保育園で、子どもどうしのトラブルは日常茶飯事です。トラブルが重なると「どうしてうちの子ばかり……」と、モヤモヤしてしまいますよね。
この記事では、保育士歴10年の筆者が園児トラブルの実例とその対処法をご紹介します。「こんなこと保育士に言っていいの?」「どうやって伝えるのが正解?」と、悩んでいる方は、さっそくチェックしてみましょう。
年齢別 よくあるトラブル
保育園では日々、さまざまなトラブルが起こります。その場で解決できるものもありますが、それぞれの保護者に報告して大問題に発展するケースも少なくありません。トラブルの内容には、年齢によって大きな違いがあります。まずは、よくあるトラブルの例を年齢別に確認してみましょう。
0~1歳児によくあるトラブル
0~1歳児は、まだ自分の思いを言葉で話すことができないため、以下のようなトラブルが多い傾向にあります。
- ひっかく
- たたく押す
- 噛みつく
- おもちゃを奪う
お友だちがもっているおもちゃが気になったり、保育士の隣に座りたいのに違うお友だちが座っていたり……。「かして」「かわって」など、欲求を言葉にして伝えられず、ひっかいたり叩いたりするシーンが多くあります。同じように噛みつくという行動をとることも。ただし、0歳児の場合は、ただ生えかけの歯がむず痒かっただけという可能性もあります。
2~3歳児によくあるトラブル
2~3歳児は、なんとなくお友だちと遊びをともにすることが増えるなか「自分の思いを主張したい」という思いから、以下のようなトラブルが増えます。
- 叩く
- 拒否する
- ルールを守らない
遊びのイメージを共有しきれなかったり、ルールを理解できなかったりするなかで、相手に怒りをぶつけてしまうことがあります。「いや」「だめ」などとお友だちを拒否したり、ルールや順番を守らず自分の主張をとおそうとしたり。感情のコントロールが難しいため、これらのトラブルは連日のように発生します。
4~5歳児によくあるトラブル
これまで以上にお友だちとの関わりが深まる一方、それぞれの感情がより豊かになることから以下のようなトラブルが起きやすくなります。
- 言い争い
- 悪口
- 告げ口
- 仲間外れ
言葉をうまく使える年齢になると、自分の思いがとおらなかったときや、相手のことをうらやましい、ずるいと思ったときなどに、言い争いが増えます。また「〇〇ちゃんが〇〇した」など、周囲のお友だちと特定の子を責めるような構図ができるなど、乳児期と比べるとトラブルが複雑になります。好きな遊びがハッキリしてくることで、仲間外れも見られるようになります。
こんなとき、どうすればいい? Q&A
Q1.子どものアザが気になります
Q. 「子どもの太ももに新しいアザを見つけました。保育園での怪我かもしれないと心配です。連絡帳に書いて確認しても大丈夫でしょうか?クレーマーと思われないか心配です」(1歳・男の子のママ)
A. アザがあると心配になりますよね。1歳児は転びやすいので、園でぶつけた可能性もあります。「園での怪我かな?」と尋ねる程度なら、クレーマーと思われることはありません。連絡帳よりも、送迎時に「ここが気になって」と直接伝える方が細かいニュアンスも伝わりやすいでしょう。
Q2. 子どもが友達を噛んでしまいます
Q. 「子どもがお友だちを噛んでしまいました。きつく叱り、相手の親にも謝りましたが、数日後にまた同じことをしてしまいました。どうやって子どもに教えたらいいでしょうか?」(2歳・女の子のママ)
A. お子さんの行動に心配されていますね。発達途上の時期ですので、「お友だちを噛まないこと」を根気強く繰り返し伝えていくことが大切です。ただし、「保育園で起きたことは保育園の責任」でもあります。保育園では噛みついた理由を探ったり、お友だちとの距離を適切に保つなどの対応をしているはずです。家庭でもできることがあるか、保育士に相談してみるのもよいでしょう。
Q3. 子どもが仲間外れにされています
Q. 「今まで仲良くしていたお友だちから突然仲間外れにされています。『入れて』と言っても『〇〇ちゃんはダメ』と言われたり、別のお友だちを誘って離れて行ってしまうそうです。どう相談したらいいでしょうか?」(4歳・女の子のママ)
A. お子さんのつらい思いを想像すると心配ですよね。この年齢の子どもの関係は日々変化するもので、一時的かもしれません。「遊んでもらえなかったけど〇〇ちゃんと〇〇して楽しかった」と、子ども自身が満足していることもあるため、子どもなりに対応する姿を見守ることも大切です。ただ、あまりにつらい思いをしている場合は、お友だちとの距離感について現状を伝え「必要に応じて対応してほしい」と、伝えておくとよいでしょう。
Q4. 子どもがいつもひとりで遊んでいます
Q. 「お迎えに行くと、毎日ひとりで遊んでいるわが子。おとなしいタイプなので、自分から『入れて』と言えません。もっと積極的にお友だちと遊んでほしいし、鬼ごっこなど体を動かす遊びをしてほしいです。」(3歳・男の子のパパ)
A. お友だちと馴染めていないのではないかと不安になりますよね。しかし、この年齢ではひとり遊びを好む子も多く、また「平行遊び」(同じ場所にいても別々の遊びをしている状態)も一般的です。好きな遊びをしているうちに、いずれ同じ遊びが好きな気の合うお友だちと関係が深まっていきます。鬼ごっこなど、体を動かす遊びはクラス全体での活動でも取り入れているので、安心してくださいね。
Q5. 子どもが友達から暴言を受けています
Q. 「保育園で、わが子がお友だちから暴言を吐かれています。『ばか』『あほ』など、聞けば聞くほど悲しくなるものばかり。相手のお友だちのお家は近所で、保育園の帰りに公園でいっしょに遊ぶこともあります。なんとなく相手の保護者にも言いづらく、どうしたらいいか困っています。」(5歳・男の子のママ)
A. それは心配ですね。そのような言葉が当たり前に使われている空間にいると、いつしか口癖がうつってしまう恐れもあります。ご近所という関係で相手の保護者に直接伝えづらいなら、まず保育士に相談しましょう。人を傷つける「チクチク言葉」は、絶対に使ってはいけないもの。個別指導とクラス全体への指導、両方の観点から対応してもらうことが大切です。
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集団生活のなかでは、子どもどうしさまざまなトラブルが起こります。しかし、そのトラブルの多くは成長過程から考えると自然なもの。トラブルをとおして社会性やコミュニケーション能力を培っていくため、保育士や親が介入しすぎるのはよくありません。とはいえ、やはり対応が必要になるトラブルもあります。保育園側としっかり情報共有し、子どもが安全に楽しく過ごせるようにしたいですね。