教育を考える 2020.9.23

「赤ちゃん返り」は親を信頼している証拠です! 子どもの自己肯定感を下げない4つの対処法

編集部
「赤ちゃん返り」は親を信頼している証拠です!  子どもの自己肯定感を下げない4つの対処法

子どもの 赤ちゃん返りに悩まされている親御さんはいませんか? 「どうして下の子に優しくできないの?」「お兄ちゃん・お姉ちゃんになったのにいつまでも甘えないでほしい」と、ため息が出てしまいますよね。

しかし、赤ちゃん返りは “弟・妹へのやきもち” といった単純な話ではないようです。じつは、子どもの成長になくてはならない重要な過程であり、親子の信頼関係を深める大事なコミュニケーションでもあるのです。

親を困らせる「赤ちゃん返り」あれこれ

「食事も着替えも自分でできるようになったのに、『ママやって』と甘えることが増えた」
「トイレトレーニングはとっくに終わったのに、下の子が生まれたらまたおもらしをするようになった」

ふたりめを出産したあと、上の子が赤ちゃん返りをして大変だったという話はよく耳にします。みなさんのなかにも、「経験したことがある」「まさにいま困っている!」という人は多いのではないでしょうか。

赤ちゃん返りの様子は上に挙げたものが代表的ですが、ほかにも見逃せない “小さな変化” がたくさんあるようです。

  • 怒りっぽくなった
  • すぐに機嫌が悪くなり、物に当たるようになった
  • おもちゃを取り上げるなど、下の子に意地悪をするようになった
  • 親の言うことを素直に聞かず、反抗するようになった
  • 赤ちゃんのお世話をしようとすると引き止めるなど、母親を独占したがるようになった
  • 赤ちゃんのようにおっぱいを欲しがる
  • 好き嫌いなくなんでも食べていたのに、急に好き嫌いするようになった
  • 寝つきが悪く、寝かしつけに時間がかかるようになった
  • 夜泣きやおねしょをするようになった
  • 「聞いて聞いて」と大人どうしの会話をさえぎる

ポイントは、 “それまではちゃんとできていたこと” を急にしなくなったり「できない」と言ったり、親を困らせるようなことをするという点です。これをただの「下の子に対する嫉妬」ととらえていいのでしょうか?

赤ちゃん返り02

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ひとりっ子でも起こる! 赤ちゃん返りの原因

一般的に「赤ちゃん返り」と呼ばれる子どもの困った言動を、専門的な言葉では退行」「幼児退行と言います。日本女子大学人間社会学部心理学科教授の塩崎尚美先生によると、「退行」はだいたい4〜5歳くらい前の発達段階に戻ると考えられているため、幼児期に起こる退行を「赤ちゃん返り」と呼ぶようになったそう。

母親が下の子を妊娠・出産するときに起きやすい「赤ちゃん返り」ですが、ひとりっ子でも起こることがあるとのこと。小児科専門医の梁尚弘先生は、「母親が入院したり、引っ越したり、幼稚園に入ったりするなど、環境に大きな変化があったときにも起こる」と述べています。

下の子の誕生も母子分離も、小さい子どもにとっては大きな環境の変化であり、強いストレスを感じる出来事であることは間違いありません。梁先生は、赤ちゃん返りをこれまで受けていた両親の愛情がなくなってしまうかもしれないという不安感や、環境の変化をうまく受け入れられない気持ちを、子どもなりにせいいっぱい表した行動としています。

また、教育研究家の征矢里沙さんは、赤ちゃん返りを「いまの自分に必要なもの(愛情・関心)を求めるための大切な行動」であり、「成長の証・健全な発達過程」として認めるべき、と指摘しています。

同様に、赤ちゃん返りは、子どもの『健全なSOS』と断言するのは、医師・臨床心理士の田中茂樹先生です。わがままを言って困らせるわが子を心配して、あえて厳しく接する親御さんもいるようですが、それではますます子どもの不安は募っていくでしょう。

田中先生は「赤ちゃん返りというかたちでしか愛情を求められない子には、優しく接して」と話します。赤ちゃんは、自分ひとりでは何もできない存在です。赤ちゃん返りをする子どもの心理として、「◯◯ができるからすごい」のではなく、ただそこにいるだけで愛される存在として、自分の価値を確認したいという気持ちがあるのです。

赤ちゃん返りによるわがままや甘えを受け入れてもらった子どもは、「そのままのあなたでいい」という確信を得られます。それにより自己肯定感が高まり、しだいに言動も落ち着いてくるそうです。

赤ちゃん返り03

赤ちゃん返り、4つの対処法

子どもが赤ちゃん返りをしてしまったときの対処法を紹介しましょう。

産後、家事や育児に追われて疲れているお母さんは、上の子が赤ちゃん返りをするとイライラして「いいかげんにして!」「もうお兄ちゃん・お姉ちゃんになったんだからしっかりしなさい!」などと言ってしまいがちですが、これでは逆効果です。

子育てに関する多くの本を執筆している立石美津子さんは、「叱られた上の子は、親に好かれようといい子にするどころか、逆の行動をとるように。親に注意されている=自分に関心を向けてもらっているため、わざと赤ちゃんのお世話を中断させるなどして困らせる」と話します。

親の関心を “自分にだけ” 向けたいと願う子どもには、次のような対応を心がけましょう。

上の子だけに関わる時間をつくる
赤ちゃんが寝ているあいだに、 “上の子だけ” に絵本の読み聞かせをしてあげたり、 “上の子だけ” と一緒に遊んだりと、親を独り占めできる時間をつくってあげましょう。立石さんによると「1日10分でもOK」だそう。ただし、赤ちゃんを抱っこしながらではなく、上の子だけときちんと向き合うことを忘れずに。

簡単なお手伝いを頼んでみる
「赤ちゃんがお昼寝したからブランケットを取ってきてくれない?」「新しいおむつを持ってきてくれるかな?」など、ちょっとした赤ちゃんの世話を頼みましょう。前出の梁先生は、「それにより赤ちゃんは自分のライバルではないんだという気持ちを育むことができます」と述べています。ポイントは決して強制しないこと。手伝ってくれたらたっぷりほめてあげてください。

「頑張っているね」の声かけを
前出の征矢さんによると「赤ちゃん返りは、これまでその子なりにいろんなことを頑張ってきた反動でもある」とのこと。幼稚園や小学校ではしっかりやっていて、家では安心してわがままにしているケースもあります。そこで「いつも頑張っているね」と声をかけてあげることで、子どもは「いまの自分を認められた」と感じ、気持ちも安定してきます。

できるだけ要求に応えてあげる
スキンシップを求めてくるなど、情緒的な要求にはできるかぎり応えてあげましょう。また、本当は自分でできるのに「着替えを手伝ってほしい」といった要望にも応えてあげて。征矢さんは、「能力的にはできるけど、いまは精神的にできない、ということは一時的に助けてあげたほうがいい」とアドバイスしています。

赤ちゃん返りは、決して「お母さん・お父さんを困らせよう」とわざとしているわけではありません。小さな子どもでは抱えきれない不安な気持ちが表面化した結果が「赤ちゃん返り」であり、子ども自身もコントロールできないのです。イライラすることもあるかもしれませんが、親子の信頼関係を深めるためにも正しい対応を心がけましょう。

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どうしても避けて通るわけにはいかない「赤ちゃん返り」ですが、お子さんが健全に成長している証なので安心してください。この時期にわが子としっかり向き合うことで、将来の親子関係は格段に良好になるでしょう。

(参考)
TOKYO GAS ウチコト|【教育研究家に聞く】「赤ちゃん返り」は大切!? 上手に対応する9つの方法
Milly|【専門家監修】赤ちゃん返りとは?その症状や原因、対策が知りたい!
マイナビウーマン 子育て|【医師監修】子どもの赤ちゃん返りってどうすればいいの?
ダイヤモンドオンライン|妹や弟ができて「赤ちゃん返り」する上の子は親を信頼している
ハピママ|2人目育児にありがち! 上の子の“赤ちゃん返り”を防ぐ言葉がけ