小学校における英語の早期化・教科化、入試の英語4技能化……。近年、子どもの英語教育は大きな変化を遂げています。そんななか、小学生の間で「英検」受験が増えていることを知っていましたか?
どんどん存在感を増す「英検」ーー中学入試でも活用◎ーー
英検・TOEIC・TOEFL・IELTSをはじめとする外部検定試験は、入試での優遇や学校での単位認定をはじめとして、今後さらに役割を増すと予想されています。なかでも特に受験者数が多いのが「英検」。親御さんにとってもなじみのある試験ですね。中学校、高校のときに受験した記憶のある方もいらっしゃるかもしれません。
そんな英検の志願者数は、近年どんどん増加しています。
※実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr. の志願者数の合算数値
(図:受験の状況|英検|公益財団法人 日本英語検定協会を元に筆者が作成)
その一因として、文部科学省が推進する大学入試改革の方向性に合わせ、多くの学校において、入試に4技能(読む・書く・聞く・話す)を評価できる外部の資格・検定試験の導入が加速していることが挙げられます。いまや大学の一般入試でも92%の採用率を誇り、全国900校近くの高校、40校以上の中学校の入試でも優遇されています。
25%アップ! 小学生以下の英検志願者数
小学生以下の英検志願者も毎年のように伸びています。公益財団法人 日本英語検定協会の発表によると、2014年から2018年にかけて、小学生以下の志願者数はなんと約25%も増えているのです。
(図:受験の状況|英検|公益財団法人 日本英語検定協会を元に筆者が作成)
英検協会は、新学習指導要領に定められた小学校英語の早期化・教科化に伴い、未就学児童も含めた早期英語学習が活発になっていることを要因のひとつとして挙げています。レベルの幅が広く、英語初心者から受験できる英検は、小学生のお子さんにとっても魅力的な試験なのです。
小学1年生は55%、2年生は43%増! 低学年の受験率が伸びている
最新の調査結果をご紹介しましたが、じつはこの傾向は今に始まったことではありません。2011年度から2015年度の間も同様に、小学生の志願者数が約24%も増えました。
(図:小学生の志願者数が大幅アップ|公益財団法人 日本英語検定協会を元に筆者が作成)
中でも増えたのは、小学1〜3年生。特に小学1年生は55%、小学2年生は43%アップと、大幅な増加が見られます。
3級、準2級、準1級まで? 増える小学生の上位級受験
こちらは学年別の志願者数です。増加率がめざましいのは小学1年生、小学2年生の低学年ですが、やはり全体として見ると高学年での受験が圧倒的に多いですね。
(図:小学生の志願者数が大幅アップ|公益財団法人 日本英語検定協会を元に筆者が作成)
では、小学校低学年のうちに英検受験を始めた子どもたちが、高学年になるとどうなるか。それを示すのが以下のデータです。
(図:小学生の志願者数が大幅アップ|公益財団法人 日本英語検定協会を元に筆者が作成)
どの級でも志願者数は増えていますが、とりわけ高い増加率が見られるのは上位級。特に準1級は約32%、準2級は約18%、3級は17%もアップ! これは受験者全体の増減傾向と比べても高く、小学生の間で上位級の受験が広がっていることがわかります。
初めて英検にチャレンジする小学生が、最初から上位級を志願するケースはそう多くはありません。小学校低学年のうちから、5級、4級……と受験して徐々にレベルアップを図り、高学年で上位級を目指す子どもたちが増えているのです。
受験者拡大の背景に、小学校の「外国語活動」必修化
2011年度といえば、学習指導要領が見直され、小学5・6年生の外国語活動が必修化された年。英検協会は、2011年度以降の小学生の間の英検受験の拡大の要因について、このように考察しています。
- 文部科学省の新学習指導要領にて小学校5,6年生での外国語活動が必修化されてから、小学生の英検志願者数は顕著に増加していることから、全国的に小学生の英語学習が広く浸透しているものと思われる。
- さらに、小学生の英語レベルは上がっており、それが上位級の志願者数の増加からみてとれる。
(引用元:小学生の志願者数が大幅アップ|公益財団法人 日本英語検定協会)
小学校の英語教育改革に伴い、小学生の間で英語学習がどんどん広がっていったのですね。
2020年度からの新学習指導要領と、小学生の英検受験
2020年から新たな学習指導要領が施行され、小学校の英語教育の早期化が決まっています。今まで小学5・6年時に実施されていた週1コマの「外国語活動」が、小学3・4年生からスタートするのです。さらに、小学5・6年生の「外国語活動」は「外国語科」という「教科」に変わり、成績対象になります。
2020年度から全面実施されますが、その前に2年間の移行期間があります。つまり2018年度からすでに始まっているのです! お子さんの小学校でもすでにスタートしているかもしれませんね。
(参考:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|あなたのお子さんの年は移行期? 全面実施期? 3分でわかる「小学校英語教育」)
小学校の英語教育の早期化・教科化を受けて、小学生の間で、英語学習が今後ますます広がっていくことは間違いありません。それに伴い、英語力の指標となる「英検」の志願者数はさらに増加するでしょう。
英検なんて、うちの子にはまだ早い。そう思っていた方も、英検を活用してお子さんの英語力アップを図ってみてはいかがでしょうか。
(参考)
公益財団法人 日本英語検定協会|入試活用(高校・高専)
公益財団法人 日本英語検定協会|受験の状況
公益財団法人 日本英語検定協会|小学生の志願者数が大幅アップ
公益財団法人 日本英語検定協会|英検テストファミリー(実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr.) 2016年度 集計結果のお知らせ
文部科学省|小学校外国語活動サイト
旺文社教育情報センター|【一般入試編】利用大学数は5年連続増加!