教育を考える/知育 2019.12.1

おすすめの知育時計、教えます。時計の勉強が子どもにとって重要なワケ

編集部
おすすめの知育時計、教えます。時計の勉強が子どもにとって重要なワケ

知育時計とは、時計を読むことに不慣れな子どもでも読みやすいよう、分数を細かく記載したり、文字盤を色分けしたりといった工夫の施された時計を指します。

知育時計は、多くのお子さんがつまずきやすい「時間」の勉強に役立つ便利な時計ですが、種類が多くて迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。「そもそも知育時計なんて買う必要あるの?」「時計の読み方を習ってから普通の時計を使えばいい」などとお考えの方も多いかもしれませんね。

今回は、知育時計を使うことのメリットと、おすすめの知育時計をご紹介いたします。

知育時計をおすすめする理由

知育時計をおすすめするのには理由があります。知育時計を使うことのメリットについて、以下で詳しくご紹介しましょう。

知育時計をおすすめする理由1:時計に親しめる

知育時計を使うことのメリットの1つめが、「時計に親しめる」という点です。

これまで、「時刻と時間」は小学2年生で学習する単元でしたが、2018年度に改訂された新しい学習指導要領では、小学1年生で「日常生活の中で時刻を読むことができるようにする」ことが求められるようになりました。

しかし、この「時刻と時間」は、多くのお子さんにとってつまずきやすい単元でもあります。公立小学校校長、東京都算数教育研究会会長などを経て、現在株式会社ベネッセコーポレーションの「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める八木義弘氏は、子どもにとって時間や時刻の理解が難しい理由について、「感覚的に捉えにくい」点と「十進法の仕組みになっていない」点を挙げています。

長さや大きさは、目で見て「これくらい」と体感的に捉えられますが、時間となるとそうはいかないもの。そのうえ、時間は、楽しい時間は進みが速く感じられ、退屈な時間は進みが遅く感じられる……などの心理的な影響も受けやすいため、子どもにとってつかみどころがないのだそう。また、1時間は60分、時計に書いてある数字は12まで、1日は24時間……といった点も、子どもにとってはわかりにくいのだとか。

また、時間の概念を理解しづらい点に加え、「アナログ時計」を読むことも、子どもたちにとっては難関です。イギリスでは、アナログ時計を読めない子どもが増加していることから、教室からアナログ時計を撤去し、デジタル時計を設置する学校が増えてきています。学生たちは、スマートフォンやコンピューターといったデジタル機器を使って時間を確認することが当たり前であるため、アナログ時計を読むことに慣れていないのだそう。2018年3月にロンドンで開催された「Partners in Excellence」という教育関係者の集まりでも同様の問題が取り上げられ、試験教室の時計を読めない学生がいたために、アナログ時計をデジタル時計に置き換えた事例が多数存在したことが明らかになっています。

「そんなの外国の話」と他人事のように感じてしまう方も多いかもしれませんが、身の回りがデジタル表記の時計であふれている事実は、日本も変わりありません。幼い頃からスマートフォンなどのデジタル機器が身の回りにあふれている子どもたちにとって、アナログ時計は「見慣れないもの」「読みにくいもの」に陥りやすいのです。

ただでさえ理解しづらい「時間」の概念と、慣れない「アナログ時計」を理解しなければならないのですから、相応の工夫が必要だということ。そんなときに役立つのが、「知育時計」なのです。

知育時計は、子どもが読みやすいよう、分刻みのメモリが書かれていたり、長針と短針が色分けされていたり、文字盤の色が1時間ごとに異なっていたりと、さまざまな工夫がなされているため、苦労せずにアナログ時計に親しむことができます。現代の子どもたちにとっては、アナログ時計が見慣れないものになりつつあることを理解し、子どもが苦手意識を持たないように、早い段階から知育時計を用意してあげるべきでしょう。

知育時計のおすすめ02

知育時計をおすすめする理由2:規則正しい生活につながる

知育時計をおすすめする理由の2つめは、規則正しい生活につながるという点です。

小学校に上がる前に身につけておきたいのが、「自分で時計を読み、時間を意識して規則正しい生活を送る」ということ。学習塾を20年間経営し、著作家・講演家として活動している立石美津子氏は、著書『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)の中で、「幼稚園・保育園では、『次は○○をするよ』と、その都度細かい指示を出してくれました。しかし、小学校では、時計を見て次の時間割を確認したり、休み時間にトイレに行くタイミングを考えたりと、子ども自身が時計を見ながら行動する必要があります」と述べています。

小学校に上がる前に、時計を見ながら行動する習慣をつけられるのが理想的ですね。知育時計があれば、時計を読めなくても「青い針がここを指したらお風呂に入る時間だよ」などと時計を見ながら会話することができるため、子どもが時間を意識し、時計を確認することを習慣にできます。

また、「規則正しい生活を送る学生は成績が良い」という研究結果が出ていることはご存じでしょうか。ハーバード大学メディカル・スクールのアンドリュー・フィリップス助教授らが、61人の学生を調査したところ、睡眠・起床のリズムが規則正しい学生ほど、GPA(米国の大学で取り入れられている成績評価値)が高かったのだそう。同助教授によると、生活リズムが不規則な人は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が遅くなり、体内時計が遅れてしまうのだとか。体内時計が遅れるということは、時差のある場所で生活しているようなもの。成績が落ちるのもうなずけますよね。実験の対象者は大学生ですが、幼い頃から体内時計を狂わせないよう、規則正しい生活を送ることが大切です。

時計を読めるようになる前から、時間を意識する習慣をつけ、規則正しい生活リズムを身につけるためには、自分で時間を確認することのできる知育時計を使うのが良いでしょう。

知育時計のおすすめ03

知育時計をおすすめする理由3:勉強習慣が身につく

知育時計をおすすめする理由の3つめが、勉強習慣が身につくという点です。

「まだ低学年だから、勉強の習慣は必要ない」「勉強しなくても、学校の授業だけで理解できてるから大丈夫」

勉強習慣について、このようにお考えの方は多いのではないでしょうか。学校の授業だけでついていける間は、勉強をする習慣がなくても問題ないように感じられるかもしれませんが、学年が上がるにつれて徐々に宿題の量が増え、学習内容の難易度も上がっていきます。その頃に、勉強する習慣が身についていないと、ちょっとした宿題やテスト勉強も苦痛に感じてしまい、あっという間に学校の勉強についていけなくなることも。

そうならないためには、低学年もしくは入学前、勉強が簡単なうちから「勉強は毎日するもの」と意識づけし、勉強習慣を身につけておくと、あとあと楽です。その際、知育時計があれば、時計を読めるようになる前から自分で時間を確認できるため、自分で時計を見て机に向かう習慣を作ることができます。

花まる学習会代表でNPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長の高濱正伸氏によると、勉強ぐせをつけるためには「『型』をつくることが重要」なのだそう。同氏は、「歯磨きをしたり、お風呂に入ったりするのと同じように、生活の中に、必ず『勉強』をルーティンワークとして組み入れること」がポイントだと言います。大切なのは勉強を習慣化させることなので、はじめは5〜10分でも充分です。自分で時計を読むことができれば、「朝起きたら、7時〜7時5分までドリルを進める」など、生活の中にルーティーンとして取り入れることができますね。

また、朝は「脳のゴールデンタイム」であることをご存じですか? 近年、朝の時間を有効活用する朝活が流行していますが、これは脳科学的に根拠のあるものなのです。脳科学者の茂木健一郎氏は、「朝目覚めてからの約3時間は、脳が最も効率よく働く『ゴールデンタイム』」だと述べています。同氏いわく、日中に記憶した情報は一時的に短期記憶として保管され、睡眠を取ることで長期記憶に変わるのだそう。それによって、朝の脳は、前日の記憶がリセットされた状態になるため、記憶力や創造力に優れているのだと言います。

そのため、学習習慣をつけるのであれば「脳のゴールデンタイム」である朝が良いでしょう。目覚まし時計タイプの知育時計を選べば、勉強習慣のみならず、自分で起きる習慣も身につけることができますね。このように、知育時計は、自分で時間を確認できるため、勉強習慣を取り入れることにも、自分で起きる習慣をつけることにも役立つのです。

知育時計のおすすめ04

おすすめの知育時計

では、具体的にどのような知育時計を使うと、子どもの学びに役立つのでしょうか。知育時計は、「知育時計 文字盤 ダウンロード」といったワードで検索し、文字盤をプリントアウトして市販の時計に貼り付けるといった方法で手作りすることも可能です。しかし、時計のサイズに合わせた縮尺で印刷するなど、少々手間がかかる面もあります。

そこで今回は、既製品にしぼっておすすめの知育時計をご紹介しましょう。

おすすめの知育時計1:ベーシックな掛け時計タイプ

ベーシックな掛け時計タイプの知育時計は、字が大きく見やすいため知育にぴったりです。おすすめしたいのは、「セイコークロックの掛け時計」。ご覧いただければわかるように、時針と分針の色がそれぞれ文字盤の数字と同じ色をしているので、時計を読むのに不慣れなお子さんでも、簡単に時間を理解することができます。

また、目盛りに0〜59までの数字が書かれているのも、お子さんにとって理解しやすいポイント。加えて、文字盤が1時間ごとに色分けされ、「1じ」から「12じ」まで記載されているので、時針がわかりづらい位置を指していても、今何時なのか即座に判断することができます。

おすすめの知育時計2:インテリアに馴染むおしゃれなタイプ

知育時計は、往往にして字が大きく、デザインが派手ですよね。「デザインが我が家のインテリアには合わないから……」と購入を渋っている方も多いことでしょう。しかし、おしゃれな知育時計もたくさんありますよ。

おすすめは、神戸のインテリアメーカー・インターフォルムの「Storuman(ストゥールマン)」。木目フレームで、北欧テイストのおしゃれなデザインが特徴です。

もちろん、この知育時計は、おしゃれなだけではありません。時針に開けられた小さな窓からは24時間表記の午後の時間が見えたり、5分おきの分数が書かれていたり……。と、洗練されたデザインでありながら、時計に慣れていない子どもにとってもわかりやすいよう、工夫がこらされています。

また、電波時計というのも嬉しいところ。電池を入れてボタンを押すだけで、現在の正確な時刻を受信してくれます。インテリア重視のご家庭にぜひおすすめしたい、おしゃれな知育時計です。

加えてご紹介したいのが、デザインメーカー・タカタレムノスの「fun pun clock(ふんぷんくろっく)」。黒と赤の2色が用いられたスッキリとしたデザインがインテリアに馴染みます。

「fun pun clock」のデザイナーは二児の母。モンテッソーリ教育専門家のアドバイスを受けながら、子どもの理解の進み方、認知方法をベースに、母親の視点から作られた時計です。刻むように絶えず動く赤い秒針をはじめとした、幼児が「読みたくなる」仕掛けが多数施されています。2017年にグッドデザイン賞を受賞した、「時計デビュー」にぴったりの知育時計です。

おすすめの知育時計3:キャラクターもので楽しく学習

お子さんの好きなキャラクターものの知育時計を選ぶのもおすすめです。

セイコークロックの「ディズニータイム目ざまし時計」は、子どもに人気のキャラクターたちが描かれた可愛らしいデザイン。時針と分針の色が分かれており、分数も1〜60まで刻まれているので、子どもにも読みやすいデザインです。茶木目の落ちついたデザインなので、インテリアにも馴染みますね。

同じくセイコークロックの「ドラえもんの知育時計」は、文字盤の外側にマグネット式のプレートがついており、分数や生活時間のマグネットを自分で貼り替えて使うことができます。

たとえば、「10」の文字盤の隣に「50」のプレートを貼れば、分針が「10」を指しているときは「50分」だと学習できますね。加えて、まだ正確な時間を読めないお子さんは、3時の位置に「おやつ」、6時の位置に「おふろ」といった生活時間のプレートを貼ることで、時計を読めるようになる前の段階から、「短い針が『おふろ』を指したらお風呂の時間」と、自分で時計を確認して規則正しい生活を送る習慣をつけられます。キャラクターのプレートを貼って「短い針がジャイアンを指したらご飯の時間だよ」と教えても良いでしょう。つまり、お子さんの学習段階に合わせて使い分けることのできる知育時計なのです。

おすすめの知育時計4:置き時計タイプ

置き時計タイプの知育時計でおすすめなのは、くもん出版の「スタディめざまし」。

時針と分針の色を分けているため、針の色と同じ色の文字を読めば時間がわかります。加えて、アラーム機能もついているので、お子さんがひとりで起きる習慣を付けるのにもぴったりです。時計の読み方も身につき、「朝起きたら、長い針が12から1になるまでドリルをすすめようね」などとルールを決めれば、朝の勉強習慣も身につきます。

小さな置き時計なので、持ち運びが簡単なのも嬉しいところ。勉強中に目の前に置いておけば、「宿題を○分までに終わらせたい」と目標を立てたり、「ドリル1ページ終わらせるのに○分かかった」と自分のスピードの目安になったりと、子どものモチベーションも上がります。

目覚まし時計も兼ねた知育時計は、「自分で起きる」ことにも「勉強習慣を身につける」ことにもつながるので大変おすすめです。

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知育時計を使うメリットと、おすすめの知育時計をご紹介しました。今回ご紹介した4つのタイプの知育時計はどれもおすすめのものなので、ぜひご家庭にあったものを見つけてみてくださいね。

(参考)
文部科学省|学習指導要領「生きる力」
ベネッセ教育情報サイト|小学生の保護者必見! 算数の「時刻と時間」ではここにつまずきやすい【前編】
The Telegraph|Schools are removing analogue clocks from exam halls as teenagers ‘cannot tell the time’
Scientific Reports|Irregular sleep/wake patterns are associated with poorer academic performance and delayed circadian and sleep/wake timing
THE21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方
立石美津子(2014), 『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』, 日本実業出版社.
高濱正伸(2014), 『高濱流 わが子に勉強ぐせをつける親の習慣37』, 永岡書店.
Good Design Award|ウォールクロック [fun pun clock/ ふんぷんくろっく]