あたまを使う/プログラミング 2018.8.16

子ども向けプログラミング言語「Scratch」をわかりやすく解説します

編集部
子ども向けプログラミング言語「Scratch」をわかりやすく解説します

2020年からプログラミング教科が必修になりますが、先手を打っておきたいと考えている人も多いのではないでしょうか。プログラミングの授業が始まってから、何をどうしていいのかわからず、親子で頭を抱えるのは避けたいものです。

PCのブラウザでプログラミングを楽しみながら学べる「Scratch」は、子ども向けプログラミングツールの定番で、NHKのEテレで番組も作られています。ご自身がプログラミングに馴染みがなくても、Scratchがどのようなものか理解して心の準備を整えておくと、子どもから質問があったときにも慌てずに対応できるかもしれません。

今回は、プログラミング初心者にもわかりやすいScratchのご紹介です。

マサチューセッツ工科大学で開発された「Scratch」とは?

Scratchは、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)のライフロングキンダーガーテングループによって無償で提供され、今や子ども向けプログラミングアプリの定番とも言われるまでに広まっています。

Scratchを手がけたMITメディアラボのミッチェル・レズニックは次のように話しています。

このソフトは誰でもインタラクティブな絵本やゲームやアニメーションを簡単につくれ、それをみんなで共有できるようにすることを目標として開発しました。

(引用元:TED|ミッチェル・レズニック 「子供達にプログラミングを教えよう」

このツールの最大の魅力は、何と言ってもプログラム言語を知らなくてもプログラミングできるというところでしょう。小さな子どもでも簡単にプログラミングを体験できるように設計されています

2006年に最初のバージョンが開発され、現在は、Web上で使えるタイプと、ダウンロードしてネットにつながらない環境でも使えるオフラインエディターがあります。対象年齢は8歳から16歳ですが、もちろんそれ以上の年代でも楽しく使うことができます

また、対象年齢を5歳から7歳へ下げた「ScratchJr」というツールも用意されています。さらに、これまでのWebツールはPCでのみ利用できましたが、2019年1月に正式リリースが予定されている「Scratch3.0」はタブレットやスマートフォンでも利用できるようになり、現在はベータ版が公開されています。Scratchは、子どもたちがますます便利に使えるように環境を整えているツールなのです。

そして、Scratchのもうひとつの魅力は、世界150以上の国と地域に利用者がいて、40以上の言語に対応しているところ。世界中で作られた3千万以上のプロジェクトを自宅のPCで見ることができ、それとともに自分が作ったプロジェクトを世界中の仲間へ発信することができます

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Scratchを実際にやってみました!

Scratchはアルファベットの羅列を入力しなくてもプログラミングできます。以下の画面を見てください。PCの前でひたすらプログラミング言語を打ち込んで、画面にアルファベットの羅列が並ぶというプログラミングのイメージは完全に覆されると思いますよ。

実際にScratchサイトのトップページ「やってみよう」をクリックして表示されたページで、簡単に作れるプログラムを試してみました。

SCRATCH
(引用元:Scratch|SCRATCH

画面左側の白い背景に表示されているキャラクターを動かすには、右横の列に並んでいる茶色のスクリプトを使います。スクリプトの種類によって10の分類があり、それぞれの色も分けられています。その横、画面中央右寄りにある茶、紫、オレンジ、青のスクリプトのブロックが、左のキャラクターを動かすプログラムです。

ご覧のように、すべて日本語で書かれているので、英語のプログラム言語を覚えなくてもすぐにプログラミングを体験することができますよ

Scratchが子どものプログラミング入門に適している理由

いかがですか? なんだかとっても簡単に感じてきませんか。

子どもを対象としたプログラミングの入門ツールにScratchが適しているのは、「テーマ性」「ビジュアル性」「ソーシャル性」の3つに優れているからです。少し詳しく見てみましょう。

(1) テーマ性

Scratchで作れるプロジェクトは、ゲームやアニメなど子どもが好きなテーマが多数あります。つまり、好きなテーマでプログラミングの基礎を学べるとも言えます。何かプロジェクトを作ってみたいけれど、何が作れるのかわからない場合は、ScratchサイトのStarter Projectsが便利です。

  • Animation
  • Games
  • Interactive Art
  • Music and Dance
  • Stories
  • Video Sensing

 
上記6つのジャンルに分けられた例の中には、子どもが「これを作ってみたい」と思えるような楽しいプロジェクトが揃っています。

(2) ビジュアル性

最大の特徴であり魅力でもあるのが、プログラム言語を知らなくてもプログラミングできるという点です。テキストをひたすら打ち込む従来のプログラミングとは一線を画した、ブロックをはめ込むだけの簡単操作で、ビジュアル性のある画面を見ながら子どもが直観的にプログラミングを楽しむことができます。

(3) 世界中の仲間が作ったプロジェクトを見ることができる

Scratchで作ったプロジェクトは、オンラインで世界中の仲間とシェアすることができます。一度オンラインで共有したプロジェクトは、誰でもコピーや改変(リミックス)が可能。ほかの人が作った良いところをどんどん真似して、プログラミングの仕組みを学ぶことができます。自分の作品をコピーや改変してほしくなければ、オンラインで共有しないでおくこともできます。

***
お試しだけなら、登録しなくてもScratchを使うことができます。子どもに体験させる前に、まず親が試してそのシンプルさと楽しさを感じるのが一番の早道ですよ。Scratch専門のプログラミング教室も開かれているので、お住まいの近くで開講しているか探してみるのも良いでしょう。

(参考)
ワイワイプログラミング(NHK for School)|SCRATCHをはじめよう
@IT|Scratchで始めるプログラミング教育(1):プログラミングを学習する意義、Scratchの基本的な使い方超入門
TED|ミッチェル・レズニック 「子供達にプログラミングを教えよう」
Scratch|Scratch 3.0(ベータ版)
Scratch|Scratch Jr
Scratch|よくある質問と答え(FAQ)