からだを動かす/スポーツ 2026.10.20

バロンドールってなに? 親子で知りたい「世界最高のサッカー選手」の決まり方と、おうちでの楽しみ方

バロンドールってなに? 親子で知りたい「世界最高のサッカー選手」の決まり方と、おうちでの楽しみ方

「ねえ、バロンドールってなに?」

テレビのスポーツニュースや、サッカーを習っているお友だちとの会話から、子どもがこんな言葉を持ち帰ってくることがあります。名前は聞いたことがあるけれど、いざ説明しようとすると言葉に詰まる。そんな大人も多いはずです。

バロンドールは、1年間で一番活躍したサッカー選手に贈られる賞で、サッカー界でもっとも権威のある個人賞のひとつとされています。2026年の授賞式は、日本時間の10月27日(火)早朝、イギリスのロンドンで開かれます。70回目という節目の年で、ロンドンでの開催は今回が初めてです。さらに今年は、女子の部門に日本の選手が3人、候補として名を連ねています。

大人が先に全部を知っておく必要はありません。子どもと一緒に調べていく時間そのものが、親子の楽しい学びになります。子どもにも伝わる言葉でバロンドールのしくみを紹介しながら、おうちで楽しめるアイデアをお届けします。

バロンドールってなに? 子どもにはこう伝えてみよう

1. 名前の意味は「金色のボール」

バロンドール(Ballon d’Or)は、フランス語で「金色のボール」という意味です。受賞した選手には、その名前のとおり、サッカーボールの形をした金色のトロフィーが贈られます。

子どもに伝えるなら、こんなひとことで充分です。

⚽ 子どもへのひとこと「1年で一番活躍したサッカー選手がもらえる、金色のボールのトロフィーだよ」

サッカーの世界一といえば、ワールドカップを思い浮かべる方もいるでしょう。ワールドカップは国ごとのチームで戦い、世界一のチームを決める大会です。一方のバロンドールは、チームではなく選手ひとりひとりの活躍を見て贈られる賞。「チームの世界一」と「選手の世界一」の違いを話してみると、子どもにもイメージがわきやすくなります。ワールドカップの成り立ちについては、こどもまなびラボのそもそもワールドカップって、いつからあるの? 親子で楽しむ、90年を超える歴史の話で、親子向けに紹介しています。*1

2. 始まりは70年前のフランス。今年は初めてロンドンで

バロンドールが始まったのは1956年。フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』がつくった賞で、第1回の受賞者はイングランドのスタンリー・マシューズ選手でした。2024年からは、ヨーロッパのサッカーをまとめる団体であるUEFA(欧州サッカー連盟)も、一緒に授賞式を開いています。

去年の授賞式はフランスのパリで開かれました。創設70周年となる今年は、第1回受賞者マシューズ選手の母国イングランドの首都、ロンドンが初めて会場に選ばれています。*2

⚽ バロンドール2026 基本データ
  • 授賞式 日本時間 2026年10月27日(火)午前5時から
  • 会場 イギリス・ロンドン(初開催)
  • 回数 第70回(1956年にフランスで創設)
  • 選ぶ人 世界の国々のサッカー記者
  • 日本の候補選手 女子バロンドール3人、女子ゴールキーパー部門1人

フランスで生まれた賞が、70年たってイギリスで祝われる。地図や地球儀でふたつの国を探しながら話すと、海をはさんですぐ隣どうしだということにも、子どもが自分で気づけるかもしれません。

イングランド国旗のサッカーユニフォームを着る少年

3. 選ぶのは、世界中のサッカー記者

「誰が決めるの?」というのも、子どもからよく出る質問です。

バロンドールを選ぶのは、サッカーにくわしい世界中の記者です。男子はFIFAランキングの上位100か国、女子は上位50か国から、1か国につき1人の記者が投票します。記者は候補の30人から10人を選んで順位をつけ、1位に15点、2位に12点、3位に10点……と点数を入れていきます。その点数の合計が一番多かった選手が、バロンドールを受賞するしくみです。

評価の対象になるのは、男子の場合、2025年8月3日から2026年7月19日までのおよそ1年間。今年の夏に開かれたワールドカップでの活躍も、ここに含まれています。

子どもには、こんなふうに伝えてみてはいかがでしょう。

⚽ 子どもへのひとこと「世界のいろんな国の記者さんが点数をつけて、バロンドールを決めるんだよ」

4. 見られているのは、ゴールの数だけじゃない

記者が投票するときの基準も、ルールで決められています。もっとも重視されるのは、選手ひとりの活躍がどれだけ試合を左右し、印象に残ったか。続いて、チームとしての成績や獲得したタイトル。そして、品格とフェアプレーです。

ゴールをたくさん決めた選手が、必ず受賞するとは限りません。3番目の「品格とフェアプレー」は、試合のなかでも外でも、選手がどんな態度でふるまったかを見るものです。子どもの言葉に置きかえるなら、「ルールを守ること」「相手や仲間を大切にすること」。毎日の園や学校で大切にしていることと、よく似ています。

⚽ 子どもへのひとこと「世界一の選手を決めるときも、ルールを守ることや、相手を大切にすることが見られているんだって」

このひとことは、サッカーを習っている子にも、そうでない子にも届きます。

太陽の光を浴びながら、サッカーコートの白線に足を踏み出すスパイクを履いた選手の足元のアップ

2026年は日本の選手も候補に! 親子で応援したい選手たち

1. 女子の候補30人に、日本から3人

2026年9月に発表された女子バロンドールの候補30人には、なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)から3人が選ばれました。*3

⚽ 女子バロンドール候補の日本の選手
  • 長谷川唯選手 イングランドのマンチェスター・シティ
  • 松窪真心選手 アメリカのノースカロライナ・カレッジ/イングランドのチェルシー
  • 谷川萌々子選手 ドイツのバイエルン・ミュンヘン

長谷川選手は2023年、2024年に続いて3度目の候補入り。松窪選手と谷川選手は、今回が初めての候補入りです。女子バロンドールは2018年にできた比較的新しい賞で、これまでに日本からは熊谷紗希選手(2018年)、宮澤ひなた選手(2023年)も候補に選ばれています。

候補リストに載っている所属チームは、3人とも海外のクラブです。チームがある国を地図で探すだけでも、子どもにとっては立派な「世界の旅」になります。

2. ゴールキーパーの部門にも、日本の選手

授賞式では、男子・女子のバロンドールのほかにも、若手選手、ゴールキーパー、監督、クラブ、ストライカー(点を取る選手)といった部門の賞が発表されます。

女子の年間最優秀ゴールキーパーの候補5人には、山下杏也加選手(マンチェスター・シティ)が選ばれています。「ゴールを守る選手にも、その年の一番を決める賞があるんだよ」と伝えると、ボールを止めるのが得意な子や、キーパーにあこがれている子の目がぱっと輝くかもしれません。

3. 男子の候補には、あのメッシ選手も

男子の候補30人に、今回は日本の選手は入っていません。一方で、これまでにバロンドールを8回受賞し、最多記録をもつアルゼンチンのメッシ選手が候補に名を連ねています。ほかにも、スペインのヤマル選手、フランスのエムバペ選手、ノルウェーのハーランド選手など、子どもが名前を聞いたことのある選手も多いはずです。

ちなみに、去年の受賞者は、男子がフランスのウスマン・デンベレ選手、女子がスペインのアイタナ・ボンマティ選手でした。子どもが知っている選手の名前から話を広げると、自然と会話がはずみます。

こども二人がサッカーをしている様子。

バロンドールを親子で楽しむ、おうちでできる3つのこと

1. 授賞式の前に「誰がとると思う?」と予想し合う

授賞式までの数日間は、家族で予想を楽しむチャンスです。小学生なら、家族みんなの点数を合計して「わが家のバロンドール予想」を出すのも楽しい時間になります。幼稚園の子なら、「この選手を応援する!」と1人を選ぶだけで充分です。

選んだら、「どうしてこの選手にしたの?」と聞いてみてください。「名前がかっこいいから」「日本の選手だから」という理由でかまいません。自分で選んで、その理由を言葉にする。それ自体が、子どもにとっては面白い体験です。

2. ニュースを一緒に見ながら、「どうしてだと思う?」と聞いてみる

10月27日の朝、ニュースで結果が流れたら、少しだけ画面から目を離して子どもに聞いてみましょう。「この選手は、どうして選ばれたと思う?」「金色のボールって、どれくらい重いのかな」。録画や配信なら、途中で止めながら話すこともできます。

正解を教えることより、子どもが考えて話す時間をつくること。それが、ニュースを一緒に見る時間を、親子の学びに変えてくれます。

親子で見ながら「質問」すると、子どもの理解が深まる
アメリカの研究チームは、3歳の子どもとその親81組を対象に、親子で一緒にお話の動画を見る実験を行いました。4週間後、親が動画の途中で止めて質問し、お話の一部を子ども自身に語ってもらっていたグループの子どもは、ただ見ていたグループや、親がコメントをするだけだったグループの子どもよりも、お話の理解や言葉の得点が高かったと報告されています。(米ヴァンダービルト大学 心理学・人間発達学部、ガブリエル・ストラウス氏ら)*4
研究で使われたのはお話の動画ですが、途中で止めて問いかけるという方法は、ニュースを親子で見るときにも取り入れやすいものです。

3. 「選ばれなかった選手」の話もしてみる

30人の候補のなかで、バロンドールを手にできるのはひとりだけです。去年まで3年連続で受賞したボンマティ選手も、今年は候補の30人に入っていません。一番になれなくても、候補に選ばれなくても、選手たちはまた次のシーズンに向けて練習を続けていきます。

初めて候補に選ばれた谷川萌々子選手は21歳。インタビューでは、幼いころから夢だったバロンドールが、候補に入ったことで「より目標に変わった」と話しています。*5 同じインタビューでは、海外でプレーしてきた3年間で積み上げてきたものがある、とも語っています。

授賞式のニュースでは、「天才」「才能」といった言葉もよく聞こえてきます。親子で話すときは、選手が毎日の練習で積み重ねてきたことにも目を向けてみてください。「たくさん練習してきたんだろうね」というひとことが、子どもの見方を少し広げてくれます。

ほめるなら「頭のよさ」より「がんばったこと」
小学5年生を対象にした実験では、問題が解けたあとに「頭がいいね」と能力をほめられた子どもは、次に簡単な課題を選びやすく、失敗したあとに成績が下がりやすい傾向が見られました。一方、「よくがんばったね」と努力をほめられた子どもは、難しい課題にも挑戦しようとする傾向があったと報告されています。(コロンビア大学 心理学部、クラウディア・ミューラー氏ら)*6
選手の話をするときも、わが子に声をかけるときも、生まれもった力より積み重ねてきたことに目を向ける。それは、この研究の考え方とも重なります。

結果が出たら、受賞した選手だけでなく、ほかの選手の話もしてみてください。「選ばれなかった選手は、どんな気持ちかな」「次はどうするんだろうね」。そんな会話から、子どもは「うまくいかないことがあっても、またがんばればいい」という見方に触れることができます。

子どもは、親の「失敗の受け止め方」を感じ取っている
スタンフォード大学の研究では、失敗を「力を下げてしまうもの」と受け止める親の子どもほど、「頭のよさは生まれつき決まっていて変わらない」と考える傾向が見られました。さらに、子どもは親が失敗をどう受け止めているかを感じ取っており、その受け止め方が子ども自身の考え方とも結びついていたといいます。(スタンフォード大学 心理学部、カイラ・ハイモヴィッツ氏ら)*7
選手が負けた話や、選ばれなかった話を「次につながる経験」として親子で語る時間は、子どもが自分の失敗と向き合うときの支えにもなりそうです。

年齢に合わせた声のかけ方については、こどもまなびラボの自己肯定感は3歳・6歳・9歳・12歳で育て方が変わる。年齢別「効く声かけ」12選でも、くわしく紹介しています。*8

***

10月27日の朝、ロンドンで金色のボールを手にするのは誰でしょうか。結果がどうなっても、選手の名前を親子で呼び合い、予想を言い合った時間は、おうちの思い出として残っていきます。

「バロンドールってなに?」から始まった会話が、地図を広げる時間や、がんばっている誰かの話をする時間へとつながっていく。答えを全部知らなくても、子どもと一緒に知っていこうとするママの姿は、子どもの目にも映っています。

FAQ(よくある質問)

2026年のバロンドールは、いつ発表されますか?

A. 授賞式は現地時間の2026年10月26日(月)20時、日本時間では10月27日(火)午前5時から、イギリスのロンドンで始まります。各賞は授賞式のなかで順番に発表されるため、受賞者が分かる時刻は午前5時より後になる場合があります。テレビ放送やネット配信の予定は、各局や配信サービスの発表を確認してください。

日本人でバロンドールを受賞した選手はいますか?

A. 2026年10月時点で、男子・女子ともに日本人の受賞者はまだいません。2018年にできた女子バロンドールでは、熊谷紗希選手、宮澤ひなた選手、長谷川唯選手が候補に選ばれてきました。なお、2011年に澤穂希選手が受賞した「FIFA女子年間最優秀選手賞」は、現在の女子バロンドールとは別の賞です。

バロンドールを一番多く受賞した選手は誰ですか?

A. 男子では、アルゼンチンのリオネル・メッシ選手の8回が最多です。女子では、スペインのアイタナ・ボンマティ選手が2023年から2025年まで3年連続で受賞しています。

バロンドールと「FIFA最優秀選手賞」は同じ賞ですか?

A. 別の賞です。バロンドールは世界中のサッカー記者の投票で決まります。FIFA最優秀選手賞は、各国の代表チームの監督とキャプテン、メディア、ファンの投票で決まる賞です。2010年から2015年までは両方の賞がひとつにまとめられていた時期もありましたが、いまはそれぞれ別に選ばれています。

サッカーのルールが分からない幼児でも楽しめますか?

A. 楽しめます。「金色のボールがもらえる賞」「日本の選手も候補に入っている」と伝えるだけでも、子どもは興味をもちやすくなります。好きな選手を1人選んで応援したり、授賞式の前に家族で受賞者を予想し合ったりすると、ルールを知らなくても一緒に楽しめます。

(参考)
*1 こどもまなびラボ|そもそもワールドカップって、いつからあるの? 親子で楽しむ、90年を超える歴史の話
*2 フットボールチャンネル編集部 (2026)|バロンドール2026候補者一覧|発表日・日本人候補・歴代受賞者. フットボールチャンネル.
*3 UEFA (2026)|2026 Ballon d’Or awards nominees revealed. UEFA.com.
*4 Strouse, G. A., O’Doherty, K., & Troseth, G. L. (2013)|Effective coviewing: Preschoolers’ learning from video after a dialogic questioning intervention. Developmental Psychology, 49(12), 2368-2382.
*5 竹中愛美 (2026)|「夢が目標に変わった」バロンドール初候補の谷川萌々子が欧州遠征で示したいもの。バイエルンで磨いた力をなでしこジャパンへ. フットボールチャンネル.
*6 Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998)|Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance. Journal of Personality and Social Psychology, 75(1), 33-52.
*7 Haimovitz, K., & Dweck, C. S. (2016)|Parents’ views of failure predict children’s fixed and growth intelligence mind-sets. Psychological Science, 27(6), 859-869.
*8 こどもまなびラボ|自己肯定感は3歳・6歳・9歳・12歳で育て方が変わる。年齢別「効く声かけ」12選