芸術にふれる/アート 2018.8.15

—子どもに優しいオススメ美術館ー日本の美に触れる『サントリー美術館』(東京・六本木)

長野真弓
—子どもに優しいオススメ美術館ー日本の美に触れる『サントリー美術館』(東京・六本木)

海や山、家族でお出かけが楽しい夏休み。アウトドアももちろん楽しいですが、暑い夏、たまには涼しく美術館で過ごすのはいかがでしょうか。

最近は、子どもたちにアートを身近に感じてもらうための取り組みを積極的に行う美術館が増えてきました。それぞれの美術館の特徴を生かしたイベントは魅力的なものばかり。その中で今回は『サントリー美術館』をご紹介します。

テーマは「美を結ぶ。美をひらく。」

1961年に東京・赤坂見附に開館したサントリー美術館。2007年に現在の東京ミッドタウン内に移転しました。近くには国立新美術館や森美術館という有名どころがありますが、それらと一線を画す特徴は、「日本の美」にフォーカスしている点です。

設計は新国立競技場でも有名な隈研吾氏で、木製の格子や和紙を使った和モダンな空間づくりのコンセプトは「都市の中の居間」。都市自体を一つの「家」と見立て、その中の心静かに安らげるリビングたる場所としてサントリー美術館を設計したと言います。

展示する作品も絵画や彫刻だけではありません。日常で使われる調度品や道具などの名品も。その基準は、日本人が持つ生活の中で育まれてきた審美眼を通して、新旧、異文化など枠にとらわれない「美」の交流を意識することに置かれています。

美術館のテーマは「美を結ぶ。美をひらく。」その美に対するまっすぐな姿勢は数ある美術館の中でも静かな魅力を放ち続けています。

日本の美を身近に。充実の「エデュケーション・プログラム」

そんなオトナの雰囲気の美術館ですので、子どもには敷居が高そうに感じますが、実は子ども向け情報発信を積極的に行なっています。

開催されている展覧会にちなんだレクチャーには、その道の専門家が講師として登場したり、時には有名人のトークショーが行われたり。中でも「フレンドリートーク」(やさしい展示解説)や「はじめてひらく 美のとびら」(体験型ミニレクチャー)は大人も子どもも参加できるイベントとして特にオススメです。(※一部有料)

子ども向けサービスも充実

サントリー美術館は中学生以下の子どもはなんと入館無料。そして子ども向けのサービスも充実しています。

〇鑑賞支援ツール「わくわくわーくしーと」
入館の際に、展示の作品をわかりやすく楽しんでもらうために作られた子ども向け鑑賞支援ツールをもらえます(数に限りあり)。シートには4つの“ミッション”があり、それぞれのミッションの難易度は星(☆)の数で記載されています。

ミッションは2~3の項目に分かれていて、やり進める中で鑑賞が深まる仕組みになっています。ただ漠然と見るのではなく、ガイドラインがあると集中して見ることができそうでいいですね。持ち帰ることができるので鑑賞の記録としても残せます。

〇「フレンズ会員」制度
エデュケーション・プログラム参加者を対象としたもので、プログラムに5回参加した小・中学生は「美の達人」として認定され、認定書とプレゼントが贈呈されます。1度ならず何度も来てもらうための工夫で、子どもに優しい美術館を目指しているとのこと。

「まるごといちにち びじゅつかん」

普段から子どもは無料で利用できるサントリー美術館ですが、休館日を利用して小・中学生とその保護者向けに無料開放される日が年に1回ほどあります(不定期開催/2018年度は8月28日の予定)。和の魅力溢れるあのサントリー美術館が1日限定で子ども専用美術館になるなんてとても贅沢な時間になりそうですね。

過去には、館内を鑑賞しながらの「おしゃべり鑑賞タイム」や「びじゅつかんのひみつツアー」で、普段は入れないエリアを通ることができるなど、この日だけの特別な催しも盛りだくさん。前回も多くの子どもたちが思い切り美術館を楽しんだようです。

※イベントによっては事前申し込みが必要なものがありますのでご注意ください。

サントリーアートキッズクラブ

サントリーはサントリー美術館以外にサントリーホールの運営も行なっています。これらの施設を生かしてアートと音楽を子どもたちにもっと楽しんでもらおうと、2014年4月から「サントリーアートキッズクラブ」が始まりました

サイトやメールマガジンで子ども向けの情報が定期的に発信されています。イベント情報やアートと音楽の豆知識、そこに携わる大人のお仕事についてのお話など盛りだくさん。来館する前に読んでいくとより楽しい訪問になりそうですね。

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東京ミッドタウンという土地柄もあり、大人の場所というイメージが強かったサントリー美術館。こんなに子どもに向けた取り組みに熱心だとは意外でした。

展示品を楽しむのはもちろんのこと、隈研吾氏の建築も子どもたちの五感に働きかける格好のツールです。和の素材一つ一つにみる美しさや機能性、そこにまつわる裏話など(床材の一部にはウイスキーの樽を再利用したものが使われているそう)、幅広い視点でまなびを得ることもできます。自分の国のアートや美しさに対して、子どもの興味を掻き立てる貴重な体験の一つになることでしょう

『サントリー美術館』
〒107-8643 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
都営地下鉄大江戸線 六本木駅出口8より直結
東京メトロ日比谷線 六本木駅より地下通路にて直結
東京メトロ千代田線 乃木坂駅出口3より徒歩約3分
電話番号:03-3479-8600
営業時間:10:00〜18:00(ただし金・土は20:00まで開館)
※いずれも最終入館は閉館30分前まで
休館日:火曜日、展示替期間、年末年始
入館料:一般、学生(高校生・大学生)料金は展覧会により異なる
中学生以下無料

(参考)
サントリー美術館
サントリーアートキッズクラブ