あたまを使う/国語 2019.2.4
更新日 2025.5.15

【電子辞書 vs 紙の辞書】より記憶に残りやすく学習効果が高いのはどっち!? スマホ検索はどうなの?

[PR] 編集部
【電子辞書 vs 紙の辞書】より記憶に残りやすく学習効果が高いのはどっち!? スマホ検索はどうなの?

小学校に入学したら、学習の進みに合わせて辞書が必要になります。かつては紙の辞書を使うのが主流でしたが、最近は小学生から電子辞書を使うご家庭も多くなってきているようです。

でも、紙の辞書電子辞書を比べてみて、子どもにとってどちらの学習効果が高いのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

電子辞書と紙辞書、どちらを選ぶべき?

学生の頃、一冊の辞書をボロボロになるまで使ったという経験はありませんか? お子さんが小学校に上がり、そろそろ辞書が必要かなというときに、まずは紙の辞書を購入するご家庭がほとんどでしょう。

しかし最近では、中学受験で推奨されていることもあり、小学生から電子辞書を使うお子さんも増えてきています。CASIOが2015年に行なった調査によると、電子辞書を使っている子どもの70%以上が小学4年生~中学1年の間に使い始めているという結果が出ています。中学受験を始めるタイミングか、入学祝いなどのタイミングで購入して使い始めるというご家庭も多いのかもしれません。

しかし、親御さんの中では、電子辞書に頼りすぎてしまうのを懸念する方もいるよう。そこで、紙の辞書と電子辞書のメリットとデメリットを比べてみましょう。

紙の辞書のメリット:引く過程の中でも学び、使いこむ達成感も!

国語辞典、漢和辞典、英和辞典、和英辞典など、子どもにとって必要な辞書は、学年が進むにつれて増えていきます。学校の授業でも辞書の引き方を学びますし、子どもに最初に買い与える辞書は、やはり紙の辞書が最適です。

家庭学習をしていて、子どもが「〇〇ってどういう意味?」と質問してきたときも、親がすぐに意味を教えてしまうのではなく、「国語辞典で調べてみたら?」という声掛けをして、辞書を引かせる習慣をつけることも大切です。

本棚にある紙の辞書であれば、サッと取り出してサクッと調べられるなど、手軽に引くのに便利ですね。また、ご両親世代にも馴染みがあるというのもメリットのひとつです。

ネットで引いて意味を見つけることは、「他人の持っている情報を見せてもらった」ことと同じです。でも、紙の辞書ならば、情報と情報を結びつけて、自分のものにする力もつけてくれます。紙の辞書を繰り返し使うことによって、探す過程で間違ったり、思わぬ発見をしたり、行ったり戻ったりしながら、知識を自分のものにすることができます。

(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|中学生の英語辞書選び。紙の辞書と電子辞書の違い)太字は編集部にて施した

電子辞書はボタンひとつで目的の単語に行き着くのに対し、紙の辞書はパラパラとページをめくって、行ったり来たりしながら、やっと目的の言葉にたどり着きます。

その時間は一見無駄なように思えますが、そのように探す過程こそが、自分のものにするために必要なのです。そのほうが、より記憶にも残りやすいとも言われています。また、紙の辞書の場合、パッと開いたときに、自分が調べたい単語のほかにも、綴りが似た単語が前後にあるので、あわせて覚えることもできます。

一度調べた言葉を蛍光ペンで印をつけたり、書き込みをしたり、付箋を貼ったり……。紙の辞書であれば足跡を残すことで達成感が感じられるでしょう。その積み重ねも決して無駄にはなりませんね。

紙辞書のメリット
・辞書を引く手順をすることで、単語や意味を覚えやすい・機械のように壊れることがないので、長持ちする
・使いこんでいく達成感がある
・ラインを引いたりと直接書き込みができる
・価格が電子辞書に比べて安い
紙辞書のデメリット
・かさばるので持ち運びに不便
・単語を引くのに時間がかかる
・音声利用ができないので、発音などが確認できない

【電子辞書 vs 紙の辞書】2

電子辞書のメリット:辞書を引くだけじゃない、プラスアルファな機能も充実

一方で、スマホやタブレットが身近にある子どもたちにとって、電子辞書は見た目にも魅力的。直感的に操作ができて、画面やボタンを押せば知りたい言葉や漢字、英単語が一瞬で出てくるので、遊び感覚で辞書を引くことができます。紙の辞書を引くのとは違い、時間をかけずに意味を知ることができるので、勉強時間が貴重になってくる受験時期には最適です。

さらに、タブレットやスマホの操作に慣れているお子さんなら、電子辞書の操作もすぐに覚えることができるでしょう。また、「辞書で単語を引くのが面倒……」というお子さんでも、電子辞書なら喜んで使ってくれる場合もあります。「もっといろいろ調べてみたい!」というように、調べることへの意欲を持続できる、という点でも優れているでしょう。

電子辞書のメリットは、たくさんの辞書を一つにまとめ、串刺し検索できること。いろいろな解釈を一度に学べるほか、紙の辞書とは違い、英語などの発音まで確認できる。また、英検などの問題集や図鑑も入っているのにコンパクトで軽く、子どもでも気軽に持ち運びができる。

(引用元:日経トレンディネット|新学期、子どものための電子辞書の選び方 英語が重要

電子辞書の最大の魅力は、ひとつの機器に複数の辞書が搭載されていること。国語辞典に漢和辞典、英和辞典など、何冊も持ち歩く必要はありません。

また、英語学習でも活用できるのも魅力のひとつ。音声機能があるので、紙の辞書ではできない発音の確認などもできるのです。小学校で英語の授業が必須科目になったこともあり、これからますます取り入れるご家庭も増えてくるでしょう。

ただし、選び方や与え方には注意点も。電子辞書は小学生低学年・小学生高学年・中学生など年代に合わせてラインナップが揃っているので、年齢に適したものを選ぶようにしましょう。さらに、電子辞書は2万円〜3万円ほどと高額なので、取り扱い方をきちんと伝えて、大切に使わせることも重要です。

電子辞書のメリット
・コンパクトで持ち運びが便利
・いろいろな辞書が入っている
・ボタンひとつで辞書を引くことができる
・発音などが確認できる
・子どもが楽しみながら辞書を引くことができる
電子辞書のデメリット
・機械なので壊れることもあり、寿命がある
・価格が高い
・対象の年代があるので、将来的に買い換える必要がある

スマホ検索との使い分けは? 東大生の視点から

また最近では辞書といえば紙の辞書や電子辞書だけでなく、スマホやタブレットでの無料Web検索という選択肢もあります。もう紙辞書や電子辞書はいらないのでは? と思っている方もいるかもしれません。では、「スマホ検索」は学習効果の観点から見るとどういったメリットやデメリットがあるのでしょうか?

東京大学の学生111名を対象にしたCASIOの2022年の調査によると、高校時代、学習ツールの一つとしてスマホを使用していた学生は82.0%にも上りました。思いついた時にパッとしらべらるのは大きなメリットである一方、多くの東大生がスマホ使用時の「使い方」の重要性を指摘しています

たとエバ、検索中に他のアプリを開いてしまい集中力が低下する問題や、ネット情報の信頼性が必ずしも高くない点、そして調べた知識が定着しにくいという欠点があります。実際、東大生の多くが「受験勉強には電子辞書が有効」と回答しており、特に重要な学習場面では紙辞書や電子辞書を活用し、スマホ検索は補助的に使う方が効果的です。

スマホ検索のメリット
・いつでもどこでも手軽に利用できる
・最新の情報も入手できる
・無料で利用できる
・検索範囲が広い
スマホ検索のデメリット
・他のアプリを開きがちで集中力が低下する
・情報の信頼性に不安がある
・知識の定着度が低い
・SNSなど他の誘惑があり学習を妨げる

***
紙の辞書と電子辞書、それぞれに良さがあります。紙の辞書は調べる過程が学びになり記憶に残りやすく、電子辞書は検索の速さと多機能性が魅力です。

おすすめは、まず紙の辞書で基本を学び、学年が上がるにつれて電子辞書を取り入れる段階的なアプローチ。スマホ検索は情報収集の補助として使い分けるのが理想的です。最も大切なのは、お子さんの性格や学習スタイルに合った選択をすること。お子さんの「調べる力」を育む最適な辞書を選んであげてください

(参考)
CASIO|電子辞書は不要?東大生が教えるスマホ検索との使い分け
日経トレンディネット|新学期、子どものための電子辞書の選び方 英語が重要
ベネッセ 教育情報サイト|中学生の英語辞書選び。紙の辞書と電子辞書の違い
早稲田ウィークリー|なぜ「電子辞書」より「紙の辞書」なのか?