年末年始、気づけば子どもの就寝時間が23時、24時に……。
「明日から早く寝ようね」と言っても、一度ずれた体内時計はすぐには戻りません。始業式の朝、起きられずにパニック——そんな事態は避けたいですよね。
でも安心してください。生活リズムは「3日間」で戻せます。
今回は、冬休み明けに向けて、子どもの生活リズムを無理なくリセットする方法をご紹介します。始業式の3日前から始めれば、十分間に合います。
目次
なぜ冬休みに生活リズムが乱れるのか?
冬休みに生活リズムが乱れるのは、ある意味「仕方がないこと」です。
年末年始は「特別な日」の連続です。大晦日は夜更かしして紅白を見て、元旦はゆっくり起きる。親戚の集まりで普段より遅い時間まで過ごすことも。大人の生活リズムに子どもが引っ張られるのは自然なこと。「今日くらいはいいか」が積み重なって、気づけば就寝時間が2〜3時間ずれていた……というのはよくある話です。
さらに、冬は日照時間が短く、体内時計が乱れやすい季節。寒さで布団から出にくいことも、朝寝坊の悪循環を生みます。
大切なのは「乱れたこと」を責めるのではなく、「戻し方」を知っておくことです。

生活リズムの乱れが子どもに与える影響
「数日くらい夜更かししても大丈夫」と思いがちですが、子どもへの影響は意外と大きいのです。
文部科学省の調査では、不登校のきっかけとして「生活リズムの乱れ」が約4人に1人の割合で報告されています。*1 睡眠の問題は、学校生活全体に影響を及ぼすのです。
また、睡眠の専門家である駒田陽子氏(明治薬科大学)は、平日と休日の起床時間のズレ(ソーシャルジェットラグ)が子どもの日中のパフォーマンスや学業成績に悪影響を与えると指摘しています。*2
・集中力・記憶力の低下
・情緒が不安定になる(イライラ、ぐずり)
・免疫力の低下(風邪をひきやすくなる)
・朝食を食べられない → 午前中のパフォーマンス低下
「3日前」から始めれば間に合う理由
体内時計の調整には、最低でも2〜3日が必要です。1日で一気に戻そうとすると、子どもの心身に負担がかかり、かえって失敗しやすくなります。
成功の鍵は「少しずつ前倒し」。始業式の3日前(1月4日〜5日頃)から開始すれば、無理なく生活リズムを整えられます。完璧を目指す必要はありません。「だいたい戻す」で十分。8割戻っていれば、残りは学校が始まれば自然と調整されます。

始業式3日前からスタート!生活リズムの戻し方
具体的な3日間のプログラムをご紹介します。ポイントは「就寝時間」より「起床時間」を先に固定することです。
◆【3日前】起床時間を30分〜1時間早める
・就寝時間ではなく「起床時間」を先に早める
・起きたらすぐにカーテンを開け、朝の光を浴びる
・朝食を決まった時間に食べる
・日中は外で体を動かす
厚生労働省も「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」から始めることを推奨しています。*3 朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜は自然と眠くなります。
起床時間をいきなり2時間早めるのではなく、30分〜1時間程度から。子どもの負担を減らしながら、少しずつ前倒ししていきましょう。
◆【2日前】就寝時間を意識し始める
・寝る1時間前からスマホ・タブレット・テレビをオフ
・部屋の照明を暗めに(暖色系がベスト)
・入浴は就寝1〜2時間前に済ませる
・「眠くなくても布団に入る」習慣をつける
スマホやタブレットから出るブルーライトは、眠りを促す「メラトニン」というホルモンの分泌を妨げます。寝る前の1時間は、絵本を読んだり、静かに過ごす時間にしましょう。
入浴のタイミングも重要です。人は体温が下がると眠くなるため、寝る直前よりも1〜2時間前に入浴するほうが寝つきがよくなります。
◆【1日前(前日)】本番と同じスケジュールで過ごす
・学校がある日と同じ時間に起きる
・同じ時間に朝食を食べる
・持ち物の準備、翌日の服を用意する
・夜は早めに布団へ(興奮する遊びは避ける)
前日は「予行演習」の日。学校がある日と同じタイムスケジュールで過ごすことで、体も心も「学校モード」に切り替わります。
持ち物を一緒に準備することで、子どもの心理的な安心感も高まります。「明日から学校だ」という気持ちの準備にもなりますね。

朝起きられない子を起こすコツ
起きられない子には、いきなり「起きて!」と大声で起こすのはNG。段階的に覚醒させるのがポイントです。
・カーテンを開けて、まず光を入れる
・好きな音楽を小さめの音量でかける
・「あと5分だよ」と予告してから起こす
・布団の中で手足をモゾモゾ動かさせる
・朝ごはんに好きなものを用意しておく(起きる動機づけ)
光を浴びることで、脳が「朝だ」と認識し、覚醒モードに切り替わります。いきなり布団をはがすのではなく、まずはカーテンを開けることから始めましょう。

夜なかなか寝ない子を寝かせるコツ
「早く寝なさい!」は逆効果。プレッシャーで余計に眠れなくなります。
・入眠儀式をつくる(絵本、子守唄、お話タイム)
・寝室の環境を整える(温度18〜20℃、暗め)
・日中に体を動かしておく(外遊び、散歩)
・昼寝は15時までに切り上げる
・興奮する動画・ゲームは寝る2時間前まで
「入眠儀式」は効果的です。毎晩同じ流れで過ごすことで、脳が「そろそろ寝る時間だ」と認識するようになります。絵本を1冊読む、子守唄を歌うなど、親子で続けられるものを決めておきましょう。

よくある質問(FAQ)
Q. 始業式まであと1日しかありません。間に合いますか?
A. 完璧には難しいですが、できることはあります。前日は学校と同じ時間に起き、朝の光を浴び、夜は早めに布団に入りましょう。1日でも調整しておくと、始業式の朝が楽になります。残りは学校が始まれば自然と戻ります。
Q. 早く起こすと機嫌が悪くなります。どうすればいい?
A. 急に起こすと機嫌が悪くなるのは自然なことです。カーテンを開けて光を入れ、5分ほど待ってから声をかけましょう。好きな音楽をかけたり、「朝ごはん〇〇だよ」と好きなものを伝えるのも効果的です。
Q. 布団に入っても全然寝てくれません。
A. 眠くないのに「寝なさい」と言われても、子どもは眠れません。日中に体を動かす、寝る前のスマホ・タブレットをやめる、部屋を暗くするなどの工夫をしてみてください。また、朝早く起きれば夜は自然と眠くなるので、まずは「早起き」から始めましょう。
Q. 休み中、昼まで寝ていました。何時間ずらせば戻りますか?
A. 一気に戻そうとせず、1日30分〜1時間ずつ早めていきましょう。例えば昼の12時に起きていた場合、1日目は11時、2日目は10時、3日目は9時……と徐々に前倒しします。3日で完璧に戻らなくても、学校が始まれば調整されるので大丈夫です。
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生活リズムは「3日前」からの準備で戻せます。でも3日で完璧に戻らなくても、焦る必要はありません。始業式の日に多少眠くても、学校に行けば周りのリズムに合わせて自然と戻っていきます。1週間程度で調整できれば十分です。
「完璧に戻す」より「だいたい戻す」でOK。それくらいの気持ちで取り組んでみてください。
気持ちのいい朝を迎えて、3学期をスタートさせましょう。親子で一緒にリセットに取り組む時間が、新学期への心の準備にもなりますよ。ただし、あまりにも戻らない場合や、昼夜逆転が続く場合は、睡眠の専門家に相談することも選択肢のひとつ。小児科や睡眠外来で相談できますよ。
(参考)
*1 文部科学省|不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書(令和3年10月)
*2 駒田陽子(明治薬科大学准教授)|睡眠負債と社会的ジェットラグの問題と対応:発達の視点から *3 厚生労働省 e-ヘルスネット|こどもの睡眠












