2018.6.20

食べることを通じて豊かな社会を作っていきたい【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その1】

編集部
食べることを通じて豊かな社会を作っていきたい【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その1】

身近だからこそ見逃しがちな「食卓の定番商品」には、子どもたちのより良い未来を願う大人が知っておくべきヒントが隠されています。その秘密を探るため、『食のまなび探検隊』として有名企業にお話をうかがってきました!

今回はマヨネーズやドレッシングでおなじみ<キユーピー>のヒミツにせまります。

食のまなび探検隊キユーピー編第1回2

東京・渋谷のキユーピー本社でお話をお聞きしたのは、キユーピー広報・CSR本部CSR部食育推進チームの鈴村さんと矢島さん、広報部の菅原さんです。キユーピーが掲げる食育理念、またこれまでの食育活動から今後ますます広がりを見せる活動内容まで、たっぷりとお話をうかがってきました!

原点は「食で社会に貢献する」という想い

ーー今日はよろしくお願いします。今やどの家庭にも欠かせないキユーピーのマヨネーズですが、その成り立ちから教えていただけますか?

菅原さん:
キユーピー創始者の中島董一郎(とういちろう)は、会社をはじめる前に海外に研修に行った際、おいしくて栄養価の高いマヨネーズに注目しました。そして、日本人ももっと栄養の高い食事を食べて体格向上してほしいという想いから、帰国後マヨネーズを発売するために尽力したのです。

「食で社会に貢献する」という想いは、その当時から現代までしっかりと受け継がれています。ただしそれは、時代に合ったかたちで柔軟に活動を変化させていくべきだと考えています。

たとえば、食育の推進といった社会貢献活動の一環として、2017年に『キユーピーみらいたまご財団』を設立しました。この財団の目的は、食育活動や貧困対策などに積極的に取り組んでいる団体を支援すること。

会社として「食べることを通じて豊かな社会を作っていく」ことを目指して、いろいろな方面から社会と関わっていけたらいいかな、と考えています。

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キユーピーがこれから目指すもの

ーー今後もこのような活動がどんどん広がっていきそうですね。ではキユーピーが掲げる食育理念は、現在ではどのように変化していっているのでしょうか?

鈴村さん:
キユーピーでは「健康寿命の延伸」ということを重視した取り組みをしているところです。つまり、年齢を重ねて生活習慣病とかにならないようにするためには、どのような食生活が大切か、ということを伝えていきたいと考えています。

ただ「健康寿命」なんていうと50代、60代から気にし始めるというイメージですよね? でも決してそうではなく、子どもの頃から野菜が好きだったら大人になっても野菜が多めのごはんを食べるでしょう。それが最終的に、元気で長生きできる身体づくりにつながる、という考えです。

ーーそういった点でも、長い人生において幼少期の食生活は重要な意味をもつのですね。

鈴村さん:
そうです。だからこそキユーピーでは、すべての年代のお客さまに寄り添っていきたいと考えています。

小さい子どもであれば、野菜を食べてもらう、ということから始めていって、小学生まではまだみんな素直に親が出したものを食べてくれますけど、中学生・高校生ともなると「自分の生活」が出てきます。眠いから朝ごはんはいらない、とか、偏ったダイエットを始めちゃうとか。

でも親御さんも小さいころに比べて「あれ食べなさい」「これ食べなさい」なんてあまり言わなくなりますよね。そうするとどうしても好きなものだけに偏ってしまいます。だからこそ、そうならないような食生活の基盤を作ることが、私たちの目標でもあるんです。

食のまなび探検隊キユーピー編第1回3CSR部食育推進チーム:鈴村さん

子どもたちが抱える食の問題を解決するために

ーー確かに、大人になってしまうと嫌いなものを避けるようになり、バランスのとれた食事を選ぶことが難しくなりますね。

鈴村さん:
6つの「こしょく」という言葉をご存知ですか?

  • 孤独の「孤食」
  • 個人の「個食」
  • 固いの「固食」
  • 粉の「粉食」
  • 濃いの「濃食」
  • 小さいの「小食」

 
これらが今、子どもたちが抱えている食の問題です。もちろんすべてを私たちが解決するのは難しいですが、関わった方々には何かのかたちでお手伝いができれば、と思っています。それが寄り添っていくことかな、と。

ーー6つの「こ」について、詳しく教えていただけますか?

鈴村さん:
はい。では、まず「孤食」。
これはひとりぼっちで食事をすること。その逆は「共食」です。たとえひとりでも、テレビを観たりスマホを見たりすれば寂しくない人もいるかもしれませんが、それだと楽しくないですよね。

そうなってしまうと結局、食べることを「ひとつの行為」としてしか見なさなくなります。だからこそ、みんなでおしゃべりしながら食べること、ほらよく「会話もごちそう」って言いますよね。やっぱりその方が楽しいと思うんです。

次に「個食」。
これは、みんなで一緒に食事をしていても、それぞれが違うものを食べている、という意味です。たとえば、お父さんとお母さんは同じものを食べていても、子どもが「このおかずは嫌いだから冷凍のものをチンして食べる」などです。

そして「固食」。
これは硬さのことではなく、「固定化された食事」を意味します。つまり、そればっかり食べる、マイブームってやつです。食事のバランスが偏ることにつながりよくないですよね。

次は「粉食」。
もちろん粉ものが悪いというわけではありません。ただ粉ものは柔らかいので、どうしても噛む回数が少なくなります。口の中でほどけてしまって、気づいたら飲み込んでしまう傾向があるんです。やっぱりたくさん噛んで食べることで脳の刺激にもなりますし、満腹中枢が満足して食べ過ぎ予防にもなります。

そして「濃食」。濃い味付けのものばかりだと、次第に味がわからなくなってしまいますよね。

最後は「小食」。これもそのままの意味です、ちょっとしか食べない。

ーーこれらの問題、子どもを持つ親ならどれかひとつは頭を悩ませたことがあるような気がします。たとえそれほど深刻な状況ではなくても、誰しもちょっとは当てはまるのではないでしょうか。

鈴村さん:
そうですよね。親御さんが少しずつ食の大切さを意識し始めると、必ず子どもにも影響してくると思うんです。その子どもたちが大人になったとき、生活習慣病などにならずに健康なまま長生きしてほしい、と願いながら活動を進めています。食育は始めるに早すぎるということはないですからね。

→【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その2】につづきます