしよう」と改善策を考えたり、「もう1回やってみよう」とチャレンジしたりできるのがこのタイプ。逆に、「もうだめだ」とすぐに諦めたり、「こんな仕事を任せるほうが悪い」と他人のせいにしたりしてしまう人は、EQが低いのかもしれません。

こうしたことは、子どもにも当てはまります。テストで実力が発揮できなかったとき、「次は頑張ろう」と思えるか、「もう嫌だ」となってしまうか……。EQの高さにより、その後の学びに対するモチベーションが180度変わる可能性があるのです。

EQ向上のポイントは「幼少期」と「親」

EQは、「非認知能力」のひとつといわれています。非認知能力とは、IQなどの数値化できる能力ではなく、内面的な能力のことです。今、こうした能力が日本で注目されており、2018年4月施行の学習指導要領では、資質・能力の3つの柱のひとつ、「学びに向かう力・人間性等」に位置づけられています。

では、いつどうすれば健やかな非認知能力を身につけられるのでしょうか。教育経済学の研究者ジェームズ・ヘックマンさんは、幼少期が勝負だといいます。

ヘックマンさんの主張は大きく2つです。
ひとつは、子どもの教育に国が公共政策としてお金を使うなら、就学前の乳幼児期がとても効果的だということ。
もうひとつは、幼少期に非認知的な能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながるということです。

(引用元:すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?

非認知能力の育成には、親の接し方が大きく影響するといわれてます。具体的には、親は何をすればいいのでしょうか。教育学・育児学を専門とする白梅学園大学学長の汐見稔幸さんは、「無条件の愛を与えてあげること」といいます。

無条件で愛されている、いつだって助けてくれるという基本的な信頼感と安心感を育てることです。(中略)この安心感と、親に見守られてやりたいことをやる中で、非認知能力の基礎ができていきます。

(引用元:はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!

つまり、自分の子どものEQを高めたいと思うなら、まずは幼少期からたっぷり愛情を伝え、「信頼感」「安心感」という土台を築かなければならないのです。

EQを高める親の愛情表現2つ

「もちろん、子どものことは愛している。でも、どうやって愛情表現をしたらいいかわからない」という親御さんもいるでしょう。意識せずとも自然に愛情を伝えられる人は、決して多くはありません。

そこで、簡単にできて子どもに伝わりやすい愛情表現の方法を2つご紹介します。

■言葉で伝える
親から子どもへの愛情は、「わざわざ口に出して言わなくても伝わっている」と思われがちです。しかし、子ども本人からすれば、本当に愛されているのか、疑問に思ったり不安になったりすることもあります。親が忙しそうに夕食の準備をしているとき、「ママはなんだか僕の話を聞いていないみたい。もう僕のことを好きじゃないのかな……」と考えてしまうなど、子どもの心はとても繊細なのです。

ですから、日常的に言葉で伝える習慣を身につけておくとよいでしょう。例えば、朝起きたときに、「今日も大好きだよ」と言うようにしたり、親子愛をテーマにした絵本を読み聞かせながら、「ママも○○ちゃんのことをとても大切に思っているよ」と言ってみたり。日々の何気ないひとときに、さりげなく言うくせをつけるといいのではないでしょうか。

子どもの年齢によっては、照れくさそうにするかもしれません。でも内心はとても嬉しいのです。子どもにしっかり伝わるように、愛情は「言葉」でたくさん伝えてあげてください。

■スキンシップをはかる
スキンシップは、愛情を伝える重要な一手段です。親であれば、子どもが小さい頃から、意識せずとも抱っこしたり、ほっぺにキスしたりしてきたかと思います。ただ、子どもの成長とともに、その機会が減ってきているという方もいるかもしれません。なかには、子どもが嫌がることもあるでしょう。その場合は、無理にベタベタする必要はありません。スキンシップにはさまざまなやり方があります。

例えば、「遊びながらコショコショくすぐってみる」「褒めるときに頭を撫でる」「嬉しいことがあったらハイタッチをする」「おでこに触れて熱を測る」などといったさりげない行動も、スキンシップのひとつです。

また、子どもと話をするとき、意識的に手を握ることで心を通わせることもできます。「△△って言われたお友だちはどんな気持ちになったかな? 〇〇ちゃんがそう言われたらどんな気持ちがすると思う?」など、大切なことを子どもに言い聞かせるときは手を握ってみましょう。また、子どもから話を聞き出したいときも、しっかり手を握って話を聞いてみてください。言いにくいことであっても、少しずつ話してくれるかもしれませんよ。

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子どもに自分の気持ちを伝えたり、子どもを思いきり抱きしめたり——親から子どもへ愛情表現することで、子どもだけでなく親自身も癒されたり、安心したりできるはずです。

であれば、EQを高めるという目的がなくとも、日常的に行なっていきたいと思いませんか? そうして積み重ねられた親の愛情は、結果的に子どものEQを高め、前向きで豊かな人生につなげられるのではないでしょうか。

(参考)
高山直著(2003),『EQ こころの鍛え方』,東洋経済新報社.
すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?
はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!
All About暮らし|育て直しは何歳からでもできる 効果的に伝わる子どもの愛し方
絵本ナビ|親の愛情表現は子どもを世界一しあわせにする!『パパと ママの たからもの』
PHPファミリー|親子のスキンシップが、かしこい脳をつくる!